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輪廻のFate Line  作者: 怪人アホ面男
第二章 第二の始まり。それ即ち、面倒事の増大也
18/133

乙女と淫獣の違いってそこまで大差ない。両方根底は性欲だ

俺が頭痛に悩んでいることなど露知らず、二人はそれぞれ自由に過ごしている。


「……紅葉、今日の仕事は?」


「今日は目安箱の整理」


「また溜まったのか……」


アレ・・をまたやらなきゃいけないのか……心底お断りしたい。


「目安箱?」


ベルがキョトンと首を傾げて聞いてくる。


「ああ、別名『パンドラの箱』だ。希望なんて底にも残ってないからそれ以上にタチが悪いぞ」


無論、嘘である。俺が咄嗟に思いついたでまかせだ。


「ほへー」


ベルが目安箱を一瞥するが、すぐに興味を失ったのか見向きもしなくなった。


「とりあえず開けてくか……」


覚悟を決めて椅子に座って作業開始。とりあえずは中身がギチギチに詰まった箱の蓋を開ける。中身が弾け飛ばないように。


「中から白いものが大量に溢れ出てる……大人デス……」


「おめぇもかよ」


よく見たら、いや、よく見なくても紅葉が前に描いたやつが未だに残っている。消せよ早く。


えーっと? まずは……


『新会員が入ったとの事ですが、早速良いですか?』


……ねぇ、前にも思ったけど誰だよこれ。何? 予知能力? それともカメラかなにか仕掛けられてるのか? ……もしかしてーー


「? ソージ?」


突然立ち上がった俺を不審に思ったのか、ベルが尋ねてくるが、それよりも……


「奏士、掃除ロッカーの前に立ってもギャグにはならない」


紅葉のボケが炸裂する。


「違う、まず前提が違う」


俺が掃除ロッカーへと向かったのはあるわけがある。それはーー


「ーーせい」


思いっきりロッカーを持って横へスライドさせる。


「なんと!?」


「!?」


ロッカーの後ろから現れたのはーー


「あら」


カメラを持った女だった。


「……やっぱりてめぇか」


「おやおや、もうバレましたか」


その女はのっそりと潔く抜け出てきた。


「ほへーこのロッカー動くデスか」


「知らなかった」


二人は突如現れた女よりも、ロッカーのギミックに驚いているようで、こちらを気にもとめない。もっと気にすることがあるだろ。


「で、誰だてめぇ」


「人に名を尋ねる時は自分から名乗れっていうルールを知らないんですか」


「ストーカーで盗聴犯に名乗る名は無ェ」


「あっはっは、これは一本取られましたね」


とりあえずやばい女だという事はよぉーくわかった。


「では改めまして」


女はカメラの紐をクビにかけると敬礼のようなポーズを取った。


「私は新聞部・広報委員の一年、頼金千聖よりがねちさとと申します! 以後、よろしくです」


「はい、よろしくお願いしないからとっととデータ消して帰れ」


「おっほっほっほっほ、お断りします」


愉快そうに笑ったこいつは急に真顔になり突然のお断り。一々イラッとくるやつだな。


「それで? なんで千聖ちゃんは私たちをロックオーン! してるデスか?」


突然ベルが話に入って聞いてくる。お前もうロッカーは良いのか? それと、何故そこロックオンだけちょっと変えた?


「いえいえ、別に他意は無いですよ」


「そうなんデスか?」


「はい、噂と生徒会長と突然入会した無名の副会長のスキャンダルを一発バチコーン! と撮っちゃいましょうと思いまして」


「うん、だろうと思ったわ」


すごいなこいつ。一切の他意は無いけど欲に忠実過ぎる。


「その上で、その無名の副会長に転入早々あつーいキスを公衆の面前でかました人が生徒会に入ったと聞いたので、もう一発バチコーン! と撮ろうと思いまして」


「話に尾ヒレ付きまくりだなおい」


というか「聞いた」じゃなくて「盗聴した」だろ。


「ちなみにずっとここに潜んでました」


「欲に正直過ぎる」


こいつアホやろ。


「とりあえずこのボタンは処分していいんだな?」


そう言って俺はブレザーの第五ボタンを外して握る。


「あ、出来れば返して頂けると……」


「制服に仕掛けられた盗聴器を素直に返すと思うか?」


「盗聴器!?」


ベルが驚いているが、そんなことはどうでもいい。問題は『何時仕掛けられたか』だ。


「……俺は学園にいる間はずっとブレザーを着ていたんだが……何時ボタン変えた、あ゛? キリキリ吐けコラ」


「おっほー、怖い怖い」


俺が威嚇しても普通に笑っているあたり、めんどくせぇなこいつ。俺も本気では威嚇してないけど。


「別に変なことはしてないですよ? ……昼食時に先輩が席を外した時にこう、ささっと」


……あー、思い出した。そういやこいつ前に一度クラスで見たな。そん時は誰か知り合いが居んのかと思ってたけど。そん時確かに俺はトイレに行くために邪魔なブレザーを脱いだが……


「……待て、それは俺が生徒会に入る前だぞ」


「はい、ですから先程申し上げたことは半分です」


……いや、考えて可能性は低すぎたから排除していたけどまさかな。


「元は先輩を取材するために取っつけた物です!」


ビシィ! と親指を立ててすげえドヤ顔をする盗聴犯。


「余罪はたっぷりだな。 後は野生のお巡りさんに話せ」


「お巡りさんに野生とか無いですから。あっ、通報は勘弁してください」


なんだ、せっかく盗聴犯が居るから善良な市民として貢献しようと思ったのに。


とりあえず俺は後ワンプッシュでポリスメンに遭遇できたこのチャンスを捨てて、スマホをしまう。残念。


「でも、ご安心を」


「盗聴されてる時点で安心もクソもあるか」


つーか犯人の台詞じゃねぇ。


「それの効果範囲はせいぜい学園内まで。つまり……先輩が家で何しようとナニしようと聞こえません!」


「なんだ、そんなにポリスメンと放課後デートしたいのか?」


「冗談ですすみませんもうしないので通報は勘弁してください」


再びスマホを持った俺を見た頼金は早口で言葉だけは謝ると俺の手を物凄い力で掴んで抑える。今どきの女子校生は皆ゴリラか何かなのかね。


「おら、とっとと帰れ」


「それでは、また何時か〜」


「二度と来るな」


随分とタフな盗聴犯はスタコラサッサと帰って行った。鍵かけてやれ。


「なんというか……凄い娘デスね」


「そうだな、お前もな」


「私はあの娘程じゃないデス」


こいつ……まさか自覚無しか?


「……とりあえず、仕事再開」


「すっかりカリカリ忘れてマシた」


インパクト強すぎて俺も忘れてた。


帰る前にこれを終わらせておきたいので、席に戻って嘆願書の開封作業へと戻る。


『今日の会長の下着の色が知りたいです』


……『日によります』っと。お次はーー


『副会長のパンツの色はなんですか』


……名前を見る。これ男か? とりあえず正直に答えると怖いから『気分次第です』っと。次


『理事長の下着の色を知りたいです。なんなら現物も(脱ぎたて推奨)』


……良かったな悠ちゃん。貰い手候補が居るぞ。かなり高レベルの変態だけど。というかさっきからパンツパンツパンツうるせぇ。みんな自分で聞けよ。次!


……ん? これはーー


「なぁ、紅葉。この依頼はどうする?」


「どれ?」


紅葉に紙を手渡す。ベルは紅葉の後ろから覗くようにして見る。


『好きな人に手作り菓子を贈りたいからアドバイスよろしく』


……何故か上からなのはこの際放っておくとして……


「これ、名無しなんだが」


「……この場合は、筆跡鑑定?」


「出来んのか?」


「無理」


さすがにやる装置も技術も持ち合わせていないので、差出人不明として公開するか……


そう考えながらもう一度用紙を見返していると、あることに気付く。


「コレ、嘆願書の専用用紙じゃねぇな」


「どれどれ〜? あ、ほんとデスね。見比べるとちょっと違うデス」


二つの用紙を交互に見ながら納得するベル。


「なんか全体的に色がちょっと違うし……これなら校内放送で呼び出せるんじゃねぇか?」


「やってみる」


そう言うと紅葉は奥に放送用のマイクを取りに行った。


「はい、奏士」


「え、俺が?」


持ってきたマイクを俺に投げる紅葉。お前がやれよ。


「……はぁー、しゃーねぇな」


覚悟を決めてマイクのスイッチを入れる。今度は噛まないつっかえない失敗しないぞ俺。


『あー、あー、生徒会からの呼び出しだ。目安箱に、専用の紙以外の色付き用紙に書いて入れたやつは今すぐ、十分以内に生徒会室に出頭しろ。放課後になってもどうせ部活もしないでそこら辺で駄べってんだろ。飛んだCDみたいに同じ話題ばっか繰り返して中身の無い話なんて今すぐに切り上げてさっさと来い。もしも明確な理由無く明日の放課後までに現れなかった場合は、明後日には堂々と張り出すことを覚悟しておけ。目安箱に紙を入れるなんてどうせ馬鹿か冷やかしかリア充くらいだろうからもう帰っているとは思わないが、万が一帰っている場合は知ってるやつがこのことを連絡してやれ。お前らのコミュニティなんて無駄に広いんだろ。以上だ。繰り返さないぞ』


ピンポンパンポーン


その音と共に俺の気は抜ける。よし、やりきった。


だが、二人はそうは思っていないようで……


「……ちょっと私怨入れた?」


「なんか怨みか何かを感じるデス」


「そうか? 別にそんなことは無いが」


至って真面目にやったぞ。確かに少し何時も思っていることが出たかもしれんが。声も変えたから正体は分からない筈だ。抜かりは無い。


なんて言ったら二人は「えぇ……」って引いてた。解せぬ。


そんなんで俺がこの後の対応を考えていると、突如生徒会室の扉が勢いよく開く。ノックを知らんのかこの学園の奴らは。


「さっき放送で呼び出されたんだけど……さっきの放送したのどいつ?」


入って来たのは『The.ギャルです』って感じの女。染めた金髪に、オシャレ程度に気崩された制服とカーディガン。短いスカートからはスラリと伸びた足。相当の自信があるのか、靴下はその美脚を隠さないように、それでいて美しさを引き出す長さ。足をより見せるコーデである。具体的には黒のスリークォータース。


「アンタ達……は違う。さっきのは男の声だった。つまり……」


例のギャルは紅葉とベルを一瞥すると、俺の前まで来て睨みつけてくる。


「さっきの巫山戯た放送をしたのはアンタ?」


「いや、さっきの放送は俺じゃない。さっきまでここに居た別のやつだ」


なんか胸ぐら掴んで『フルボッコだドン!』とかされそうだから咄嗟の嘘をつく。俺の特技の一つ、『息をするように顔色一つ変えずに嘘をつく』が役に立つ。もちろん、相手が読心術系の技術も持っていても対策として何一つ普段と変えずにしている。俺の嘘はバレない。


「ほんと? そいつの名前を言ってみて」


名前、ねぇ。予想はしていたけど、在り来りでそこそこの人数の名前と言えば……


「確か……」


ざっと0.2秒程熟考したその瞬間、俺の頭上に一つの名案ライトが点灯する。もちろん、LED照明。


「あ、そうそう、確か登柳とか言うやつだな」


「登柳ぃ〜?」


ギャルさんは再びこちらを睨むが、諦めたのかため息を一つ吐き、腰に手を当てて睨むのを辞めた。


「ま、その登柳とか言うやつは後でどうにかするとして……アタシの依頼、受けてくれる?」


「あの菓子作り云々ってやつか」


「そそ、よろしく」


手をヒラヒラさせてお願いをするギャル。というかこのギャル俺の嘘信じちゃったよ。登柳って明らかに俺の苗字を変えただけなのに。


「それなら、まずは送る相手のことを教えて」


「じ、実は……」


紅葉が聞くと、途端に顔を赤くしながらモジモジし始めるギャル。え、何? まさか想い人は俺……なわけないよな。絶対ありえない。さすがの俺もここまでふざけるつもりは無い。どうせあれだろ。あのクラスのイケメンとか言うやつだろ。相変わらず名前知らねぇけど。ついでにこのギャルの名前も知らないけど、どうせ俺の人生に置いてその場だけの名無しキャラだろうし。


「恭平にお、お、贈りたくて……」


「恭平?」


今この場の全員がキョトンとして?だらけになっている。誰やねん。


「ほ、ほら、アンタらも知ってるでしょ。禍塚恭平まがつかきょうへい、アタシのクラスの……体育のバスケでダンク決めてたやつ」


はて、そんなこと……あ〜あったな。あいつそんな名前なのか。と言うか苗字怖っ! とりあえずこの情報はRAMに入れておこう。どうせ不必要情報だし。


「あ〜あの人デスか。理想が高いデスね〜」


ベルもやっと思い出したようだが、殆ど興味は無いようだ。


「……対象は分かった。で、どんなお菓子を作るの?」


「手始めに、く、クッキーとか作れたらなーって」


そして未だにモジモジしているギャル。以外に恋する乙女のようだ。処女かは兎も角?


いや、この娘はファッションがギャル系デスが、確実に処女デスよ。


……おいベル、てめぇ何勝手に人の思考に介入してんだ。邪魔だからお菓子でも作ってろ。


イヤン、『犯してでも作ってろ』だなんて……さぁどうぞ! 準備は出来てマス!子孫繁栄に勤しみマショウ!


いっそモブおじに中古品にして貰え。


何故かベルと無言の会話をしている俺は、そうそうに切り上げて現実を見る。途中、目が合ったベルが「うふっ」とか言いながら身体をくねらせていたりした。そんなことされたら芽生えちゃうじゃん。殺意が。


「依頼はわかったが…… どこで作る気だ? 調理室は基本的に料研 (料理研究部の略)が使ってるぞ」


ちなみに、料研は何故かいつも食戟らしきことをやっているらしい。そんなに感化されたのか? 戦ってないで研究しろよ。


「そんなら大丈夫、今日はどっちにしろ練習するつもりだったから、許可は貰ってるから」


そう言って取り出した鍵の輪を指でクルクルさせる。用意周到は嫌いじゃない。


「ならば分かった、その以来引き受けよう」


ちゃんと準備もされていて、しっかりと手順どおりの依頼だ。断る理由はありまくり(主に私情で)だが、仕事だから受けなければならない。


一応二人にも確認したが、二人とも頷いたので了承の意と思っていいだろう。


「この後直ぐで良いのか?」


「あ、うん! あ、それとあと一人、連れて来てもいい?」


「どうだ?」


「大丈夫」


「別にいいデスよ?」


さっきから空気と化してる二人に聞いた。なんか話そうぜ。この中で一番コミュ力レベル低い俺が対応している事実と俺の勇気に拍手を。


なんて拍手が来るわけでも無いので、大人しく俺たちはそのまま先に調理室に行って準備を、ギャルはお連れを呼びに行くために教室へ行ってから来ることになった。


行く時は前に紅葉ら二人、俺が後ろに一人のフォーメーション()で歩いている。後ろに誰も居ないって安心出来る。


「そう言えば……」


と、ベルが何かを思い出したかのように呟く。


「あの人、結局名前なんデスかね」


それは俺も知らねぇ。


こうして、新メンバーを加えた三人でも初仕事が今、始まるのだった。

はい、謎のイケメンの名前がここで判明しました。自分で作ってて、「ウケケっ、苗字と名前で意味合い反対にしてやれ!」とか謎のテンションの中作っていました。やはりちゃんと寝ないとダメですね。でも、意外と気に入っている名前です。次回もお楽しみに。

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