男も女も皆平等に、殴る時は顔を殴れ
「柳奏士、お前には我が宿木学園生徒会に副会長として入ってもらう。」
「・・・・・・はぁ!?」
唐突に突きつけられた現実に思考が停止するも、何とか戻ってこれた。
危ない危ない。このまま返事無かったらただの屍認定されて完全蘇生呪文をかけられるところだった。アンデッドにも効くから俺にも効くはず。まぁ俺にかける奴なんて居ないだろうが()
「理事長、そこの男を生徒会に入れるつもり?」
花伝が淡々とした口調で言う。ただ、明らかに不快感を込めた発言だ。
「ああ、そうだ。なにか文句あるか?」
「生徒会は生徒の見本。そして、学園の代表。そのような濁った目をして態度の悪い、いかにも小悪党みたいなかませのようで反面教師にすらならない男を生徒会に入れるつもり?それよりも、どうやったらそれだけの隈を作れるの?」
おぉ、こいつすげぇな。出会って間も無いって程でもないけど、本人目の前にして・・・・・・と言うより指さしてこんなにもボロクソに言うとは。つーか初対面でここまで言われたの初めてだ。せーのっ、貴方が私達にくれたもの〜♪言葉にならない不快感〜♪まぁ、言葉にしているだけマシだろう。
というより達では無い。俺以外に居ないし。そこは勘弁してくれ。
わかった、こいつ俺の嫌いなタイプだ。前に感じたモヤモヤは多分これだ。
俺コイツ嫌い。俺コイツ嫌い!大事な事なので2回言いました!
もういいや、こいつの事はこれから呼び捨てにしよう。気を使うに値しねぇ。
さて、御託はここまで。言い方を変えるなら「御遊びはお終いです」セリフがインドの破壊神みたい。あのちょっと有名な大型下方修正を食らった破壊神。
話を戻そう。帰りたいし。
「そうだ。この男を生徒会に入れる。この男は見た目と性格こそ最悪だが、実力はある。必ずお前の役に立つだろう」
「ちょっと?人のこと勝手にボロクソに言うの辞めてくんない?実際そうだから何も言えないけど」
「ならば黙ってろ。話が進まん」
「へいへい・・・・・・」
もう!この人可愛い見た目してほんと暴君なんだから!
まぁ、暴君には従わなきゃいけないので黙ってるとするか。
・・・・・・今思うと悠ちゃんってそんなに暴君かね?まぁ、いいや。訂正めんどいし。それに强間違ってないところがあるし。
でもこの見た目で暴君っぽいことしても幼女が大人ぶってるようにしか見えないから微笑まs
おおっとやめよ。悠ちゃんの殺気を感じる。
「その男・・・・・・奏士が居なくても大丈夫。私一人で十分回せる」
おお、今、身内以外の女に初めて名前を呼び捨てにされたかもしれない。
「しかしな、お前がもし倒れでもしたら誰がやる?お前一人で回るということは、お前以外やり方を知らないということだ。そんな時にお前と同等の能力を持った者が居れば現場の支障は少なくなるぞ。最後に、こいつは今なら無期限のタダ働きをさせら・・・・・・コホン。してくれるやつだ。お得だそ?滅多にないぞ?」
せめて取り繕うならもっとやれよ・・・・・・この理事長どっか抜けてるんだよなぁ
「体調管理はバッチリ。寧ろ、奏士が居ることで逆に崩す可能性大。よって要らない」
・・・・・・少し、意地になってる感じがあるな。だが・・・・・・いいぞもっとやれ!俺は生徒会に入るなんてゴメンだ!
「なぁ、あんたはどうしてそんなにも俺を生徒会に入れたいんだ?」
「さっきも言っただろう。お前と言う有能な働き手が居るからだよ。」
「それもあるだろうが、本当の意味を聞いているんだ」
ちょっとキレ気味のマジトーンで言ってしまった。
でも、ここら辺しっかりしておかないとこの人は後々面倒だからな。
「まぁ何、ただの従姉としてお前に思う所があるってのもあるしな。何より・・・・・:」
そこで言葉を区切って少し考えるような素振りを見せた後俺の方を見ながらーー
「ここなら、奏士。お前の探しているものが見つかるかもしれんぞ?」
「・・・・・・ちっ!」
さすがにこれ以上何を言っても無駄だ。仕方なく受け入れるしかあるまい。アイツもそれを理解しているのか何も言っては来ない。
「わーったよ!やればいいんだろ、やれば。」
「そうだ。素直にやればいい。あ、ちなみにもし問題を起こした場合、それなりの処分を下す。心しておけ」
「もうちょっと聖職者の自覚を持てよ・・・・・言葉は選ぼうね?」
なんてことを苦し紛れに愚痴りながらタイミングよく聞こえてきた予鈴と共に生徒会室を出た。
帰り際に悠ちゃんに言っておかなきゃいけないことがある。
「あくまで、生徒会役員になるのは俺の意思だ。そこら辺はよろしく頼むぞ。下手したら法に触れるからな」
「そこら辺は分かっている。だから、お前がそうするように仕向けたからな」
相変わらず悪知恵は回るもんだな。この場合リスクリターンの計算か。まぁ俺も人のこと言えないけど。
教室に戻る途中、不意に腹が鳴る。
あ!俺昼飯食ってねぇ!
キーンコーンカーンコーン
聞き慣れたチャイムをきっかけに午後の授業が全て終わる。一週間分の睡眠不足のせいか午後の授業は休み時間と指名時以外寝潰してしまった。俺の109の特技(増えちゃったよ)の一つ、「危険時に反応して目覚める」である。俺はどっかのエージェントか?別に料理好きでも教育者を目指している訳でもない。まぁ、別にエージェント出なくても訓練次第で手に入るコモンスキルだけど。
ひとまず内容確認の為に黒板を見るがこれくらいならわかる範囲だから問題ナイジェリア!・・・・・・ダメだ、まだ寝惚けてるな。いつも通りか。
俺はあまり寝れた試しがない。いやまぁ「さっきから寝ていて何言ってんだこいつ」って思うだろうが、まじでね。寝れることには寝れるんだけど、正しくはいくら寝ても夢を見て起きてしまうと言った方が正しいか。元々寝付きは悪く、ぐっすりとは寝にくい体質も合わさり、幾ら寝ても足りない状態が続いている。寝る時は睡眠薬を服用して、強制的に深い闇の世界(眠り)へと持っていかないと眠れない。こんなにも長時間寝たのは実に久しぶりだ。原因としては、やはり久しぶりに赤の他人と関わったことか。
まぁ、そんなこんなで幼少期から培ったこの隈は消えることは無いだろう。その濃さは正しく十二天将の『白虎』の名を継承できちゃうレベル。まじか、俺って陰陽師の素質もあったのか。まぁ、あの一族最初は暗殺集団と化してたけど。
さて、どうでもいいことはここまでにして、帰るとするか。今日の夕食は昼の弁当でいいか。これが夏だったら考えるが、幸い今は春だ。保冷剤と保存のきく食材が多いから大丈夫だろう。
教室を出て、昇降口で靴を履き替え、駐輪所に自転車を取りに行く。入学してから1年とちょっと。慣れてきたものだ。まぁ、毎日これの繰り返しだから慣れるのも必須ってところか。
今日は特に買うものは無かった筈なので直帰する。最初は片道20分だったが、今では片道5分で行けるようになった。帰宅部の執念ってやつだ。べ、別に一緒に帰る友達が居ないって訳じゃないんだからね!まぁ、居ないけど。どっちだよ。
家はここいらじゃ大きい部類に入るだろう。確
か・・・・・・江戸時代からあるって言ってたな。別に名家という訳ではなく、地味に生き残った部類だそうだ。山とか林とか森とかの方だし。これの日本家屋をぐるりと囲む塀は結構目立つ。ここで待ち合わせるやつが居るくらいだ。リア充が我が家の近くでイチャつくのはいけ好かないからそろそろ『待ち合わせ禁止』の張り紙でも貼ろうかと考えるレベル。
・・・・・・今思うと、なしてうちの前で待ち合わせんの?
さっきも言ったが家は住宅街から少し離れて周りが自然だらけだ。そんなところで態々待ち合わせるとか正気か?何、あれか。エロ同人みたいに「ぐへへ・・・・・・お嬢ちゃん、こんな人気のない場所に一人でいたらダメだよぉ?俺達みたいな悪い大人が寄ってきちゃうからねぇ」的な展開を狙ってんのか。なんだ、ここに来たやつみんなくそビッチじゃねえか。偏見が凄いな俺。
ちなみに、俺はそれ系のジャンルは読まない。虫唾が走る。
ついでに追加情報。後ろには山があり、山菜が採れる。それなりの広さがあるのでサバゲーをやるやつが時々現れる。これの対処が超大変。
そして、1番目立つのが庭の倉庫だろう。いかにもいわく付き感が出る、超和風の倉庫。中には色々なものが眠っている。こっちも曰く付き感・・・・・・どころか曰く付きが出る。ちなみに電気・水道・ガスが通っていて、食料もあるのでので少しの間なら過ごすことが出来る。何度か使ったことがあるが一体何から隠れるために整備されたんでしょうか。俺も知らん。今で言うお宝が眠っているらしいがぶっちゃけ大した興味はないから価値は知っているが殆どガラクタ程度にしか思っていない。だから誘惑の無いここで勉強とか、集中するためにここにはよく籠る。
ちなみに、これは全て祖父の持ち物を俺が譲り受けたものだ。両親は今、家に居ない。祖母は俺が産まれて直ぐに死んだ。祖父は俺が小学生の頃だ。祖父が死に際、家に親の居ない俺に財産を譲ると言い、親戚も反対はあったが、納得してくれたので、今俺の元にある。
ちなみに、全て私有地だってさ。家ってやっぱり世間一般で言うところの「金持ち」だよな?まぁ金持ちは俺じゃないからそこいらの勘違い馬鹿みたいに威張ったりしないが。威張る相手も自慢する相手もいないし。
ちなみに、あまり遺産を使いたくなかったので、特待生制度と、働いた給料で生活している状態だ。
家事をして、日課をこなし、一通りの事をやってから寝る。いつもの一日だ。ただ、いつもと違うのは疲労が半端じゃないって所か。疲れたー。眠いー、寝るー。
あ、ちなみに俺は布団を床に敷く派だ。
はぁ、明日から生徒会かー。やだなぁ。
まぁ、愚痴っても仕方ないし、もう寝てしまおう。
行きたくねぇなぁ・・・・・・
朝です。雀がチュンチュン鳴いています。珍しいな雀なんて。あ、目の前で雀が交尾を始めた。やめろやめろ、朝からそんなもん見せんじゃねぇ。俺の目覚めを返せ。まぁ、大して寝てないけども。それに俺は野生の動物の交尾を見て興奮する程発情期末期ではない。ちな、思春期=発情期な。別に間違っちゃいない。人間も所詮野生の動物だ。他より脳が発達しただけの。
昨日はいつもより早めに寝たので今日はそこまで体調が悪くない。でも、目が覚めた瞬間にどっとくる疲労感。これでプラマイゼロどころかデバフが勝っている。寝る起きるを繰り返すと以外と体力持っていかれるよね。ホント行きたくねぇ・・・・・・
朝はやることが決まっているので、楽でいい。顔を洗い、歯を磨き、洗濯機を回し、朝食と弁当を作る。もう手馴れたもんだ。どうでもいいが、元・料理人の祖父に4歳の頃から鍛えられただけあって料理に関してはそこそこの腕だと思う。あの爺さん、他に和菓子職人の顔を持っていたりと多芸なんだよなぁ・・・・・・一体幾つ顔を持っているのか未だに把握しきれてない。謎だらけ・・・・・・いや、謎だら家だ。
簡単に朝食を済ませ、洗濯物を干し、家を出る。いつも出るのは遅刻ギリギリだ。
ぼっちの中には自分の席を取られないために早く行く者もいるそうだか、生憎と俺はそこいらのぼっちとは違うメンタルが強めのぼっちなので堂々と遅く行く。遅く行って早く帰る。これが鉄則。ただ、教室に着いた時に自分の席に座れない状況だと超困る。だって楽しそうにしてるじゃん?声掛けづらいじゃん?結果気づいて貰えるまで無言の圧力をかけ続ける他無い。まぁ普通に近づいて「邪魔」って言えば即解決。但し、これをやると3割の確率でぼっちが加速します。意外と低いな。まぁ俺の場合は元々ぼっちフルスロットルだったからこれ以上加速しようがないんだけど。というかそれでも翌日やってるあいつらの思考は異常。
・・・・・・ちっ、バレー部所属の騒ぐだけの低脳の風間が・・・・・・俺あいつのことすげー嫌い。ぼっちとか色々拗らせた奴なら皆書くであろう『許さないリスト』にしっかりと書いてある。
え、書くよね?だって某千葉の自称プロぼっちも書いてるって言ってたし。書かない?マジか。ならば絶対に見つからないようにしよう。レベルはエロ本隠す時と同じ最高難度で。まぁ隠してないし持ってないけど。エロ同人なら持ってるし本棚にある。なんならエロゲも棚に置いてある。隠す気ゼロ!
隠すということは疚しさが生まれ、かえって「見つけてくれ」と主張しているようなものだ。ならば隠さず、億さず、堂々と。まぁこれを見つけた悠ちゃん達のあの目は一生忘れないと思う。あの優しい目はやめて欲しかった。意外とツラい。でも、「お前にしっかりと性欲があって良かったよ・・・・・・でも、三次元であって欲しかったけどな」って少し涙目で言われた方がツラかった。ごめんね俺二次元といもうとにしか興味無いんだ。
お話のつ・づ・き☆(キモイ)
駅が近く、店が多いからか朝でも車が多い。ついでに運転が荒い。まぁ、昭和通りなんてそんなものだ。実際、茨城の運転は荒いってよく言われてるし。茨城ダッシュとか。
自転車をこぐこと数分、見えてくるのは我が学び舎宿木学園。俺は誰に何を言ってるんだ?やっぱ今日は休もうかな・・・・・・
それでもペダルをこぐ足は止まらず、とうとう着いてしまった。大人しく教室行くか・・・・・・
入室と同時にチャイムが鳴る。まだ担任は来ていない。よしセーフ。うちの担任は基本来るのが遅い。俺が遅刻ギリギリで来ている理由の一つでもある。それに、悠ちゃんの知り合いゆえ、昔馴染みでもあるのでうちの事情は知ってるから多少の融通は効くだろう。
その後、HRが終わり、1時限目の授業が始まった。今日は国語か・・・・・・
国語は余裕で満点取れるくらい得意だし、聞かなくてもいいや・・・・・・
睡眠薬の効果が現れ始めたのか、激しい睡魔に襲われる。非暴力を望む俺は戦うことはしない主義なので睡魔と共存の道を選ぼう・・・・・・端的に還元すると、抗わずに寝てしまおう。ほら、言うだろ?春眠抗い叶わずって。言わないか。
あ〜ダメだ。もう眠い。おやすみなsグゥ・・・・・・
奏士は割と心の中は饒舌だったりします。無口あるあるだよね。ソースは俺。そして奏士の捜し物とは一体・・・・・・これが伏線になるかは作者も知らん!でも多分どっかしらで帳尻合わせの回収すると思う。