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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第三章 三回目ともなるとだんだんめんどくさくなってくる
27/133

実際の女子更衣室は臭いが凄いし百合サービスなんてありえない それはそうと歯の隙間に挟まったネギがどうやっても取れないのってすごくモヤッとするよね

雲は不思議だ。空という大きな海を漂い、どんなに巨大でも、どんなに形状が違くても、風が吹いたら形を変え、風が強ければ即座に流れ、弱ければゆったりと流れていくその光景は、なんだか現代を生きる人間を表しているようで見ていて飽きない。


「ほらー! 次はこっちが点を取るぞー!」


今は昼前の体育の時間。外で男共はサッカーを、女共は野球をやっている。そして、目の前のコートから禍塚とかそんな名前のやつの声が聞こえる。確か、例の皐月さんの想い人だったか。バスケではエースとして活躍し、サッカーでは司令塔として活躍し……スポーツ万能かこいつ。そうだ思い出した禍塚だ。先祖は何をしていたらそんな名字になるんだろうか。


そんなクラスのリーダー様とは違って、俺は現在肉体を休めるために休憩中……言い換えるとサボってる。サボってボケーッとしてる。いや、見た目こそボケーッとしてるがめちゃくちゃ考えてる。思考を加速させて超絶くだらないことを考えてる。究極の暇潰し。


「お隣、宜しいですかな?」


ふと聞こえた声に首を戻すと、莇が立っていた。


「別に構わんが……お前、逃げきれたのか?」


莇がクラスに転校してきてはや二時間。挨拶の時にはクラスの九割の雌猿は騒ぎ出し、九割の雄猿はもはや何も言うことは無くなっていた。そりゃ、これだけレベチなイケメンがやってくれば何も言えんわな……


そして、何故か俺の前の席に座った。そこまでは良かったのだが……いや、そこがいけなかった。予想通り、HR終了と同時にクラスの発情した雌猿が寄ってきた。来なかったのは男と、数名の女と焔くらいだ。何故焔が男でも女でもカウントして無いのかは、ひとえにあいつがどっちなのか解析不能だからだ。本人は


『確かにボクは可愛い。でも、狼としての誇りも欲も忘れたことは無いよ。見た目と服装は女だけど、心は男さ』


と、言っていた。要は見た目に合う服を着ているだけで、中身は女が大好きな立派な野獣って訳だ。一番アカンだろそれ。あいつ見た目が女なことを言い訳に女に紛れて楽してるぞ。そのうち女子更衣室に入りそう。


と、初めは思っていたが


『着替えは覗いてなんぼでしょ』


と力説されてしまい、俺もその通りだと思ったから安心できた。本当にこいつは狼として誇りを持っている。そう感じた。それでいいのか俺。いや、性同一性障害だろうと別に気にしないけどさ。それも一つの人間也。


いや、身体は男で心も男、見た目は女に見えるだけだから、あいつただの女装趣味だな。自分に合う服を来ているだけだな、うん。


で、一通り対応した莇はベルの紹介で皐月さん達二人と挨拶して、その日の一時間目は担任教科だったから懇親会的な感じでまるまる潰れた。俺は存在を消滅させて一人で遊んでいた。そして担任はただ単に授業をやるのがめんどくさかっただけだと思う。


そして今に至る。


「えぇ、凡人以下の身体能力の雌から逃げるなんてお嬢様の護衛に比べたら楽なものです」


莇は相変わらず年下・合法ロリ以外には厳しい。一応、ベル繋がりだったり、自分に興味を寄せない人には優しいんだけどな。皐月さんとか遥さんには丁寧な態度で接していたし、紅葉と瑠姫さんにはまともだったし。


ただ、なぁ……その年下ーーもといJSが絡むと途端にバカになるんだもんなぁ……やっぱりこの世は思った通りにはならない。世知辛いぜ。


というかそのお嬢様も凡人以下の体力だった気がするが? そこんとこどうよ。


「前から思ってたんだが、お前はどうしてそんなにが嫌いなんだ? 俺の『嫌い』とはベクトル違いのようだが……」


「おや、言ってませんでした?」


「言ってませんでした」


「ならお聞かせしましょう。この私の過去をーー」


はい、回想入ります。ここからは、俺の脳内イメージでお送りします。映像は出ないけどな。出力端子が違うから。


「私は、お嬢様の護衛としてイギリスで生活していた時期がありました。お嬢様は自由奔放かつ活発で、よく無断で外出してはBGを困らせる人でした。そして、私は第一護衛として、一人の友人として、お嬢様が出かける度に連れ回されてその度に待ち行く女性に声をかけられ、その対応をしている隙にお嬢様は居なくなり、何時しか私は女性嫌いになりました」


ほうほう。なるほどなるほど。あっ、廊下に泉ちゃんが。忘れ物かな?


「私はこのイケメンフェイスに高身長、それに見た目はスーツ姿で正装です。そんな私に声をかけない女性は殆どいませんでした。行く先々で声をかけられ、時には貞操の危機もありました。時に強引に物陰に連れ去られ、時にハイエース寸前もありました」


泉ちゃんがとてとて走らない程度に早歩きしている。超可愛い。畜生何故手元にカメラが無いんだ。


「そして私の仕事は増える一方お嬢様は消えて居なくなり……結果、私は女児を愛することになったのです」


「あ、悪い。全く聞いてなかった。悪いがもう一度聞くのも面倒臭いから一文にまとめろ」


「ナンパされまくって飽きたので幼女最高です」


「分かりやすいな。死ねぇ!」


「りかるどっ!」


全力のアッパーを莇の顎にぶち込み、それをモロに食らった莇は後方へぶっ倒れた。許せ。


「ふぅ……また手を汚しちゃったぜ」


素手で放ったアッパーの反動で、多少左手が痛むがそれも数瞬。こいつの遺棄の場所と方法を考えていーー 殺気!?


「ソージィィィ!!!」


背後からベルの叫ぶ声が聞こえた。またなにか面倒事と俺の胃の穴を増やすのかと思いながら振り向くと、目の前に猛スピードで迫ってくる野球の球が。


「っと……」


咄嗟に右手を前に出してキャッチする。こちらも素手だから反動でめっちや手が震えているが、何とか無事だ。右手以外。凄い、痺れ凄い。ゴイゴイスー。ニッチ。頭のお団子が凄い人はニ○チェ。


「「「おぉ〜」」」


それを見ていた女共から歓声が上がる。ついでに拍手も聞こえる。うるさい俺を見るな。


「……危ないよ」


紅葉が焦る様子もなく、歩いて近づいてきた。


「そういうのはまず名前を呼ぶ前に大声で言うもんだ」


球を取りにやってきたのかタマを取りにやってきたのか知らんが、投手の紅葉に全力ストレートを投げると、瞬き一つもせず、難なくグローブでキャッチされた。俺のストレートは時速130キロを超える。その代わりに全力で投げたら背中とかヤバいけど。ついでに何度もは投げられない。


「大丈夫、奏士なら無事にーー」


「無事に捕れると思ったのか?」


「無事に生還できると信じてる」


「当たった後を信じる前に当たる前を危惧しようぜ」


それ俺結構窮地に立たされてね? それ三途の川渡りかけてね? 奪衣婆仕事してないといいけど。懸衣翁は絶対仕事してない。なんかそんな気がする。


「……手、痛い」


紅葉がグローブを着けた左手をじーっと見た後でぼそっと呟いた。


「奇遇だな。俺も痛い」


「……」


「……」


両者睨み合いの無言空間が展開された。


「クレハー! 早くplease!」


しかし、その空間はベルの紅葉を呼ぶ声によって消失した。


「次は俺に投げんなよ」


「……あれは、バッターの責任」


そう言いながら指を指す紅葉。その先には金属バットとヘルメットを持ったベル。あんにゃろどこ打ってんだ。というかそれならファール対策にネット張れよ。つーかファールボールが俺に向かって一直線とか、かなりの確率だろ。バッターボックスから俺のいる所まで結構な距離あるのに……やっぱり狙ってる気がする。


「……」


そして最後に俺をチラ見して、無言でパタパタと走りながら去って行く紅葉。それを無言で見ている俺。何だこの時間。


「う、うぅ……」


ちっ、もう目覚めやがった。


「わ、私は一体何を……」


莇が飛び起きた。おやすみなさい。永遠に。


「どうやら記憶が無いみたいだな。お前はここで足を滑らせて頭を強打して気絶していた。それだけだ」


「な、なるほど……それにしては顎がものすごく痛いのですが」


「頭ぶつけた時に反動で顎にも衝撃が来たんだろ」


「そうですか……」


よし、問題解消。これで事件は起きない。


「……あっ」


「あ?」


ふと聞こえてきた紅葉の一言に振り向くと、再び硬球がいらっしゃい。そしてそれを避ける暇は今回は無くーー


「かるろすっ!」


俺の眉間にHSをかまし、バランスを崩した俺は後方へぶっ倒れ後頭部を強打した。丁度そこにあった石にぶつけた。ものすげぇ痛い。


「ぐ、ぉぉぉぉぉぉ……」


起き上がろうとしたが何故か足に力が入らず、地面に横たわったまま後頭部を抑えて震えることしかできねぇ……めっちゃ痛い。


「……奏士、平気だったでしょ?」


紅葉が俺の横にしゃがんで強打した部分を手の上から撫でてくるが、俺はそれを払うことも出来ずに震え続ける。ものすごく物言いたいけどツッコミも何も出来ない。会いたくないのに震える。えげつなき痛さ。そろそろこの痛みにも慣れるな。


「てめぇ今度はちゃんと見てたぞ……」


俺に当たる瞬間、ボールの向こう側では打撃姿勢のまま動いていないベルと、俺に狙いを定めて球を放った紅葉の姿勢が見えた。そして悟った。こいつはわざとだと。


「気の所為。奏士は頭部に強い衝撃を与えられたことによる記憶障害を起こしている可能性がある。もしそうだとしても、その証拠は無い」


「証拠は無いって言った時点でてめぇが犯人なのはほぼ確定だろ……」


ようやく起き上がれるくらいに治まってきたから全身のバネを使って跳ね起きる。そしてその瞬間、左手首と右足首が「コキっ」て音を出した。まぁこれくらいならすぐ治る。俺の身体は丈夫で治りも早いのだ。その分薬の効きが悪いけど。


「……次はてめぇが狙われてると思えよ。寝てる時は気をつけるんだな」


「……乙女が寝ている時に部屋に侵入宣言なんて……エッチ」


「俺の目には乙女は見当たらないがな」


「……」


「残念だが鈍足な攻撃は当たらん」


紅葉が足に連続蹴りを繰り出してきたが、造作もなく避けた。か弱い少女のような可愛らしいソフトな、そっと触れるような蹴りじゃなくて、全力で俺の足にダメージを与えようとしている蹴り。ちょっと地面抉れてる。ほら、乙女なんてどこにも居なかった。


「紅葉殿ちがいますよ。奏士殿は『エッチ』なんて可愛くじゃなくて、ゴミを見るような目で『変態』と言って欲しかったのですよ」


莇が紅葉に耳打ちしているが、俺には聞こえている。だってこいつは小声じゃないもん。


「てめぇ何耳打ちしてやがる。ほら見ろ、紅葉本気にしてちょっと引いてるじゃねぇか」


「……変態」


そして紅葉はゴミを見るような目で俺を見て告げた。


ただ、身長的に俺の方が20センチ近く大きいために見上げる形になっているから怖くはない。ついでに傷付きもしない。全く興奮しない。


「……今度は、ちょっと踏んでみましょうか」


「待てコラ、それ以上ほざくようなら泉ちゃんにあることないこと吹き込むぞ。ただでさえ今朝の一件で泉ちゃんはお前を超警戒してる。その上でお前の評価を下げればどうなるか、分かるな?」


「……天使のような美しき顔で蔑んでいただける?」


「…………あぁうん。そうだな」


「えっ……ツッコミ放棄?」


凄く真剣な表情でバ回答をする莇と、頭が痛くて手をやる俺と、驚く紅葉。いや、俺の仕事じゃねぇしそれ。


「おら、さっさと戻れ」


「……」


そして再び無言で去って行く紅葉。二度と来んなバーカ


「つーか、俺はここで暇潰ししてるけど、お前はサッカーやらなくて良いのか?」


「面倒いのでパスします」


あ、そ。それでいいのね。


そういや、焔が見当たらない……あいつのことだからベルと野球やってると思ったんだけどな。


「あ、焔殿は……」


と、俺の動きから発したのかある場所を指さす莇。そこはーー


「……あいつ何してんだ?」


野球をやっていた。正確にはベンチウォーマーをやっていた。バットを持ち、以下にも「やる気十分ッス」とでも言いそうな顔で。


「焔殿は『野球とか危ないし疲れるからボクはパス』と言っていました」


「結局同類サボリメイトってことか」


そして、結局サボってまたボールがやってきて全力で投げ返して……授業は終わった。


「そう言えば、先程体育倉庫の近くを通った時に男女の声が聞こえた気がするのですが……」


「マジか。ちょっと見に行ってくる」


「見に行きたいとか変態ですか貴方は」


「いや、お取り込みの内容には大した興味は無い。ここは『隠れてサイレントプレイ中にモブの声と近づく足音が聞こえてお互いに一瞬動きを止めるが、どちらかが我慢できずに動き出して声を出しそうになるが運良く去ってくれてそのまま続行かと思いきや、更に激しくなる』というシチュを演出する良い機会だと先程閃いた」


主に俺の中の天使と悪魔ががっちりと手を組んだ。


「私が言うのもなんですが貴方も相当な馬鹿ですよね」


「言うな、自覚はある。暇だからとりあえず行ってくるわ。写真か音声データ要る?」


「私は生憎処女厨ですので」


「あ、そ」


そう言い残して俺はその場を去った。


なお、実際にどうだったかは言うまでも無いだろうーー


さぁお次はサービスカァァァット!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


《男子更衣室内》


「奏士殿は意外と筋肉質な身体ですね」


体操服を脱いで着替えを取り出すと、隣の莇が俺の身体を覗いてくる。なぜ隣なのかは、俺が出席番号的に最後の方で、莇は転校生故にロッカーを用意したばかりだからだ。言わなくてもわかるか。わかるな。


「十年以上鍛えてりゃ自然とこうなる。そういうお前も大差ないだろ」


「いえ、私はどちらかと言うと奏士殿よりも線が細くて……」


以前、服の上から測った程度だったが、こうして間近で確認すると、やはりこいつの身体はかなり鍛えられている。とは言っても、俺のように筋肉が目に見えてわかるほど有ると言うよりは、普通の男子学生と変わらぬ見た目だが。


「お前のそれで線が細かったらもう残りはガチムチ以外細いことになるだろ……本当に細いのはーー」


「え、何?」


何故か男子更衣室なのに張られた布で仕切られた着替えスペースにの仕切りから顔だけを出す焔。このスペース、『性別:焔 専用スペース』と書かれた看板付きである。特別待遇だな。いや、こいつは第5の性別と呼べる存在だから良いのか? なんだよ第5の性別って。4番目なんだよ。あ、オカマ・オネエにしとこう。通称両性類。お水商売のイメージと、両方の性別を持っていることをかけて、両性類。ほら、オカマバーってのが有るらしいし。行ったことないけど。そもそも行きたくない。


「こいつだろ」


「確かに、焔殿は女性と見間違える体つきですが……」


「え、何何? とうとうボクの魅力に気付いた?」


「ポジティブシンキングは鏡見てからでも遅くねぇってシルバータイムさんも言ってただろ」


わかる? わかるかこの訳し方。わかるな。うん。


「ポジティブじゃなくて事実だよ」


「……理解不能、解析不能」


思わず機械のように返事をしてしまう。いや、本当にわかんない。


「ボクの魅力たっぷりの身体を目に焼き付けすぎて壊れちゃった?」


もう黙れお前。頭痛てぇんだよ。


「はよ着替えねぇと飯に遅れるぞ馬鹿ども」


「「それってボク!?」私!?」


そうだが? 何を今更。


「「こんな変人と一緒にしないで!」ください!」


お前ら仲良いな。どっちもどっちだ馬鹿どもめ。さてと、俺は飯を食うか。あ、悠ちゃんの分買いに行かないと。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


…………ん、あ、あれ? なんで男の筋肉しか映って……あ、間違えたこっちか。


はい、今度こそ本当のサービスカット。それではーー3、2、1、CUE


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


《女子更衣室内》


着替え中、ロッカーが隣同士ということで並んで着替えている紅葉とベル。


「……」


そして着替え中のベルは、同じく着替え中の紅葉を隣でじーっと見ている。


「……何?」


その視線に気づいたのか、体操服を脱いだ状態で静止する紅葉。お互い下着姿で見つめ合うその光景は、見る人が見れば即答ものだろう。写真ならば、一枚五千円はくだらないかもしれない。


\カシャッ/


「oh sorry! いえ、クレハは肌が綺麗で細いのに、出るところはしっかりと出て羨ましいデス! とってもperfectデス!」


「? ありがと。でも、ベルは背も高いし全体的に肉付きも良くて羨ましい……胸も大きい」


ベルの胸をじーっと見つめた後、自分の胸に手を当てる紅葉。紅葉も十分ある方なのだが、やはり自分より上の存在を認識して、少し落ち込んでいるのだろうか。


「そう言って貰えると、頑張った甲斐がありマース!Thank youデス! でも、腕とかちょっとプニプニしてきたデス……痩せてる紅葉の方がback Mountainデス! 」


「……それは、裏山」


「何何? 二人とも何の話してんの?」


紅葉がプチツッコミを放った後、同じく着替え中の皐月が現れた。どうやらすぐ後ろのロッカーだったようだ。


「Heyサツキ! サツキは……とってもスレンダーデス 」


「え、何何? 私唐突に喧嘩売られてる? 畜生二人とも持ってるからって……どうせ私には無いわよ」


皐月は、最初こそ威勢は良かったものの、徐々に落ち込み始め、最終的に床に手と膝を着いて黒いオーラを放ち始める。


「……サツキはどうしたデス?」


「……多分、平均的な肉付きなのを気にしてる」


「大丈夫デスよサツキ! キョーヘイも、胸では選ばないデス! サツキは普通サイズデス! ペッタンコでは、アリマセン!」


紅葉の回答を元にフォローをしようとしたのだろうが、持つ者がするフォローは逆効果にしかならないことを知らないベル


「うぅ……慰めるならその乳寄越せぇー!」


そしてそのフォローにとうとうキレて、目の前のベルに飛びかかる皐月


「うひゃぁぁぁ!?」


その突然の挙動に驚き、動きが止まったベルの胸を、音よりも速いとも思える速度で鷲掴んで揉み始める皐月


「畜生……悔しいはずなのに、何故か揉む事に私の心が折れていく……」


突然のセクハラに頬を赤らめながらも少しノリノリなベルと、優勢だったはずなのに一揉みする事に再び皐月ブラックに戻っていく皐月。


「……」


そして次は自分かもしれないという恐怖を感じ、胸を手で隠しながら少しずつフェードアウトしていく紅葉


「ちょっ、ちょっとクレハー! 後退りしてないでHelpme!」


ベルの助けを呼ぶ声も、紅葉には聞こえているはずなのに一向に来ない。


「皐月ちゃんどうかしたの〜?」


その時、ベルに一人の救世主スクウモノが現れた。


「は、遥……じつ、は……」


しかし、皐月には一人の迫害者スクワヌモノだった。


揉む手を止め、現れた遥の方を振り向く皐月だが、その目は徐々にハイライトが消え、殺意の波動のようなものを出し始め、完全な皐月ブラックへと堕ちた。


「ん〜?」


何が起こっているのか分からないとのように首を傾げる遥。だが、その小さな挙動一つ一つが遥の豊かな胸を揺らし、皐月の冷静さを失わせる。


「oh…… big bust」


「……最大級」


そのサイズに驚く紅葉とベル。学年最高レベルの二人を超えるサイズが現れたのだ。


「あわわわわ…………」


そして許容量を超えた何かから解放されたのか、それとも脳がバグったのか、元に戻った皐月は口を震わせていた。


「皐月ちゃん? そんなに目を見開いて震えて、どうかしたの?」


少し前のめりになる遥だが、その体勢は丁度皐月の目の前で胸が揺れる状態になってしまい、再び皐月が狂い始める。


「無理もないデス……あの規格外を間近で見せられたら……」


「あわわわわ……きゅぅ」


そして許容量を超え、さらに余剰分まで超えた皐月はガクリと力が抜け、倒れた。


「サツキー!?」


「……気絶した」


「あれ〜?」


そして、皐月は蘇生しては三人を見た瞬間に気絶を繰り返し、四人は昼食の時間をほぼ使い切った頃にようやく教室へと戻れたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


はい、もうお分かりかと思いますが、今のは俺の想像です。『二次元だったらこんなことが起こってるはず』という体でのサンプル映像でした。本当はとても臭いし、キャピキャピしている奴がいたら普通に引きます。さてさて、それでは現実に戻りましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


おい待て、俺今誰に向かって話してた? なんかこうしきゃいけない感じがしたからやってみたが……なんだ今の。俺こんなにテンション高くないだろ。寝不足って怖い。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「いや〜 危うくlunch timeが無くなるところだったデス」


飯も食い終わり、何故か莇と3DSでマリカーをしているとようやくベルが帰ってきた。あ、金キノ出た。


「あ? 何言ってんだおめぇ。つーか何してた?」


「いえ……蘇生の儀式を……」


俺が画面から目を離さずに聞くと、何やら変なことをしていたと言う。ちょっ、でっていうお前邪魔


えっ、蘇生の儀式? 呪師とかそんな感じのやつが居たの? つーか誰だ儀式の対象。なんで体育後の着替えでそんなことしてんだお前ら。


「……あっ」


「はい、俺の勝ちだな。ドクペご馳走様」


俺は見事トップでゴール。莇は五位でゴール。


「くっ……あそこで緑甲羅に当たらなければ……」


「超弾性・持続時間・ カートの動作予測の計算さえ出来れば追尾被弾なんて楽にできる。俺の勝利は始まる前から確定していた」


まぁそれ抜きにしてもこちとら発売当初からやりこみまくってる上級者だ。さすがにやったことないやつには負けねぇよ。本当にやったことないのか疑う上手さだったが。それよか何故こいつはやったことないゲームで賭けに乗った? まぁ俺が上手い具合に誘導したんだけどな。これで俺の純愛・ロリ系同人誌コレクションを渡さなくて済む。


……やっぱり対価がデカすぎると思う。ドクペ(¥120)と同人誌(¥1200)って……十倍だぞ。別に俺が描いたのを余分に取っておいたやつだから実際はそこまでしないけど。


「まぁとにかく、そろそろ飯食わねぇと休み時間終わるぞ」


「おっと、ではでは……」


ベルはそう言いながら自分の席で弁当を食べ始めた。さて、次はどうしようか。


「奏士殿、もう始まりますよ」


「っと、危ねぇ危ねぇ」


こうして、このまま俺の完勝で賭けは終わり、午後の授業はベルの奇行に頭痛が連発し、放課後になった。あぁ、回復の泉ちゃんが欲しい……もう近くにいるだけでいい。

泉ちゃん篇第二話です。泉ちゃん篇と書いておきながら泉ちゃんの出番はほんの僅かしかありませんでしたが。大丈夫、次回からはちゃんと出番有りますから。

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