伝説の木の下で
-NAMELESS SUPPOTER(笑)side-
なんやかんやあって翌日
面倒だし作者の指が崩壊しかねないから端的に換言すると、登校したら教室がなんか騒がしい。
いや、ボンボンのガキの集まりとは言っても所詮は多感な年頃。騒がしいのはいつも通りなのだが、今日は違っていた。
「…………」
いつも通り、誰かに挨拶されること無く自分の席に荷物を置いて座る。 最近欠員気味だった愛用の6面パズルも今日は出勤だ。
なぜ俺が6面パズルを愛用してるのか。 それはキャラ付けじゃなくて単にじっちゃんが一番最初にくれた物だから。 俺って物持ちいいのよ。 流石に経年劣化でボロボロだけど。
教室の喧騒はムー○ィ勝山を憑依されることで受け流し、いつも通りHRまで1人遊び。 暇じゃねぇぞ。
「奏士殿、少しよろしいですか?」
暇じゃねぇぞ。 それが通じない人もいる事を俺はよく知っている。 帰れ帰れ実質彼女持ちめクソが死ねよ。
「今朝、私の靴箱にこんなものが入っていたのですが」
そう言って莇が1枚の紙を見せる。
「なんだ? 殺害予告か?」
「いえ、今朝の分は既に処分しましたので」
「入ってたのか」
「平日は毎朝違う予告状が入っております」
まぁ差出人は疑う余地無く委員会の奴らか莇に嫉妬する男子諸君だろう。 俺は予告せずに殺るから違う。 目くそ鼻くそにも程がある。
「なんて?」
「『放課後、晴れていたら祝福の木の下で待つ』……差出人は不明ですね」
紙を見ると、手書きじゃない。 パソコンで打った文字を印刷したモノで、使われてるコピー用紙もどこでも買える様な市販品。
まぁ差出人不明だけど全てが物語ってるよね。 なんでこんなやり方なの薪姫華。
「これは行くべきでしょうか」
「俺からは何も言わないが死ね」
「最後に言ってますよね」
おっとついつい本音が。
「…………折角出されたんだ。 果たし状だろうとなんだろうと行ってみれば?」
「そういうものですか」
「そういうもんだ」
序盤の問題は解決したので、莇は放置して手元のパズルに戻る。 高性能なパズルも持っちゃいるが、やはり手に馴染むのは使い慣れたコイツだな。 まぁコイツ性能はそこそこだけど。 すんごい引っかかる。
「おらー HR始めるからお前ら座れー」
「っと、では」
チャイムと同時に教室に入ってきたも助に気が付いて、莇はその場を後にする。
まぁ莇の席は俺の後ろだから大差ない訳だが。
も助が幾つかの連絡事項と最近禁煙禁酒してるというクッソどうでもいい愚痴を吐いて教室を出ていく。
タバコと酒が恋人(ハーレム笑)なも助がそれを断つとは…………例の預かってる親戚とやらか? 尻に敷かれているのか? 確かにも助は尻に敷かれるタイプだもんな。 昔から年下に弱いし。
さて、これ以上無駄なモノローグを映すのもアレだ。 問題の放課後まで時を進めよう。 このジリオ○ドライバーでな!
《ACCELERATE…!》
……これって自分以外も加速するんか? まぁ違った時は時の楔を解き放てばいいか。 俺は神か何か? あ、前に神になったっけ。 まだ引っ張るのかその誰も覚えてない1発ネタ。
因みに作者はリ○ド派。 待機音と変身ボイスがカッコイイよね。 だがΩも嫌いじゃない。
────────────────────────────
「……! 来た!」
放課後、3階の教室のベランダで待機していたら、偵察していたベルが声を上げた。 お前声デカい。 莇に気付かれるだろ。
「アオバが来マシタ」
「……後は華だけ」
先に来た莇が、中庭でキョロキョロと少し焦ってる感じで薪姫を探す。
「あ、あわわわわわわわわ……」
告白を今か今かと待ち構えてるベルと紅葉とは違い、柵を掴んでプルプル震えている泉ちゃんがここにおります。 可愛いですね。
「泉ちゃん大丈夫?」
「だ、だだただ大丈夫でですすすす……」
「いや、震え凄いけど」
頼金が「よーしよしよし」と泉ちゃんの背中を撫でる。 ペットかな? 泉ちゃんがペットって凄く犯罪臭する。 犯罪臭がするのはそう思うお前じゃい。 俺からはゲス以下の臭いがプンプンするぜッーッ!! まだ罪も犯してないのにゲス以下認定は酷くない? そんなこと言われたら流石の俺も激おこプンプン丸だぞ。 つまりゲス以下プンプン丸。 何それものっそい臭そう。 今週は頭のおかしさヒッサーツ!フルスロットル!
一方俺
ベランダの柵に背中を預けながら『なんで告白場所に中庭?』って事が凄い気になってる。
いやほら、一応この学園って運命の木というか祝福の木というか、告白向けの伝承がある木がある訳でして。何故それを使わない? それすんごい気になる。 どうでもいいかもだけどすんごい気になる。
そんなもん前回の最後書いてる時の作者が修正忘れたからに決まってんだろ。 はーまじつっかえ。 マジで無能。
まぁそもそも論として学園の敷地形状自体が変わってるし。 改修工事してないのに建物の位置が変わってるのは気のせいじゃなかった。
「さて、と」
俺の方も準備を進めよう。 懐と背中から取り出してカチャカチャ。
「よし」
「「よし」じゃないですよ先輩。 何してんですか」
「何って……奴の脳漿をぶちまけようとしてるだけだが」
「まぁ狙撃銃とグラサン出てきた時点でなんとなく分かりますが。 いやダメだそれでも理解に苦しむ」
「ソージ本当に何してるデスカ……」
「今の俺はゴルジ31だ」
「数字入れ替わって弾じゃなくてアイス売ってるみたいになってますよ」
「因みに弾は氷でできた特別製」
「……本当にアイス撃ってた」
その場にいた全員に取り押さえられる。 は、離せェ!
「会長、その男終わるまで拘束しといてください」
「……縄ある?」
「ありますよ」
「な、なんで縄常備……」
おっと泉ちゃんが少し引いてる。
そして俺は紅葉の細腕に負ける自分の筋肉に涙する。お前の強さに俺が泣いた。 逆キンタ口ス辞めろ。
ギッチリ縄で縛られて動けない俺を更に羽交い締めする紅葉。
と、それを利用してちゃっかり抱き着いてくるベル。 暑いんだけど。
「! ソージ来マシタ!」
「漸くか」
ベルが反応したから首から上を動かして中庭を見てみたが、薪姫の姿は見えない。
「来てないぞ。 見間違いか?」
「No! 来テマス来テマス…………」
「Mr.マ○ック?」
「イズミのアノ日が!」
「莇に聞こえるから声のボリューム落としてくんないかな」
「あ、先輩が流した」
だってこんなのに付き合ってたら疲れるだけだし。
「てか、なんでベル先輩が泉ちゃんの周期知ってるんですか」
「いや今のこいつは九分九厘出任せ言ってるだけだから」
それに泉ちゃんのあの日はまだ先だし。 キッショなんで分かるんだよ。 流行りに乗るのがアルティメット遅せぇ。 作者は流行りとミームが嫌いです。 ただの逆張りとも言う。
「! 来マシタ!」
「今度はなんですか」
「次巫山戯たら屋上から落とすぞ」
「今度はちゃんと本人デス!」
ベルがそう言うので紅葉に目配せして確認させる。
「……本当に来てる」
「本当か?」
「……自分で見ればいい」
紅葉に動かされてひょっこり。 あ、ちょ待っ熱っつ! 金属柵熱っつ! 紅葉てめぇ柵に押し付けんな!残暑と紅葉許すまじ。
さて、この告白がどうなるか。 俺は見届けよう。 防寒に徹する。 このクソ暑い中防寒してないでクールビズしろ。 デニム履くとかさ。 稲葉じゃねぇか。 その場合ビズじゃねぇし。
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華たそ side 言い方キッショ
「莇さんっ!」
放課後。 手紙で呼び出したのに緊張して少し遅れちゃったけど、莇さんを見つけてつい声を大きくしてしまった。
「……華さん、そんなに慌ててどうしました?」
「はぁ……はぁ……い、いえ…………すみません遅れちゃって」
「遅れる……本日待ち合わせしてましたでしょうか」
「え、えっと……それはあの…………」
私がごにょごにょしてると莇さんは優しく笑って言った。
「冗談です。 今朝の可愛らしいお手紙は貴方でしょう?」
「うっ」
しかも全部見抜かれてました。 名前書いてないからバレないと思ったのに……
「それで、どういったご用件で?」
「え、えーっとそれはですね…………」
鳴り止まない心臓が更に激しくなる。 い、言え!今こそ言うんだ私!
「あ、あ〜…………そうです! お母さんから伝言を預かってまして!」
無理でした。 なんでこんなチャンスで逃げちゃうの私……
「伝言ですか?」
「はい! えー…………と、そう! お母さんが莇さんを本格的に雇いたいと!」
「そうですか……ですが私には生徒会とお嬢様の警護がありますし…………少し考えさせて頂いてもよろしいでしょうか」
「あ、は、はい! それと、出来れば履歴書を欲しいとも」
「かしこまりました。 では、次に伺う際、お持ちするとお伝えください」
「か、かしこましまりた!」
「噛み噛みなので落ち着きましょう」
「うう…………」
つい焦って空回って……また莇さんに恥ずかしい所を見せちゃった。
一先ず言われた通り落ち着こう。 深呼吸して気持ちを整理して……
「落ち着きましたか?」
「は、はい……なんとか」
さっきの慌ては無くなったけど心臓はまだドキドキしてる。 この音聞こえてないよね?
「……華さん、少々失礼」
「ふぇ?」
そう言って莇さんは腰を落として私のおでこに手を当てる。
「っ!」
「熱っ! 華さん熱がありますね。 顔も赤いですし」
「い、いえいえ私は元気ですよ! ほら!」
元気アピールの為に力こぶ作ってみたりその場でジャンプしてみたりする。 事実、この熱は絶対に別の意味だ。
「ですが……やはり心配です。 念の為病院で見てもらいましょう」
「本当に大丈夫ですから!!」
その場で取っ組み合いみたいになる。 わ、やっぱり莇さんの手大きい……
「ちょちょちょちょーっと莇さん一旦離れて!」
「! これは失礼しました。 つい」
お互いに一旦離れて、私はまた息を整える。 よし……色々あったお陰で緊張は少し紛れた。
「……ふぅ」
うん、大丈夫。 ここまでみんなが力を貸してくれた。 親友の泉ちゃんと千聖ちゃん。 生徒会長にベル先輩。 そして名前を知らない先輩。 皆の応援、ちゃんと私が伝えなきゃ!
「あ、~~~~莇さんっ!」
「? はい、どうかされましたか?」
言え! 言え! 言え! 今度こそ言え私!
「わ、わ、わ────」
恥ずかしさを押し殺して俯いていた顔を上げて莇さんの目を見る。 莇さんにも伝わったのか、莇さんも背筋を整えた。
「わ、私、は…………莇さんのことが好きです!」
「っ────────」
「私と……付き合ってください!」
私がそう言うと同時にそよ風が。 その瞬間、全ての音が無くなった気がした。
「華さん……」
声だけだけど、莇さんが珍しく動揺してるのが分かる。
「本気……かどうかは聞くまでもないですね。 貴方は遊びでこんなことするような人ではない」
私は何も言えない。 思いは伝えた。 後は莇さんが────
「先ずは、お気持ちありがとうございます。とても嬉しく思います 」
少し目を開けると莇さんが頭を下げていた。 本当に、莇さんは礼儀正しい。
「それで告白の返事ですが────────」
この言葉につい身体に力が入る。 息も上手く出来なくなって、気がつけば手をぎゅっと握っていた。
「…………申し訳ございません」
この言葉にはっと目を開ける。 えっと……今何を…………
「お気持ちは大変嬉しいのですが…………今の私では貴方の想いに対して首を縦に振ることは出来ません」
莇さんの言葉を脳が遅れて理解していく。 えっと……つまり…………
「……そう、です、か…………」
目が熱い。 ボヤけて殆ど見えない。
でもダメ。 今はまだ泣いちゃダメ。 告白した以上、泣くのはその場を去ってから。
「ありがとうっ……ございましたっ…………し、しつ…………失礼しますっ!」
震える口でなんとか伝えて、頑張って泣かないように振り向いて走り去る。
私の3度目の初恋はこれでお終い。
初恋は実らないって────────本当だ。
──────────────────────────
ゴルジ31アイスクリームside
告白を目撃していた俺らです。
えー、特に言うことありません。 いやだって俺他人に興味無いし……
あ、読者はある? じゃあしょうがねぇな情報量ゲージ1枚手札1枚な。 なんで初期レヴァンティンの能力コストと同じなのかは謎。 おいこれ誰に伝わんねん。
えーと、要約するとだな……
「ど、どどどうするデスカ!」
「……振られるのは予想外」
「あ、あわわわわわわわ……」
なんかすんごい慌ててる。 なんで当事者じゃなくて傍観者が1番動揺してんねん。
「あーっとー…………取り敢えず私たちは華ちゃん慰めてくるんで先輩はこっちお願いします。 童貞同士もとい同性同士の方が話しやすいことあるでしょうし」
「色々言いたいしお前の顔をメガネ諸共ぶん殴たいが……頼金はやけに冷静だな」
「先輩程じゃないですけどね。 正直、振られる可能性も考えてましたし」
まぁそうだよな。 成功だけ考えてりゃ解決なんて上手い話は無い。 俺の場合は失敗前提で考えるし。
もしかして:ただのネガティブ
リスクヘッジと言え。
「じゃあ先輩お願いします。 ほらほら皆さん行きますよ」
「ソージ! ちゃんとアオバのフォロー頼むデスヨ!」
「えーとえーとえーと……い、行ってきます」
「……ここは任せた」
おい待て最後。 それだと俺死ぬやないかい。
慌ただしく教室を抜けて廊下を駆けてく4人を見て溜息。
はぁ……やれやれ。
行く前にこの縄解いてくんねぇかな。
ねぇほんと! マジで解いて行けよ! 紅葉が縛ると結び目がありえないくらい固くなんのよ!
ちょっとー! ゴルディアスの結び目かってくらい解けないんだから! この結び目も目の前の難題も一刀両断したいんだけど誰かー! 刃物も没収されたから縄抜けキツイんだけどー! 主人公なのになんでこんな仕打ち!
……まぁ関節外せばいっか。
さぁ俺パート要らねぇから次行け次!
────────────────────────────
「……よぉ」
何とかして縄抜けして地上に降りる。 言い方無駄に仰々しいな。
「っ……奏士殿ですか」
莇にしては珍しく至近距離に近付いても気付いてなかったらしく、肩を震わせて本気で驚いている。
まぁそれは俺が肩に担いでる狙撃銃が原因かもしれんが。 実銃か偽物か、どっちを信じるかはアナタ次第です。 都市伝説か。
「純粋美少女降った気分はどうだ色男」
「……見てましたか。 まぁ気付いてましたが」
うんまぁそれはそうだよねあんだけわちゃわちゃしてたら気付くよね。
「……ひっでぇ顔してんなぁ」
「……そんなにですか」
「ひでぇひでぇ。 今なら俺が超イケメンになるくらいひでぇ」
「それは……相当ですね」
莇は苦笑する。 自分で言ってなんだけどお前殴っていい?
「……何があったよ」
「……珍しい。 貴方みたいなナチュラルサイコが他人に気を使うなんて」
「やっぱお前殴るわ。 その顔1発殴れば多少はイケメンに戻るだろ」
「遠慮しておきます」
「遠慮すんなよ。 出血大サービスだ」
「その場合出血するの私では?」
「正当な理由でも純粋無垢な乙女泣かせてんだ。 それくらいの対価は必要じゃねぇの?」
「……それもそう、ですね。1発お願いしても宜しいですか?」
「よし言ったな? 大人しくしろよ」
ヤバい超ワクワクする。 合法的にコイツ殴れるとか俺今日を幸せな記念日にする。
その場で軽くジャンプして、ジャブとステップで動作確認。 さーてその顔歪ませてやろう。 モテ男の対価としては安いくらいだ。
……殴り返されたりしないよね。 ちょっとドキドキ
「せーのっ」
でもそんなの関係ねぇ。 よしおやないかい。
先ずは一瞬で肉薄。 紅葉にぼろ負けしても俺の身体は本物だ。
莇は目を閉じ、構える素振りも受け流して反撃する脱力感も無い、ただの棒立ち。
全身の筋肉と関節フル稼働で踏み込んで右の1発。 左の頬に薪姫より早く拳でキスマークつけてやる。
「ぐっ!」
莇は最後まで抵抗すること無く拳を受け入れた。
「……っ中々効きますね」
莇は吹っ飛んだ時に口を切ったのか、口の端から垂れた血を拳で拭う。
「……お前避ける気ねぇな」
「華さんのことを傷付けてしまったのは事実ですから」
「めんどくせぇ性格してんなお前」
俺は手をヒラヒラさせながら言う。 拳がちょい痛。ジンジンキタキターっ!
「さて……これで何もかもしめぇだ。 話聞かせろってか話せ 」
「命令形ですか」
「お前の義務みたいなもんだ。 聞いてやるから言え」
「前から思ってましたが、基本的に上からですよね」
「今は俺が上だ」
「自分でそう言う人は大抵下ですよ」
「じゃあお互い下同士これ以上下がることも気を使う必要もねぇな。 時間ねぇからさっさと話せ。 見たいアニメあるから帰りたい」
「貴方もかなり面倒臭い性格してますね…………」
莇はそう言いながら中庭のベンチに座る。 俺は向かいの椅子に。
「……聞いてくれますか」
「そう言ってんじゃん」
「少し長くなりますが」
「サイト換算で3行以内」
「もうちょい空気読んでくれません?」
悪いけどしんみりした空気とか嫌いなんだわ。 この作品もっとこう、基本的に頭悪い空気だろ。 アホの集団がバカ騒ぎしてるだけなのに無駄に重くすんなよ。
「……華さんが想いを伝えてくれた時、私はとても嬉しかったのです」
莇が口を開く。 あー長くなりそう。 これは長くなりそう。
「私も華さんが嫌いな訳ではありません。 歪んだ私とは違って真っ直ぐで、明るくて、輝いていてとても眩しい。 まるでお嬢様の様に。違いと言えば、お嬢様の様に汚れてないところでしょうか」
うんそれは誰もが知ってるね。 というか薪姫と比べたらほぼ全員が負けだね。 俺でいい勝負だろ。
「お嬢様が私に光をくれたとするなら、華さんは道を教えてくれた感じでしょうか」
莇が言葉を紡ぐ一方、俺はもう半分近く聞いてない。 さっきから莇の頭の上にショウリョウバッタが乗ってるの気になって気になって。 しかも夫婦。 そして交尾中。 まじウケる。
おっと話聞かないと。
「……華さんの告白を断ったのはまだ理由がありまして」
「ふーん」
「あの……聞いてますか?」
「聞いてる聞いてる」
で、チゲ鍋がなんだって? 微塵も聞いてねぇなこれは。
「……先程、華さんとお嬢様は似てると言いました」
「言ったな」
「それが理由でもあります」
「ヤる事ヤる時にベルの顔がチラつくからか?」
「いえそういう事は全く」
あそっすか。
「……私がどういう経緯でお嬢様の護衛となったかはご存知ですよね」
「拾われたとか何とか。 大体忘れた」
「それが理由です」
「……………………まさかお前、ベルに恩義感じてるから自分だけ幸せになれないとかクソみたいな事言うつもりじゃないだろうな」
「……当たらずとも遠からずです」
マジか俺こいつ嫌いになりそう。 いや前々から嫌いではあったが。
「お嬢様は、何も無い私に多くのものをくれました。 世界に色を、生きる意味を、私に名を」
「はーん」
「あの……反応薄くないですか? 私結構な重大事項カミングアウトしましたが」
「他人に興味ねえつったろ。 お前の名前が本名じゃなくてベルが授けた名だとしても知ったことか」
どーでもいいわそんなん。 もう『莇青葉』がお前の本名だろうに。 大切な名前だぞ大事にしろよな。
「……まぁいいでしょう。 続けますと、要するに私はまだお嬢様に恩を返しきれておりません。それなのにお嬢様を置いて私が…………流石の私でも…………いえ、私だからこそそんな事は出来ません 」
「あそ」
本当にめんどくせぇ性格してやがんな。 自分の人生自分のモノだろうに。
俺を見習え。 我道突き進んでんぞ。 ジジイの恩義とか忘れて遺した家と倉を改造してやりたい放題やってんぞ俺は。
「……先程」
莇が再び重い空気で口を開く。 急に話し変えんなやびっくりするわ。
「先程、華さんが去る直前。 とても悲しそうな顔をしていました」
あ、そろそろ話終わりそう。
「それを見た途端、なんと言いますか、良心が痛むと言いますか 」
「莇……」
「とにかく、とても心が痛くて私まで悲しくなってきたと言いますか」
コイツ言葉にするの下手やな。 まぁ初めてのことて戸惑ってるのかもしれんが。
「これは一体、なんなのでしょうね」
胸を手で抑えながら言う莇の顔は殴った後抜きにしてもまた酷くて。
俺はこいつを殴った以上、気持ちを整理させる義務があるとかないとか。 何か言ってやれば整理できる程器用な人間なのかは知らん。 全てが自己完結してる俺とは違って、莇は莇だからな。
だが、今の莇にかける言葉は直ぐに見つかった。 莇の痛む心。 そんなもの1つしかあるめぇよ。
「莇…………それ幻肢痛だぞ」
「喧嘩売ってますか?」
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気を取り直して
「まぁお前の気持ちは大体わかった」
分かったったら分かった。 分からなかったら文句は門○士と脚本に言え。
「しっかしほんとめんどくせぇなお前」
「……言われなくても分かってますよ」
「いやほんとめんどくせぇよ。 迷うなカスが」
「貴方には分かりませんよ」
「ああ分からねぇな。 俺はそんな甘ちゃんでも、自分を殺してまで恩を恩で返す様な出来た人間でもねぇ」
恩は返さねぇし自分大好き自分可愛いだから嫌なもんは嫌やりたい事はやりたい。 嘘つきは自分に嘘つかないのが矜恃だ。
「ま、俺は元々何か言う気がある訳じゃない。 何度も言うが、他人に興味無いし他人の恋路に口出す程良い人でもお節介でもねぇ」
「なら何しに来たんですか貴方」
「依頼だよ依頼。 薪姫華の開花クエストをプロデュースしてるだけだ」
「……貴方が1枚噛んでいましたか。 となると千聖殿……いや、生徒会全員がグル」
「正解だ。 後はお前が首を縦に降れば一件落着さよならバイバイだったんだが…………これは俺より適任が居るな」
「……適任?」
俺は胸元からスマホを取り出して画面をタップル! おい最後の1文字入れんな。
「だってよ。 1発ぶちかましたれ」
『all correct』
電話越しで聞こえる、大声を出す前の息を吸う音。 俺でなきゃ聴き逃しちゃうね。 つまり俺は耳を塞ぐね。
『こんの……バッカモーン!!!』
「っっっ!!??」
おお、空気が振動でビリビリする。 莇なんか声量と声の主の驚きで目を見開いてる。
『青葉! 誰がそんな事言いましたか! 私は1度も「恩を返せ」なんて言った覚えも自分を殺せと言った覚えもありません!』
おお、ベルが流暢。 真面目モードだ。
「で、ですが!」
『言い訳無用! 私は青葉を家族に迎え入れた時なんて言ったか覚えてますか! 言ってみなさい!』
「っ……『貴方らしく自由に生きなさい』と」
『そうです! 青葉の人生は青葉のもの! 私の護衛になったのは青葉の意志! だからこそ私はそれを受け入れました!』
てか、声デカ。 もうちょい音量下げよ。
『私は青葉の意志で選んだ事なら進んで応援します! なら、今の青葉はどうですか! 私に恩義を感じているからと意志を手放して女の子を泣かせて! それでもタマキン付いてんのかコンチクショウ!』
おい徐々に素が出てるって。 ベル、お前の真面目モード短すぎんだろ。
『なんか自分で言ってて矛盾してる気がしてきたから早めに切り上げます! 私は私、青葉は青葉! どう生きるかは青葉次第です! 分かったら泣いてる女の子の涙拭ってべろちゅーの5、6回はして自分から告白してみやがれふにゃチンが!』
おいもう辞めろ既に瓦解は止まらねぇ領域に行ってんだよ。 ノリと勢いで喋るからグダグダになるんだろうが。
『えーとえーと、要約するとやーい童貞!』
ああ、ついに城は落ちた。
『ぜぇ……ぜぇ…………て訳で、告白やり直し! さっさとカモン! ついでにソージも愛のささy』
途中で切っちゃったけどまぁいいよね。 最後怖いこと言ってた気がするし。
「あー…………だ、そうだ」
「『だ、そうだ』じゃないですよなんなんですか今の」
そんな事言われても……
「えーと、万一に備えてベルとスピーカーモードで通話状態でした」
「……つまり全て丸聞こえ……ですか?」
「Exactly」
フィンガースナップとキメ顔で答える。 指の骨は折れた。 弱すぎん?
「というか、結局お嬢様が何を言いたいのかいまいち伝わってこないのですが」
「それは俺もそう思う」
もう全てがグダグダ過ぎて話の流れが早すぎる。結局あれやろ? 好きなら好きと言えってことやろ? 知らんけど。
「…………私のこれは好きということなのでしょうか」
「知るか。 自分で考えろ」
「考えろと言われても……私はこれまでそういう機会がなかったものですから」
ああそういやコイツ基本的に異性嫌いだった。 友人までが限界だったわ。
「じゃあもう手っ取り早く決めろ。 薪姫のことどう思う」
「それはもう素晴らしいお方と」
「ああいや聞き方が悪かった。 ヤリたいかヤリたくないかで言え」
「2択が直球過ぎませんか」
「恋愛は極論そうだろ。 特に男は」
「そうかもしれませんが……もう少し手心を」
なんやこいつわがままやな。
「えー……じゃあ、薪姫がお前や家族以外の異性と親しく話していたらどう思う?」
「異性とは男性、ですか?」
「薪姫から見て異性お前から見て同性。 例えるならクラスメイトの野郎」
「殿方と…………」
こいつわかりやすいなー
「次。 薪姫は将来店を継ぐと仮定します。 その場合、確実に一緒に店を切り盛りするパートナーが必要です。 そのパートナーの場所に自分以外が居たらどう思いますか」
「自分以外……………………」
「最後。 薪姫ともっと触れ合いたい離れたくないと思いますか」
「華さんと……………………」
どうしよう俺コイツ好きかも。 だって普段のポーカーフェイスが崩れに崩れてさっきから感情ダダ漏れだもん。
「はい今の3つの質問の答えを踏まえて聞きます。 好き・嫌いじゃないわっ・好きじゃない・嫌い、今のお前はどれだ?」
途中ちょっと元極道のオネエ出ちゃったのは気にするな。 仁義は無い。
「…………好き、でしょうか」
「はい結論出たなじゃあ行くぞ」
「ちょちょちょ早すぎます」
莇の腕を取って立ち上がらせて引っ張るが、莇は振りほどいて留まる。 なんだもうねぇんだよ残りの時間も俺のやる気も。
「確かに結論付きましたが、先程私は華さんを振りました」
「だな」
「その手前、今度は私から告白するのはなんとも……」
「はぁ……今更何言ってんだお前。 甘えんな粗チン」
「流石にその呼び名は酷すぎでは?」
「振った相手に告白してそれがどうした。 言ったろ。 お前既に下がるとこまで下がってんだよ。 これ以上下はねぇから振られてこい」
「しかも振られる前提ですか」
「流石の薪姫も激おこだろうからな。 引っぱたかれる覚悟はしておけ」
「……そう、ですね。 出来れば右頬が望ましいですが、華さんは左利きですから痛みそうです」
莇が赤い左頬に触れる。 俺も左で殴った方が良かったな。
「じゃ、さっさと行くぞ。 振られたら人を呼んで盛大な祝勝会してやる」
「その場合勝ったの貴方じゃないですか」
────────────────────────────
「来たぞー」
「あ、ソージ遅いデ────うわっ! 本当にアオバのほっぺ腫れてマス」
「……男の勲章」
「く、勲章なのでしょうか……」
3人が莇を心配している横で俺は頼金と。
「今回のヒロインはどうなってる」
「一応落ち着きましたし、ベル先輩と莇先輩の会話を聞いて気持ちの整理は着いた────と思います」
「最後が……」
「私たちがどうやっても、結局は当人次第ですから」
「まぁそうだな。 今何処に居る」
「例の木の下ですよ。 先輩の指示通りに待ってもらってます」
「そうか。 礼を言う」
「いえいえ。 私も親友が大事ですから。 お礼なら是非今後も情報提供を」
「分かっている」
若干ゲスい会話をしている。
「さて、後は当人に任せましょう。 ほらほら、貴方のヒロインが伝説の木の下で待ってますよ。 早く行きなさい」
ラブコメならクライマックスだ。 ギャルゲーなら中盤。
「おら行け。 今回は崖の上からお前の背中蹴り飛ばしてやるからケリつけてこい」
「それだと貴方が蹴りつけて私の人生にケリついてますが……貴方らしい叱咤激励と受け取っておきます」
「はよ行け」
「分かりました…………では」
決意した莇が薪姫の元へ向かう。 俺らはそれを遠くから眺めるのみ。
「なんか、ソージとアオバが仲良くなってる気がシマス」
「気のせいだろ」
「……男の友情?」
「あんなのと友情なんてものは無い」
「先輩ぼっちキャラ辞めません?」
「キャラじゃないんだが」
「そ、奏士さんお友達居ないんですか?」
「泉ちゃん普通に心配するのやめて。 心にくるから」
「先輩それ幻肢痛ですよ」
「てめぇ友好条約破棄してやろうか」
「はいはいソージ落ち着いて。 静かに見守るデスヨ」
「お前だよ原因」
「……奏士うるさい」
泣いていいっすか? ぺーそぺそぺそ。 なぜにスペイン式? あ、でも今はピソか。 どうでもいいわ。
────────────────────────────
※奏士視点&読唇
「華さん」
莇が木の下に辿り着いて薪姫の名を呼ぶ。 すると木の幹の向こうから薪姫が姿を現す。
「あ、莇、さん……」
薪姫は莇を見るとササッと木に隠れ、顔を半分だけ出す。
「華さん。 貴方にお話が」
「わ、私は無いですから……帰ってください」
そういう薪姫の目と目元は涙で赤くなっていた。
「……そう、ですか」
そう言って莇は踵を返す。 分かっていた事だが、本人の口から拒絶されると流石の莇にもくるものがある。
「あっ……」
薪姫が慌てて姿を見せる。 しかし既に莇の姿は何処にも無い。
「莇さん……」
薪姫が悲しげな眼をしながら手をぎゅっと握る。 しかし
「はい、お呼びでしょうか」
「ぴゃっ!?」
莇の名を呟いた途端、頭上から莇が現れ、薪姫の隣へ降り立つ。
「ど、どうしてここに……」
「簡単です。 貴方の視界から外れた一瞬で飛んで枝にぶら下がって隠れ、貴方が出てきた時に降りてきたのです」
「か、帰ったんじゃ……」
「こうすれば貴方は出てくると思いまして。 私は貴方の事はよく知っておりますので」
莇はそのまま薪姫を幹と自分で挟むように立つ。 壁ドンか? いやこの場合は幹ドンか? どっちにしろ痛いぞ木の幹は。
「……さっきも言いましたけど、私はもう用はありません。 帰ります」
「残念ですがそうは行きません。 私がありますので」
薪姫が莇を避けて通ろうとするが、莇は華麗なフットワークで逃がさない。 それ抜きでも体格差と条件的優勢で薪姫には不可能に近いが。
そして莇は薪姫の手を取る。 ヤダ、大胆だわ。 さっきのオネエまだ生きとったんか。 いや死んどるがな。 死んで生き返って消滅したわ。静かにVシネ見てろよお前は。
「……離してください」
「離せません」
「……叫びますよ」
「どうぞ叫んでください。 私は二度と離しません」
「っ……」
分が悪いと悟ったのか、薪姫は静かになる。 俺は時計を見て若干イラつく。 アニメが……おじゃる○とかはなかっ○とかク○クルンとか見たいから早く終わらせて欲しい。 大人でも子供向け番組見たってええやろ。
「……はぁ、分かりました。 私の負けです」
観念した薪姫からさっきまでのちょいダークな感じが抜ける。 あー良かった。 闇堕ち早すぎるから焦った。 そういうのは莇浮気疑惑イベントでしてもらわなきゃ。
「莇さん、話ってなんですか? さっき振った私に対して」
「ぐっ……それは…………いえ、そうです。 さっき貴方を振った私から話があります」
容赦ない言葉に刺された莇が胸を押えながら深呼吸。 はい吸ってー吸って吸って吸って吸って、吸っ吸っ吸っ吸っ…………そのまま息止めたらあの世へレッツゴーしたら嬉しい。
「ーーっ…………先ずは、謝らせてください」
「あ、謝る? 何にですか?」
「それは勿論、先程の告白に対して、です」
莇は一息入れ、薪姫の目を見る。 てか、この距離でここまで分かる俺の視力エグ。
「私はあの時、貴方を見れていませんでした。 貴方はあんなにも真摯に向き合ってくれていたというのに、私貴方ではなく自分だけを見ていた。 本当に……申し訳ございません」
莇が頭を深く下げる。 どうでもいいけど手を繋ぎあってるから絵が凄くシュール。
「その上で無礼を承知で。 可能なら、あの時の告白をやり直させてはいただけないでしょうか」
うーわっあいつすんごいこと言ってる。 二度告白させるとか何言ってんのって話や。
「……嫌です。 私の初恋は終わりました」
薪姫の反応はご尤も。 てか、君初恋3回目じゃなかったっけ。 同じ人なら1回カウントなん?
「……そう、ですか…………やはりこちらから告白した方が手っ取り早いですね」
「……へ?」
薪姫がポカーンとしてる。 うん、君の反応は正しい。
「華さん。 私は貴方の事が好きです。 もし叶うなら、私の恋人になっていただきたい」
薪姫真っ赤っか。 もー2人とも繋ぐ手に力込め過ぎて手汗気にしてそう。 観点そこ?
「……で、でも……私は1度振られてますし」
「それがどうかなさいました? 1度振った相手に告白してはダメというルールは存在しません」
「っ……そ、それでも嫌です。 私よりベル先輩の方が大事なんて冷めました。 シャチ現象です」
「……もしかしてですが、蛙化現象の事を言っておられるので?」
「っ……そうです」
蛙化→イルカ→シャチって間違え方凄いな。 シャチ現象って何? 急に超音波で会話したりすんの? 節子それシャチ違う。 ただのコウモリ男や。
「蛙化現象です。 キンキンです。 私の熱は冷めました」
「では、どうすれば再び火を灯せるでしょうか。 なんでも仰ってください」
「そ、それくらい自分で見つけてください」
ちょい意固地になる薪姫と、何故か余裕たっぷりの莇。 莇、原因お前やからなちゃんと片付けろよ。
「そうですね……なんでもよろしいので?」
「何でもです。 できるものならやってみて下さい」
「そうですか。 では」
そう言うと莇は腰を落とし薪姫の頬に手を添え、そっと顎を上げてそのまま────
「っ」
薪姫に口付けをした。 場所は言うまでもない。
薪姫は突然の事に固まって動かない。
そりゃそうだ童貞に行動力バフが追加されたらそれはもう凄いことになるのに、自分から「何やってもいい」なんて言ったんだもん諦めなさい莇は止まらんぞ。
「~~~~ぷはっ」
3秒じっくり交わした口が離れる。 薪姫は顔を真っ赤にしながらも未だに現実だと認識しきれてない様子。
「これでいかがですか?」
「────はっ! な、ななな何をっ……」
「華さんが何してもいいと仰っていたので、簡潔に私の想いを伝えるべく、口付けを」
「て、事は今のは現実……私のハジメテ……」
「どうでしょう。 これでもまだご不満であれば、貴方の気の済むまでお付き合いしますが」
「ーーっ! だ、大丈夫です! もう大丈夫です充分伝わりました! もう凄い伝わりましたから!」
薪姫は真っ赤な顔で手をブンブン振って退避する。
「それで……どうでしょうか」
莇の想いは嫌ってほど伝わった。 次は薪姫の番。
「…………ダメです」
あちゃー
「まだ全然足りません」
「でしたらもう一度」
「そ、そういう意味じゃなくて!」
お? 二の命がある感じか? とうとう射止めるのか? いや最初から射止められてはいるんだけど。
「あ、莇さんの告白を受け入れるにはまだ熱が足りません。 なので、私を好きにしてください」
あら、薪姫ちゃんこんな場所でドスケベ? いやん。
ちょっと録画機材準備するからもうちょい待ってね。 変態やないか。
「私が『莇さんに告白したい』ってなるまで、ベル先輩に向けた以上注いでください。 今はそれで許してあげます」
「……つまりOKと?」
「ほ、保留です! キープです! えーとえーと……そう、恩赦です!」
果たしてこれは恩赦なのか。 俺この先の展開凄い読めるんだけど。
「……成程、かしこまりました。 では、全身全霊でお相手させていたたぎます」
莇が、頬に添えた手で薪姫を撫でる。 次第にふにゃふにゃになっていく薪姫。
「ふにゃ…………好きぃ……はっ! い、今のは違いますから!」
ほらーもう既にガバガバになってるしー
元々莇に対する好感度が限凸してんのに好きになるもクソもあるかい。 先延ばしっていうかもうムード作ればOKってのとほぼ同じやないかい。 そして今回の俺はキャラがブレブ
レ。
と、一段落ついた莇達がこっちに帰ってくる。 しっかり手は繋いで。
「アオバー! ハナー!」
「華ちゃーん!」
「皆さーん!」
駆け寄る薪姫を受け止めてキャイキャイ盛り上がるガールズ。
「お疲れさん」
「どうも」
一方メンズは一言のみ。
「……これにて一件落着?」
「まだちょっと残ってそうですが……そうですね。 後は時間の問題でしょうし、これでおしまいです」
「華さんおめでとうございます」
「ありがとーって言いたいけど、まだだよ泉ちゃん」
「まぁまぁ、これで事実上ってやつデス」
「……華、初めてのキスはレモン味?」
「うーん……それがよく覚えてなくてですね…………あ、でもなんか鉄の味はしました!」
「それ、ソージが殴った時に切った奴……」
「だ、大丈夫ですか?」
「いえいえこれくらい。 目覚めの1発としては軽いものです」
「割と盛大に吹っ飛んでおいてよく言えるな」
「愛する方の前では格好よくいたい男の性です」
「「「ヒュー♡」」」
「わぁ……素敵です」
煽る3人と泉ちゃんに、照れて俯く薪姫。 俺としては、割と本気でぶん殴ったのにケロッとしてるのすげぇ負けた気分。
「そういえば奏士殿。 この場合私は勝ったのか負けたのかどちらでしょうか」
「勝負に勝って試合に負けた。 お前の勝ちだ受け取れ」
そう言って俺は狙撃銃を片手で莇に向けて構える。 そのまま超至近距離で引き金を引く。
\ポンッ/
銃口から特別性弾丸が出る────事はなく、『おめでとう』と書かれた旗と申し訳程度の紙吹雪が出た。
「……なんですかこれは」
「俺からの祝福。 ホンモノ持ってきてるわけないだろ銃刀法違反だぞ」
「どの口が……」
そう言う莇におめでとう銃と、ついでにグラサンも渡しておく。 これ結構重いのよね。
「あの……」
と、そこで薪姫に話しかけられる。 そういやこうしてタイマンするの初めてかも。
「今回は、本当にありがとうございました!」
「礼はいい」
「……照れてる?」
「いや単純に礼とか言われると吐き気がする」
「お礼くらい素直に受け取るデスよ。 ついでにワタシからの愛も」
「どっちも遠慮しとく」
「そう遠慮しないで! さぁ!」
「お構いなく。 その愛は紅葉にでもお裾分けしとけ」
「……私?」
「クレハ……これ作りすぎちゃったから……お裾分けデス」
「……肉じゃがみたいに渡された」
「温めて召し上がってクダサイ」
「……冷めてるの?」
冷めた愛とか絶対要らねー
「あ、あのそれでですね……」
おっと薪姫忘れてた。 気を抜くとベルが全てのノリをかっ攫うからヤバい。
「その……先輩にお願いがあるんですけど」
「何?」
金は貸さねぇぞ。 第一声それなの悲しすぎませんか。
「その……そろそろお名前教えて貰ってもいいですか?」
「…………」
「「「「…………ブフッ」」」」
おっと今泉ちゃんを除いて4人程吹いた様な気がするなぁ。 誰かなぁ。 顔みたいなぁ。
「…………柳だ」
「柳先輩ですね! 今後ともよろしくお願いします!」
元気一杯の後輩が出来ました。 そして漸く名前を覚えられました。 テレレレ〜
なんかその後輩は莇とニコニコイチャイチャラブラブな吐き気催す空間形成してるし、なにこれもしかして毎日見せられんの? 俺憤死するぞ。 全身の穴という穴からから何かしらの液体噴出して爆散するぞ。 呪い強。
ちょっとー? 俺の扱いぞんざい過ぎない? 俺今回はめっちゃ頑張ったのに最後に笑いものになってその場を締めるとかどうなってんの? 主人公だよ? 俺主人公やってますよ? 肩書きはまだ主人公よ。
…………てか、早く帰りたい。 おじゃる○始まっちゃう。
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「いやーそれにしても丸く治まって良かったデス。 もし無理そうならこれで1発解決狙ってマシタ」
「……ベル、これは?」
「ダッドの会社が遂に完成させた精力剤&媚薬のサンプルデス! これを使えば本能のままにお互いを貪ること間違いなし!」
「お前の発想怖いわ」
てかそれどう見ても前にお前の机の上で見た錠剤じゃん。 捨てろよ早く。
はいどーも最近チーズ食べすぎて腹下しが止まらない作者です。
この前スモークチーズ食べていたらひと袋食べ切るまでに5回トイレに行きました。 これはもうバカの領域ですね。
ちなみにこれ書いてる間も我慢してます。 お腹、弱いの。
それはそうと書く内容をまとめたメモを紛失したので本編に触れます
一先ず、告白大作戦編はここで終了です。 次からはえーと、
ちょこちょこネタ回を挟みつつ秋のイベント編へ進みます。 つまり体育祭とかそんな感じです。
そして、更新日が土曜日になったのは単純に私が日にちを間違えたからです。 次回はちゃんと日曜更新なので楽しみにしておけよなぁートイレ!




