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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第二章 第二の始まり。それ即ち、面倒事の増大也
19/133

お菓子を食べたら眠くなるけど抗うな

調理室に集まった俺達。メンバーは俺、紅葉、ベル、依頼人と……


「どうも〜 皐月さつきちゃんがさっきはお世話になったそうで〜」


なんか凄いふわふわした人。


肩まで伸びた明るめのミディアムヘアに、シャツの上は灰色のカーディガンを来た女子校生が現れた。


「あっ、この娘、皐月ちゃんって言う名前なの〜」


ギャルさん改め皐月さんか……凄く予想の範囲内の名前で助かった。もしキラキラネームだったらどうしようかと思った。全国の親は、子供につける名前は年齢の一桁に″8″が入った時に辛くならない名前にしてあげようね。そうネットに書いてあった。


でも、そういう名前つけるってことは感覚もヤバめにだから無理だろうな。俺の偏見含んでるけど。


「私は神無月遥かんなづきはるかって言うの〜」


お構い無しに自己紹介を続けるゆるぽわさん。成程、確かにぽわぽわしている。主にアレが。察しろ。


「みんなよろしくね〜」


「よろしく」


「よろしくデース」


そして二人とも順応が早い。いや、俺が警戒し過ぎなだけか?


「そんで……遥さん、だったか?料理の腕はどれくらいだ?」


「私は〜、お料理はさっぱりで〜、焦げた目玉焼きダークネス・エッグを生み出すことができるの」


「そうか、なぜ最後だけカッコつけてキメ顔で言ったのかは聞かないでおく」


このゆるぽわ星人使えねーな。何しに来た。


「なぁ、皐月さんよ、この人なんで連れてきた?」


三人が仲良く話している間に俺は皐月さんに近寄って小声で聞く。


「しょうがないじゃん。だってこの子最初からずっと私の相談に乗ってくれたんだし、今回も一緒に居ないとじゃん」


皐月さんも小声で返してくれる。


「幼なじみか何かか?」


「そんなんじゃないけど、結構昔からの付き合いなの。 こんな私にずっと付き合ってられるあの娘を突き離すなんて出来ないし、したくないの」


「……お綺麗な友情だな」


「あんたには縁がないみたいだけどね」


そりゃそうだ。 俺は別に友達とか要らんし。むしろ一人だと超生き生きしてる。水を得た魚ならぬ水を得た旅人のように生き生きとしている。あんまり伝わらない例えだなコレ。


「二人とも、何話してるデス?」


|ベル(厄介なやつ)が近寄ってきた。


「まさかサツキは……耳が弱いんデスね! だからソージに耳責めを……ズルいデス!」


「……アンタも苦労してるんだね」


「もう慣れた」


やはり頭の悪いことを言い出したベルは放っておいて、俺達四人は菓子作りを始める。


「さて、一応聞いておくが……この中で菓子作りをしたことがある人、挙手しろ」


俺がそう言って上がった手は俺と紅葉の二人だけ。嘘だろ?


「アンタほんとになんでこの人連れて来ちゃったの……」


俺は遥さんを指さしながら皐月さんに聞く。


「いや、ほんとに……なんかゴメン」


「あれ〜?」


申し訳なさそうに謝る皐月さんと未だにふわぽよしている遥さん。紅葉は料理は出来ないけど菓子は作れるのに……もう遥さんの価値が癒しのオーラ的なものと二つのふわぽよしかない気がする。


「と言うかアンタ男の癖にちゃんと菓子なんて作れるの?」


と、俺に聞いてきた皐月さん。ま、気持ちは分かる。俺みたいなやつがまともに作れるとは思わんよな。


だけど、そこは俺だ。超ハイスペックを自称する俺だぞ。


「あまり俺を舐めるな。簡単な菓子もそれ以外も、作れる。なんなら今ここで証明してやろうか?」


材料は多めに用意してあるし、多少は大丈夫だ。


「紅葉も作るか?」


「私は別に……」


というわけで、俺一人、まずは作ることになった。


「つーか、ベルが作れないのは意外だな」


「あー、ワタシは普通の料理だけ練習してキタので、ほかはさっぱりデスよ」


「アンバランスだな……」


よく聞いてみれば、簡単なデザートくらいなら作れるが、菓子作りは無理との事。フ○ーチェは作れるのかしら。


気分を切り替えて、クッキー作りに集中しますかね。と言っても、生地作って焼けばいいだけなんだけどさ。初心者でもちゃんと作れば失敗しないだろ。なお、バターと生地をしっかりと混ぜないと粉っぽくなって生地がまとまらなくて、水を足す馬鹿がいるそうなので、気をつけようね。ソースは悠ちゃんと昔の俺。初めては誰もが経験することだと思う。


なお、それを焼いても食える。個人的に普通のクッキーよりも好き。やってみるといいよ。怒られるの覚悟で。


「へぇー、手際いいね」


横から覗いてくる皐月さん。


「別に、いつも家で焼いて食ってるからな」


レッツメイキングスウィーツだ。″レッツ″と言っておきながら作るのも食うのも俺一人だけど。


「クッキーは素を使ったり、使う材料によっては時間がかかるが……今回はクッ○パッドに載ってる時短クッキーを教えるぞ」


コネコネして、型とって、オーブンでバーニン。そうして出来上がったクッキーたん。


……クッキーたん、か……今度描いてみよう。多分遥さんみたいにふわふわしててクッキーの甘さのように優しい同級生って感じがする。そして髪は茶で、少しウェーブのロング。よし、帰ったらまずはそれだな。


ものすごくしょうもない考えを浮かべている俺は無視され、四人はクッキーを食べていた。いつも間に紅茶入れたの?


「うわ美味っ! 男でこれかぁ〜……」


「美味しいね〜」


「さすがソージ……旦那さんがこうだと、妻として誇らしいデス」


何故か誇らしげに胸を張り、俺にサムズアップをするベル。その指へし折りてぇ。


「誰が旦那だコラ。おめェみてぇなやつ嫁に貰った覚えは無ェ」


「はい、だってソージはお婿さんデス」


「屁理屈を述べるな空け者」


「空け者!?」


多分人生で初めてこの言葉を他人に言った気がする。そして何故か紅葉だけ無言なんだが……


「……………………」


あ、やっぱりものすごい速さでクッキー食べてました。なんか「サクサクサクサクサクサクサクサクッ!」って音が途切れない。ちょっと怖い。


とりあえず、対紅葉用に予めクッキーは多めに焼いておいたから、大丈夫だと思ったんだけど……


「紅葉が使い物にならなくなったので、これからは俺一人でやることになった。さて、食ったら始めるぞ」


『んーあー』


三人同時に大して聞いてないような返事をする。


と言うか、このままだと本当に文字通りの放課後ティータイムになってしまう。楽器一つも使ってないのにそうなってしまう。俺がこの前出来なかったことをここでやるとは……一度俺一人で全て兼任の演奏やってみようかな。一つ一つ動画撮って編集する必要があるけど。機材も楽器も蔵にあるし。


そして皐月さんの実戦開始である。


「そう、そうやってラップの上からめん棒で……」


「こ、こう?」


「それであってる。めん棒で伸ばす時に割り箸で位置を決めておくと色々便利だ」


「成程……」


俺は色々やらかしそうなので、付きっきりで皐月さんを見ることに。ほかは戦力外なので、離れた場所で未だティーパーティー


「な、なんだかいい雰囲気デス……」


ベルからの視線が凄い。なかまに なりたそうに こちらをみている! なかまにしてあげません。選択肢は一つだけなんだな。


「大丈夫だよぉ〜」


遥さんがゆるーく返す。段々この緩さは酔っ払ってんじゃないかと勘違いするほどだ。


「皐月ちゃんはずーっと前から禍塚くんだけを見てきたから〜」


「今更他の人に興味は無いよ〜」と付け加える遥さん。


「それならいいのデスが……」


だが、ベルはそれでも少し不機嫌だ。仮にも好きな人がほかの女と一緒に居ることが面白くないのか。これが俗に言う乙女心というものか? 解は存在するがこの世で最も難解で、公式はあるが解くことは出来ない超絶難問。一言で言うなら超面倒臭いやつ。


「それにしても……」


と、ベルが話と表情を切り替える。あ、こいつろくなこと考えてねぇな。


「エプロン+乙女ギャル+お菓子作り……ヤバイデス。萌え要素に興奮してキマシタ」


ほらな、やっぱりろくなこと考えてなかった。


「サツキはかなりの美少女デスし……幾ら払えば一発イケますかね」


お前そっちもイけるタイプだったのか。見境ねぇな。


「でも、初めてはソージとって決めてマス……はっ!」


何か思いつたのか、こちらに来るベル。


「ソージソージソージ!」


「確実にろくな考えじゃないだろうが、一応聞いてやる。なんだ?」


「今すぐここで一発ヤっちゃいマショウ!」


「今すぐここで一発殴られたいのか?」


俺がコキコキ指を鳴らすと、即座に後ずさるベル。残念。


「ソウデスか……ソージは一発と言わず、二発三発とヤりたいのデスね」


「悪い、ちょっと菓子作りは中断だ。一発と言わず二発三発顔殴ってくる」


そう皐月さんに言い残してベルの元へ向かおうとするが、「ちょい、待てや」と首根っこを掴まれてしまった。


くそう、肝心の紅葉は、こういう時は常識人寄りの紅葉は何処へ?


「すぅ……すぅ……」


窓際の机で日向ぼっこしながら寝てました。日向でぼっこぼこにしようか。


そんなこんなで俺のSAN値と引き換えに出来上がったクッキーの味と見た目はーー


「い、一応クッキーできたけど……」


「こ、これは……」


形は悪いしちょっと焦げてる。幾つか食べてみるが、かなり甘いもの、逆に大して味がしないもの、そして焦げて苦いものばかりだ。正直、これを貰って食いたいかと聞かれたら確実にお断りするレベル。


俺も他人に教えるのは初めてだし、この人も菓子作りをやったことがない初心者とはいえ……


「や、やっぱり……ダメ、だよね」


「さすがにこれは……アウトだと思う」


凄く申し訳なさそうにする皐月さん。俺もいたたまれなくなるからやめてください。ごめんね力不足で。


「ま、とりあえず壊滅的に下手って訳じゃ無いみたいだから、これなら練習すればどうにかなるレベルだ」


「……マジ?」


マジのマジ。大マジ。とりあえず食材をあっという間に炭に変化させた紅葉よりはマシ。あれ片付け大変だったな……


「そう……それならーー」


皐月さんはそう言うと遥さんの方を向いて


「はるちゃん! これから練習に付き合ってちょうだい!」


と言った。


「いくら私でも、炭は食べられないよー?」


「次からは炭にならないように頑張る!」


と言うか何気に失礼な遥さん。それでも普通にスルーして話してるあたり、これも友情のなせる技と言うやつなのか。


「それじゃ、三人ともありがとねー!」


そう言うと遥さんの腕を引っ張って調理室を出ていく皐月さん。その際、遥さんが「あ〜れ〜」とか言い残してたけど、意外とノリがいい人なのだろうか。


「つーか、これ俺が片付けんのか?」


目の前には調理道具が片付けられずに残っている。めんどくせぇ……


その後、気づいて戻ってきた二人と道具を片付けて、今度こそ調理室を後にする。その際、まず初めに「ごめん、忘れてたー!」って言えるあたり、意外と礼儀正しいのだろうか。いや、当たり前のことなんだけどさ。


というか、″三人とも″って言ってたけど、俺以外役に立ってねぇじゃねえか。ベルは作れなくて話してただけだし、紅葉に至っては俺の食ってその後寝てたし。


そして、未だに目覚めない紅葉はどうするか。


「……こいつどうする?」


「モチのロンで、ソージが背負って行くデスよ」


「……重いんだけど」


とりあえず、今日の夕飯はピーマンの肉詰め(ピーマン増量キャンペーン)にしてやろうと思った俺だった。

次回で、第二部は完の予定です。次回もお楽しみに?

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