人は皆、それぞれ何かしらの悩みを持って生きている
四人全員が自分のしたいことをしていると、不意に扉がノックされる。
「どうz 「入るぞ」」
毎度おなじみ学園のマスコットかつ我らの元凶の悠ちゃんが入ってきた。返事を待たんかい。
「集まっているかお前ら」
だがしかし、当人は何も無かったかのようにしている。手に一枚の紙を持って。あーほらほら、そんなふうに雑に持ったら紙がしわくちゃになるよ。
「……悠ちゃんよ、その紙はなんじゃらほい?」
「ああ、その事でここに来た」
そういうと悠ちゃんは、紙を持った左手を前に出して俺たちに見せつけてきた。あー、やっぱり持ってた部分がしわくちゃじゃん。ちょっと破けてるし。
「あー? 『今週の金曜日、人手が足らないので宿木学園生徒会役員さんに保育補助としてお手伝いをしていただけないでしょうか』……はー?」
つまりあれか。俺たちが幼稚園に行って手伝ってこいとこの幼女は言いたいわけか。
「……こういうのは、時々ある」
経験積みらしい紅葉がボソッと呟く。
「おぉー! ぜひ、行きマショウ!」
そして乗り気のベル。
「……」
何故か無言のアリコン。こういうイベントには真っ先に飛びつくと思ったんだが……
すると、イスを鳴らして勢いよく立ち上がったかと思うと、猛ダッシュで扉の方へと走り出した。
「「逃がさん!」」
俺と悠ちゃんは挟み撃ちにして、俺はしゃがんで足払いをし、倒れたところを悠ちゃんが縄で縛り上げる。俺の数少ない長年の付き合い……もとい、従姉弟ならではの連携プレイ。
「ふむぐむむー!」
猿轡をしてるから何言ってるかわからん。
念の為、縄ぬきをされないように縄を手に持ち、腹ばいのまま背中の上に膝を乗せているが、もがくもがく。おっと、バランス崩しそうだ。
「で、何しようとした」
俺は縛った縄の端を持って見下しながら問いかける。
「ふむぐぐむー! ……ぷはっ! 別に大したことはしようとしてませんよ」
「そうか、本音は?」
「真っ先にその幼稚園に行って先に園児の好感度を上げて当日に幼女ハーレムで堪能してこようと思ってました」
「そうか、予想通りだけど改めて本人の口から聞くとものすごく頭おかしいしキメぇ」
つーかなんでこいつこの状況でこんなキメ顔でいられるの?頭のネジ取れてどっかいったの? ……あ、元々無いのか。
「ぐふっ……というか縄なんてどっから出したんですか」
乗せた膝でぐりっと背中を捻じるようにしてやると変な声を出した。 ……そうだ、俺もそれを聞こうと思ってたんだ。つい流れで普通に加戦してたけど。
「そんなもん、何か会った時のために仕込んだあるに決まってるだろ」
悠ちゃんはさも当然のように答える。この人もだいぶヤバいな。
「貴女方従姉弟は何か仕込むのが普通なのですか……」
……あれ? 俺と悠ちゃんの関係を言ったっけ? まぁ、BGを名乗ってたし、事前に調べたんだろ。
とりあえず下の物体がもぞもぞ動いて鬱陶しいから解放して座らせる。念の為椅子に縛り付けたまま。
「それで、だ。予定がある人、挙手!」
悠ちゃんの一声で手を挙げたのは俺だけ。え、皆予定無いの?
「奏士、お前は何の用がある」
「家の事と仕事とエトセトラ」
だって休日って言ったらあのクソ広い家を掃除する良い時間じゃないか。毎週掃除してようやくあの家を綺麗にできるんだから。人が入ったし、今度から四週じゃなくて三週になりそうだけど。
「そこら辺は後でやってくれ。時間的に夕方前には終わるはずだから」
「夕方前か……あれって朝からやってようやく夕方に終わるんだけど」
「それなら人手がを寄越すか?」
「いや、人手は要らない。絶対に要らない」
全部自分でやってるから人にいじられるとなんか嫌なんだよ。家は俺の唯一の領地だし、そこら辺は自由にやりたい。
「……行ってもいいけど、俺が行っても戦力にならんぞ? むしろマイナスだ」
理由は後程。
「……だが、一応正式な依頼だしな……仮にも副会長のお前が居ないのはまずくないか?」
いや、副会長ならここに一人いるだろ。俺よりも役に立ちそうなやつが。
と、俺が言っても意味が無さそうだし、頑張れば何とかなりそうだし、しょうがないか。土曜日を潰そう。
……仕事間に合うかな……
ほんと、土日休みがあるって素晴らしい。ゆとりがどうした完全週休二日制万歳。今でさえ足りないのに減らされてたまるかってんだ。
そんなこんなで全員が賛成したことにより依頼は可決され、幼稚園へと行くことになった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そして金曜日。めっちゃ晴れ。幼子風に言うと、SUNさんはさんさんだ。さんが多すぎるし、そんなルー○柴みたいな言い回しはしないだろう。
ちなみに、金曜日なのになぜ俺たち学生が学園に行っていないかと言うと、詳しくは知らん。悠ちゃんに聞けばわかると思うけど、理事長が休みだと言っているから別に気にしない。何かあっても全責任は責任者の悠ちゃんに押し付ける。まぁ多分創立記念日とかそんなんだと思う。仮にも身内が理事長やって自分も通っている学園の行事を知らないのはどうかと思うが、大抵関係ないから別にいいかと思っている。関係あるやつは事前に連絡あるし。
今日はその幼稚園へと行く日。全員私服ということで、各々着替えたら自宅(俺ん家)から出発ということになった。ちなみに、BGのアイツもベルと一緒に居る必要があるとの事で、我が家に住むことになった。何故家主の許可を誰も聞かないのだろうか。
まぁ、あいつは仕事の都合上ってこともあるし、俺に実害は無さそう(間接害はありそう。ってか絶対にある)だからしょうがなく許可した。今更一人増えたところでもう変わらない。むしろ、生活費を払ってくれる分、経費削減その他諸々で俺の懐が暖かくなっていく。……電気代とか水道代高くなりそうだなぁ……これ人数増えたら費用の仕分けと配分大変じゃね?
今はとりあえず初めに定額回収して、光熱費や食費等に配分してその後残りを個人に返却って手段を取っているから、稼ぎのある二人はともかく小遣いのベルの分があるから気をつけないと。大変だよ全く。今までよか楽になったけどさ。
ホント、今まではちょっとでも削る為にタイムセールに家庭菜園と現地調達で大変だったしな……まぁ食費に関しては殆ど無かったけど。気が向いたら食べて、下手すれば限界まで水と塩と砂糖だけの生活してる時もあったし。
……はぁ、「No!」と言える人間になりたい。どうにも俺は押しに少々弱い。
「Heyソージ! お待たせシマシタ〜」
早々に着替え終わった俺が、考え事しながら縁側で重政と遊んで待っていると、背後からベルの声が聞こえた。振り向いた俺が見たものは当然、三人の私服姿だった。
「…………」
「ソージ! これ、ドウデスカ?」
ベルがポーズをキメながら服を見せてくる。なんか眩しい。コイツには光を発する能力でもあるのか?
それよか、なにか答えないとまずそうだな。多分無視して重政に集中したら後々面倒くさいことになりそう……ってか確定でそうなる。
なので一応見る。観はしない。
白と青のストライプシャツに紺のショーパンと黒のハイソ。長く明るい金髪には桜の花の形のヘアピン。スカートじゃないのは外で遊ぶことを考えてのことだろうか。そこまで運動能力高そうには思えないけど……まぁ、多分この四人の中じゃぁ、園児と外で遊ぶのはこいつが適任だろうな。というか良かったホットパンツじゃなくて。流石にガキ共にゃ刺激が強すぎる。
「……奏士、準備できた?」
ベルの背後に居た紅葉の服装は、白を基調としたワンピース。膝まで生地があるやつは確かミモレ丈ってやつだった気がする。合ってるかは知らんが。そして靴下も白のクルソ。紅葉は全体的に白い。ついでに洗濯して気づいたけど、パンツも白が多い。白が好きなのかね。そして長い銀髪にはいつも通りの紺のリボン。お気に入りなのだろうか。
「……」
さらに背後に影のように居るBGは紅葉とは逆に黒い。そしてなぜ決めポーズ。というかなぜダークスーツ。職務だからか? 昨日はさすがに帰ったあとは私服を着ていたけど……
これで園児怖がらないかなぁ……俺のことは棚に置く。だって俺結果知ってるもん。
「ソージ……そんなに視姦されると濡れちゃいマスよ♡」
「さて、二人ともそろそろ行くぞ」
少し赤くなった頬に手を当てて身体をくねらせるベルを無視して外に出る。すると、ベルが大急ぎで出てきた。ちなみにアリコンは真っ先に出た。そんなに楽しみなのか……通報の準備はしておこう。
と、玄関の鍵をかけたところで車のエンジン音がした。振り向くとそこには悠ちゃんと白のワゴンが。
「おらお前ら、行く準備はできたか?」
「悠ちゃん……あんた運転できたのか」
「当たり前だろ」
いや、だって今の今まで見たこと無かったし……足届くと思わなかったし。
「お? 失礼なこと考えてるのか奏士? ちょっとそこから動くなよ。ペラッペラにしてやる」
「ワゴンで引く気かよ」
「タイヤのキスマークもつけてやるよ」
「ファーストキスがそれは嫌だ」
悠ちゃんを留めて全員車に乗る。俺は何故か助手席。
「……俺車に乗りたくないんだけど」
「まぁ、そう言うな。死ぬ時は二人一緒だ」
え俺今日死ぬの? どうやら悠ちゃんと同時に命日までやってきたようだ。だかしかぁし! 死にやすいと言われている助手席だが、実は死亡割合が一番低いのだ! まぁ確定の運転席や、多人数座る後部座席とは違って一人席で座るかは不確定だから自然と死亡割合は下がるんだけどさ。どっちにしろ嫌だ。今ここで死んだら集めたサインとか本とかまた集め直す手間も金も時間もかかるじゃん。それに、歴史の途中を変えても結果は同じと言うし、またアレを味わうのはご勘弁願いたい。
そんなこんなで長い道程(車で十分程の距離)を移動して、着きました問題の幼稚園に。
車を停めた悠ちゃんは一人で先に先生たちと話しに行った。そして俺はーー
「…………」
「……奏士、よしよし」
「ソージ、大丈夫デス?」
俺は車酔いによって近くの木に手をついてダウンしていた。吐きそ……
「まさか、貴方にこんな弱点があったとは……」
心配してくれる紅葉とベルとは真逆に、こいつは心配と驚愕混じりのセリフを言いつつもその俺に向かってスマホのカメラを向けている。て、てめぇ……
「……奏士からのツッコミが無い」
「重症デス!」
……俺そんな認識されてたの? まさかこの短期間で俺がツッコミポジになっていたとは……いや、思い返せば思い当たる節がだいぶあるけど。……うぇっ
結局、治まるまでちょっと時間を食ったが何とか動けるまでに回復できた。途中、園児たちがこちらを、主に俺をジロジロと見てきたがそれに反応することも出来なかった。俺は今、いつも以上にフラフラしている。頭もクラクラしている。
そしてとある教室へ。
「みんな〜、今日は、宿木学園の皆さんがお手伝いに来てくれました〜」
先生と思しき人物が、幼稚園・小学校あるあるその4『ものすごくゆっくり話す先生とみんな』を発動している。それを聞いた園児のみんなは物珍しさからか、「わ〜」とか言ってる。凄く五月蝿い。
自己紹介は割愛する。どうせ予想できるだろうし。トップのベルがすげぇ笑顔で挨拶して皆の心と関心を掴み、二番手の紅葉が簡潔に終わらせ、三番手は……なんかすげぇ礼儀正しかったことは覚えている。BGを本職とするだけあって、そこら辺はしっかりしてんだよな。普段は礼儀の『れ』の字どころか一画目の始まりすら見当たらないけど。
……俺? 俺はーーなんかすっ飛ばされた。俺三人と一緒に居たはずなんだけどな。まぁ別にいいけど。挨拶めんどくさかったし。したところで誰も覚えないだろうし。ちなみに、俺の挨拶がすっ飛ばされた時、横の三人が笑いを堪えて震えていた。しかも、俺に見えないようそっぽ向いて。俺はお猪口の様にひろぉーい心で許してあげた。広さの基準が蟻レベルというのは内緒。
そして今現在、集いし精鋭達はその道を歩みし者を相手にしている。端的に換言すれば、三人はそれぞれ外と中で園児達と遊んでいる。すげぇ分かりにくいなこれ。
なぜ三人か、それはこれを見ればわかる。
「うわぁーん!」
「きゃーっ!」
「……」
はい、予想していたけど、やっぱりこうなりましたか。
現在起こっていること。それは、何もしていないのに園児は勝手に泣くか逃げるか叫び出す。昔から。
「ソージ……なんで来たデス?」
ベルは泣いて逃げ出した園児の頭を撫でながらあやしている。……それに交じって一人だけ違う目的でベルに近づいている奴が居るが、別にいいか。ベルはあれでも貞操観念というか……基本的に男と必要以上の関わりを持たないようにしているみたいだから。学園でも、テニス部のイケメン部長とやらに言い寄られたり、同クラ別クラ関係なく男に誘われたりしている姿を度々見かけるけど、全て断っているらしい。貞操云々については信頼度低すぎるけど。なお、俺の連絡先は未だに教えていない……はずだけど、紅葉の件があったから心配。多分番号とアドレスは伝わっていると思う。くそっ、プライバシーってなんなんだろうか。
「辛辣だなおい。それと、俺は連れてこられたんだ」
車に乗せられて酔い、着いたら着いたで肝心の園児は俺から泣いて逃げる。俺なんでここにいるの?
外にいてもしょうがないので中で遊んでやることにした。外にいても汗かくし立ってると疲れるし。
靴を脱いで上がると、紅葉は絵を描いていた。まぁ得意分野だし、ウケはいいから適任だな。
そしてもう一人の危険人物はーー
「おにいちゃんなんですーつきてるの〜?」
「おにいちゃんこっちでおままごとしよ〜」
「ははは、こらこら、そう引っ張らないでください。大丈夫、私は皆さん全員と遊んであげますから……」
うわぁ……あいつすげぇいい笑顔してやがる。そして何故か近くの先生たちまで頬を赤らめて手を当てて、目をトロンとさせてやがる。なんだこのカオスな状況。俺だけ疎外感。まぁ、それ抜きにしても元から輪に入ってないから常に外なんだけどな。
「何やってんだてめぇ」
俺は謎の勇気を振り絞って近づいて声をかけた。俺は一体何を振り絞ったのだろうか。
「おや、奏士殿。見て分からないのですか?」
「わかってたまるか」
本当は何となく、いや、明確に理解できる。でも、脳が理解を全力で拒否している。
「私の……私の念願の夢が少し叶いました……」
そう言いながら、目から一筋の涙を流している。
「いい歳した男が公衆の面前で泣くなよ」
それよりもさっきから見ている先生たちはこいつを出禁にしろよ。悪影響を及ぼすぞ。
「つーかお前はJS好きじゃなかったのか」
「私は園児も対象なのです」
ものすごくいい笑顔で答えるゲス野郎。いっそ清々しいよホントに。なんか輝いて見えるし。それにしてもこの輝き随分と黒いな。
「ホントに出禁にしろよ……」
さっきまで園児を泣かせた(故意では無い)俺よりも危険だろこいつ。
これ以上ここに居たら何か大変なことが起きそうなので、仕方がなく殆ど人が居なそうな本のコーナーへ。最近のガキは本離れとか激しいって言うし。
と、思っていたが、一人だけ居た。
「……あの、何か用ですか?」
前髪の長いショートカットの男の子だ。目が少し隠れている。隙間から顔を見た感じ、カワイイ系の男の娘って感じがする。……焔みたいにならないといいけど。
それにしても髪長いなこいつ。いや、俺は前も後ろも長いんだけどさ。すげぇぞ俺のキューティクル。凄くサラサラしてる。俺の血液並にサラサラしてる。多分。
「別に用はない。ただ、みんな俺から勝手に離れていくからな。やることない時は大抵読書だろ」
これは俺みたいな読書家にとっては当たり前の選択肢だ。とりあえずやることないなら暇潰す。それがプロというものだ。誰に言ってるのか知らねぇけど。
「……そうですか」
名も知らぬ少年は一言ぼそっと呟くと読んでいた本へと意識を戻す。さっきから本から視線を動かさない。
……なんだかちょっとシンパシーを感じる。
「お前は、あっちに混ざらないのか?」
俺は本棚の隣に座る。ちょうど、『俺・本棚・少年』てな感じ。
「そんな面倒なことするわけがないじゃないですか」
だよな。無粋だった。俺もなんであんなこと聞いたんだ?
「でも、あそこの先生たちはしょっちゅう聞いてくるんですよね。『入らないの?』『一緒に遊ばない?』って。僕は一人で居るのが好きなんですが……僕のしていることは何か行けないことなんでしょうか」
背伸びしている様子も無いし。こいつは年齢からすればだいぶ大人びているが……ま、そこら辺を気にするあたり、まだ子ども、か。
「ま、ガキなんだし、他人に迷惑かけすぎなけりゃ自分のしたいことしていいんじゃねぇの?」
だから、俺は先人として教えてやる。俺は幼稚園には行かなかったが、集団行動の強要というのは小学校で嫌でも味わうからな。
「例えばあそこ」
そう言いながら、俺は部屋の隅でおままごとをしている集団を指差しながら続ける。少年もつられて見る。
「あそこで和気藹々と遊んでいるが……ありゃ、どう見ても五人中三人は周りに合わせて嫌々やってるな」
「……そうなんですか?」
少年は俺を見ながら聞いてくる。
「ああ、パッと見はバレないように上手く取り繕っちゃいるが、プロからすればどう見てもバレバレだろ。仕草の初動、ちょっとした瞬間に漏れる表情、声色、何もかもがそう語っている」
人は、どんなに取り繕おうと根底は、自分の根源だけは正直だ。どう誤魔化しても少しは漏れ出る。だからそれらを見抜いて、分析して、間違いだと思う答えを削っていけばすぐに正解に辿り着く。人の本音を、本性を見抜くなんて簡単な事だ。
「確かに、あいつらみたいに周りと合わせるのも大切だ。この国は良くも悪くも調和やら同調やら『みんなで一つに』が大好きだからな」
「……それならやっぱり「それに、だ」」
俺は遮りながら続ける。ここで言わせたら意味が無い。
「人間ってのは残酷なものでな、一回でも集団を作り出したらそれから逸脱した者、その集団に混ざらないものを害悪として捉え、攻撃し始める習性がある。どういう意味かわかるだろ?」
『斉一性の原理』というものがあるらしい。集団の中において、異論反論などを認めず、特定の方向へと進んでいくというものらしい。これは多数決の場では起きないらしいが、正直多数決と銘打っておきながらその実満場一致を強要するような場面ばかりの世の中じゃ、そこらじゅうにある。学校なんて、その中心部だろう。それに、『自薦の用心棒』というものもあり、これがまた厄介。結果、小さな力じゃどうにもならん。これが正しいのかは知らないが。
「……もしこのままで居たら、確実にいじめが、もしくはそれ以上のことが発生する、ですか?」
「当たらずとも遠からずって感じだな」
確かに、このままでは愚かな小学生の手によって虐めが発生し、『先生は皆の味方』などとほざく自分大切な教師は見て見ぬふりをし、孤立する。昔と比べて、今のガキはより残酷なことをするらしいしな。いや、今も昔も変わってねぇか。
俺? 俺は今まで虐めを受けたことは無いぞ? 俺はあれを虐めとは思っていないからな。 ただ弱く醜い愚か者が囀ってるだけだと思ってる。 弱い犬ほどよく吠えるってやつだ。強者の余裕を出せる俺マジカッケー
この上なくダサすぎるというのは内緒。
「いつかお前のやること全てを否定し、蔑み、罵り、拒絶する奴らが現れる。これはもう、決定事項だ。だからお前の取れる選択肢は二つだけだな。『力に屈して泣き寝入りするか、流れに逆らって己を貫くか』」
三つ目の選択肢、『流れに任せて受け流す』という方法も有るが、それすら許さないのが小学生だ。必ず答えを求めてくるのなんなのマジで。答えが無い答えで良いじゃん。そんなに答え求めたいならクラムボンの正体でも突き詰めとけよ。答えもう出てるけど。
ま、この選択肢は後々自然と知るだろう。だから今は言う必要は無い。非情だのなんだの言われるかもしれんが、知ったことか。俺が責任取れるのは身の守り方だけだ。
「己を貫く……ですか」
「そうだ。己と言っても、別になんでもいいんだよ。要は、いつも『自分』でいられるかって話だ」
自分で居る。それはかなり難しいことだ。他人に自然的な迷惑をかけず、個を出し、それを継続する。自然的と言っても、明らかに大声だとか、大勢の迷惑行為をするとかそういうやつのことだ。『お前の存在自体が気に入らねぇ』とか言われちゃったらどうしようもない。そいつの頭が。小三の時のクラスすら知らないあのチビのクソデブマジで許さん。俺に虐め(笑)をしてきたことより、我がいもうとに手を出したことが許さん。未だに許さん。これ以上考えんの止めよ。この手を再び血で染めることになりそうだ。
話は戻るが、『常時自分で居る』なんて、この国の学校関係でやることは、ダークソ○ル全シリーズ+ブラ○ドボーンを一回でノーデスクリアするようなものと変わらない。殆ど無理ゲー。
でも、大抵こういうのって陰キャとか呼ばれている奴らが対象になるんだよな。陽キャとか呼ばれてるヤリ○ンの奴らは、陰キャと呼ばれる者達のことを知らないから迫害するのだ。やはり無知は恐ろしいな。そして性病を恐れない奴らも恐ろしい……年頃の男は財布とかにゴムを入れておくらしいが、使わないのかね。俺? 俺は入れてない。そもそも使い道が無いから。そして悠ちゃんにそのことを聴かれたからそう言ったら「ならばこれをやろう」と言ってゴムの袋を渡してきた。道で拾ったらしい。「んな恐ろしいもん俺に押し付けんな」 そう思った。また話がズレた。
「俺とお前は違うから、先人の知恵なんて大した意味は無いと思うが、まぁ一応覚えとけ」
歴史において、始まりと終わりは、起と結は決まっているが、過程は文字通り無数に有ると言う。その過程にも、始まりと終わりは有るが、それもまた過程は無数に有るらしい。なら、俺とは違う選択肢を選べば、まともな人生を過ごせるだろう。少なくとも、俺がこいつと同じ歳の頃に抱いていたモノは無いみたいだし。
「ちなみに、間違った方法で、歪んで己を貫いた実例がこの俺だ。どうだ? 俺みたいになりたいか?」
「確かに、あなたは友人居なそうですね。もしかして『友は人ではなく動物だ、友動だ』とか言います?」
「言ったことは無いが、友人が一人も居ないのは認める。別に居なくても困らんし、むしろ居る方が面倒だ」
確かに人間よりアニマルと接する機会が多いのは認める。そして一人で度々動物園とか水族館に行ってるのも認める。さ、寂しくなんかないやい。むしろ超生き生きしてるわ。
「まぁ相手に合わせないとダメですしね」
「そうだ、それに一人でも楽しくやっていけてるぞ。俺を見ろ、俺は一人で毎日フィーバーしてるぞ。サタデー・ナ○ト・フィーバーだ」
「少なくとも、あなたの表情から喜怒哀楽を読み取るのは、ほぼ不可能だと思うのですが……ずっと不満顔と言いますか、表情変わってませんし」
そうか、そんなに分かりづらいか。まぁ変えないように練習したからな。後、表情筋動かすのめんどい。超疲れる。
「後、その作品知ってるとかあなたいくつですか」
「いや、お前がいくつだよ」
明らかにお前の年齢じゃ知らないだろ。年齢知らないけどさ。いや、本読んでいるし、どっちにしろそのうち入ってくるか。俺はオ○カで知ったけど。
オ○カで知ったと言いながら、俺が魔帝を使う機会なんてそうそう無い。精々、ボスのワンキルに使う程度。俺の構成上、あまり合わないのよ……まぁ、特殊パーティでなら使うけど。サポ用として。多分、今殆どの人間が「何言ってんだこいつ」と思っているだろう。大丈夫、その反応が多分正しい。
「ま、俺みたいになりたくなきゃ、せいぜい頑張るこったね。周りはどうせ理解することは無いし、理解しようともしないんだ。好きなだけ言わせとけ」
俺を見習って生きていたら痛い目に遭うぞ。下手したら、俺みたいに将来の夢の欄に『ネオニート』って書き始める。でも、怠惰を極める為に勤勉になっていたら元も子もないと思うのだが、そこら辺どうだろう。
……えっ、知ったこっちゃない? そんな事言うなよ体調管理係のザインくん。いやいや、割と真面目な話だから。『俺が以下に楽して生きれるか』っていう超大事な話だから。あっ、ちょっと待って退席しないで。君が退席したら俺の免疫ボロボロになっちゃう。ウイルス対策してないパソコン初心者の危険度並に弱くなっちゃう。なんで初心者って色々弄ってから「何もしてないのにおかしくなった」って言い出すの?
改めて思うと、これ何も知らない人が見たら確実に変人だよな。誰も俺が脳内会話しているとは思わないだろうし。
長々とやったが、話を要約すると『俺は働きたくないし、社畜にもなりたくない』ってことだ。なんの話しをしていたのか分からなくなってきたが、まぁ別にいいや。
ちなみに、以前『働いた金で生活している』とか説明したけど、言葉の綾ってやつだ。正しくは働いていない。そう、あれは趣味だ。俺は趣味の延長線で得た金で生活している。そのためにめっちゃ努力した。某少年誌の三大原則である友情・努力・勝利全てを『友情は要らないし、努力はしたくないし、勝利は別に大した興味は無い』って否定しているような人間が、努力したのだ。それはもうものすごいことをした。ちなみに俺はジ○ンプは好き。週刊誌は置き場所が無いから単行本しか買ってないけど。
俺はたとえ生活のためでも働きたくありません! いやぁ、清々しいほどにクズい。 けど、実行できてるからセーフ。いやまぁ、収入はそこまである訳じゃないから結構切り詰めてるんだけどさ。なお、趣味費用を削る気は無い。でも、趣味費用をある程度削れば幾分か楽になるんだよなぁ……
趣味を満喫すれば生活が少しだけ苦しくなり、趣味を削れば生活は楽になるけど生きるのが辛くなる。このジレンマはどうすればいいの?
『知らねぇよ!』
お、お前は議長のヌル!
『自分で決めやがれ!』
君は副議長のアインじゃないか。 え、決めるのお前らじゃねぇの?
『それよか帰りたい』
そうだそうだ。記録係のドヴァーの言う通りだ。
『今月も残り僅かなのに金が少ないのはお前が先月買いまくったからだろうが』
会計のナインさんまじですいません。でも、セールやってたんだししょうがないじゃん。DL版はまだ未入手なのに半額だったんだもん。
その後も十人全員に聞いて回ったが、俺の会議で出た答えは『勝手にしろ』でした。お前ら本当に俺かよ。俺だな。この対応は俺だ。というか俺もなんであんなに説明風? つーか今思うと全員俺のSDってなんか……ちょっと……アレだな。ちょっと変だな。キャラメイク変えようかな……
※数字の国籍が一致していないのは使用です。なお、奏士は現在寝不足の為、いつも以上に饒舌になっております。
「まぁ、なんだ。とにかく、小学校は存在する人間がウザイし、関係は煩わしいし、超ムカつくやつばっかりだけど、お前はまだ幼稚園生だろ」
ぶっちゃけ、普通に殺意は湧きまくりだ。湧きすぎて、『殺意が湧きました』ってお風呂のアレみたいに連呼している。あの時手を出さなかった俺を褒めて欲しい程だ。
……いや、お風呂のアレは二回しか言わねぇな。
「まだまだ時間はあるんだ。それまでは、お前のやりたいことをしておけ。読書は良いぞ? 自分の知らないことも、知ってることも全て頭に入ってくる。知識を蓄えるのは後々役立つ。『知らない方が良かった』『知りすぎは厄を招く』なんてよく聞くが、そんなもん知ったことか。そんなことも全て『知識』に変えてけ。この国は他国より幾分か平和だ。一般市民に『お前は知り過ぎた……』なんて死亡イベなんてそうそう起きねぇよ。正しいことはどんどん覚えておけ。知らずの後悔より、知って後悔しろ」
時間は有限。さらに、子どもでいられるのは人生でも短い。それなら、短い時間を謳歌しようや。俺を見習え。俺とかめっちゃ謳歌している。今まではな。
「……そうですか」
少年は再び一言呟くと、本へと視線を戻す。
「……それに、知らないことはとても怖い。知っていれば起きなかった悲劇も、知っていれば生まれない恐怖も、事前に知っていれば回避出来る。……本当に怖ぇぞ」
「なんだか話が具体的ですね。実体験ですか?」
「このクソガキが……ちょっと優しくしてやったらこれかよ」
ちっ、だからガキは嫌いなんだよ。すぐ調子に乗る。こいつ今すぐに蹴り飛ばそうか……いや落ち着け。俺は大人だ。ちゃんと抑えないと。
「いえ、優しくされた覚えは無いですけど」
「……あれ? 俺としては結構優しぃ〜くしてやったつもりなんだが……やはり、他人との意思疎通は難しい」
「ふふっ……ところで、名前はなんて言うんですか?」
……少し笑ったか? ま、俺には関係無ェや。
「人に名を尋ねる時は、先ず自分から名乗れ」
やった。人生で言ってみたいセリフ第七位を言えた。
「……僕は文月彩乃です」
意外と可愛らしい名前だこと。名は体を表すと言うが、そのままだな。
「柳奏士だ」
名乗ったので俺も答える。
「では、奏士さん」
「何だ?」
やはり、こいつは本から目を離さない。
「こんな所で野郎と二人で話してて楽しいですか?」
「楽しいと思っているなら大間違いだ。こんな間違い観察処分者でもそうそうしないぞ。そういうお前は?」
まぁ観察処分者に限らず、あのクラスメイトはぶっ飛んだ回答をするけど。面白いよね、バカ○スって。
「何馬鹿げた事言っているんですか? そんなの楽しいわけないじゃないですか。本当なら美少女とイチャイチャ会話したいですよ。もちろん、二次元の」
「お前大人びてると思ったけど、趣味も変に大人びてるな」
いや、これが大人びているのかはさておき。年齢的にレーティングは大丈夫なのだろうか。ちゃんと『A』のみをやっているのだろうか。いや、『二次元の美少女』って特定していることから守ってねぇな。
まぁ、一応規制はされてるけど拘束力自体はねぇしな。俺? 俺はもう大人だから『Z』だろうとR18だろうとやる。エロゲとかエロゲとかエロゲとかやりまくる。なんなら、自分好みの同人誌とか書いたりもする。モンハンとかは年齢一桁の頃からやってる。全シリーズ。でも、ホラーは無理無理。そしてムルムルは72柱。なんであれ光文明扱いされてんだろう。悪魔なら闇文明だと思うんだけどな。イメージ的に。俺的には天使より悪魔の方が光だと思うけど。
ちなみにとってもいらないプチ情報だけど、ホラーは無理でもモーコンのようなグロ系のゲームならできる。あれは俺的にはホラー要素が無いからセフセフ。
それにしても、こいつはなかなか上物の逸材だな……この歳でこれとは。
「だったらあそこにいる女と話してこいよ」
そうして俺はさっきのおままごと集団を再び指差す。よく見て、耳をすませば、今度はドロドロ昼ドラ展開をやっている。リアルすぎる。ネ○ちゃんかよ。あ、ドロドロついでになんか殺人事件が起きてる。しかも駆けつけた警察の演技まですげぇ。ちゃんと小道具まで用意してやがる。もはやおままごとの域を超えている気がする。皮肉混じりで演技力はすごいなあいつら。さすが、仲良しごっこで磨いただけはある。
「嫌ですよあんな立体の雌の集団。あれを見ているくらいならゴキブリの顔を正面から見た方がまだ可愛いですよ」
「だよな、ゴキブリって見た目も存在も嫌だけど、動画とかで正面から見ると意外とキュートな顔だよな」
即座に同意しちゃう俺……ま、三次元にもそれが当てはまらないのが確実に一名居るが。そう、我がいもうとだ! さっきまでのゴキブリに冷却スプレー七百本程吹き付けて凍らせた後処分してもまだ差が存在する可愛さ。今の説明で理解できる人は居ないだろうし、説明できない。なお、俺自身も今の説明で理解できなかった。それ以前に何一つ説明してない。
ついでに、動画って言ってもスネークで蛙さんのやつだけど。あれ一日一回あの声であの挨拶を聞かないとちょっと落ち着かないんだよな。見事に洗脳されとる俺。 なお、名前についてはプライバシーやらなんやらに配慮して変えてあるから本当の名は違うぞ。さすがに知ってるか。
というか俺の予想以上の逸材だこいつ。この年でまさかの二次趣味か。
「……お前、プリキュアなら誰が好きだ?」
一つ聞いてみる。本物ならーー
「プリキュアですか? 勿論キュ○ハートですけど?」
「即答か」
まさかのズレ無しの即答でちょっと驚いた。グレートですよこいつァ
……つ、使い方正しい? 俺怒られたりしない? それ以前にこの回答で本物かどうかは分からない。だって僕そんなにプリキュア詳しくないもん。近所の映画館は子供が多いから態々隣駅の映画館行って観てる程度だもん。
「奏士さんは?」
「俺はキュ○ハッピー」
特に変身後が好き。
「ぶっちゃけ、プ○キュアって二次元あるあるの前髪の真ん中にひと房系の髪型って少ないんですよね……」
「だよな。対象が幼女だからってのもあるんだろうけどな。ぶっちゃけ、俺が選んだものそれが理由の一つだし」
ところで、あの二次キャラによくあるあの髪型ってなんて名前? 調べてるけど、未だによく分からん。
「僕も、それが理由の一つです」
またもや謎のシンパシー。
後、俺あんまりドリル系シニヨンって好きじゃないんだよな……でも、欲しいゲームで三本全部買うとアペンドが手に入るってのがあるんだけど、二番目のヒロインがそれなんだよなぁ……どうしよう。とりあえずアペンドのために買うけど、攻略がなぁ……でも、どんな作品にも個人的当たりとハズレとかハズレに近いやつなら一人は居るし……ホント、どないしよ。とりあえず、シニヨンにはチャイナカバーをつけることを義務付けたい。間違えても、某星人のナニケースでは無い。チャイナのやつである。正式名称は知らないけど。
その後、謎の意気投合した俺たちはお互いに本を読みながら語り合った。
「ところで、お前さっきから何読んでんの?」
「新○魔王ですけど?」
「……まぁ俺は関係無いし別にいいか」
「そう言う奏士さんは?」
「ワ○ハイ」
「よく園児の居る前でそんな堂々とエロ漫画読めますね。と言うか僕の以上にアウトじゃないですか」
「慣れの問題だ。それに、カバーしてるし平気だろ」
「その慣れは一生必要なさそうです」
「安心しろ、お前も十八禁の一線を超えたら分かる」
「とりあえずさっきからカチャカチャ煩いんで右手のそれやめて貰えます?」
「そんなに煩いか?」
「煩いと言うよりちょっと気になります。というかよく片手でその速度で解けますね」
「これも慣れだ。俺はこれでも過去のギネス記録を非公式で塗り替えた程の腕だぞ」
「知ったこっちゃりありません。それに、『非公式』で『過去の記録』なら意味無いでしょう」
「……辛辣だねぇ」
たまにこんな話もしながら、時間は過ぎていった。
ちょっと遊んで見ました。こういう園児が居たら良いなって思います。作者の園児時代はプロのトーマスマニアでした。ブリキュアとか戦隊ヒーローも好きです。結局、一人で遊んでましたけど。次回もお楽しみに。




