閑話 キノコ刈り
色々とあってステフと一緒に賢者の家に行くことになったのだが、一つ問題が起こった。
「食料が、無い」
ステフの家から持って来た食料が底を尽きたのだ。
「どうしてこうなった」
「おっかしいなー、この森は結構豊かな筈なのに」
「クッ、どうして動物どころか食べれそうな果物も無いんだよ」
「何か悪い影響が働いてるのかも」
「悪い影響ってなんの?」
「多分、魔物の森の魔女の、今まであった事のある生き物の種類、わかる?」
「ああ、でっかい猪とか、角が生えた狼とか、あとは人間」
「多分魔物だけってこと?」
「そうなるのか?」
「うん、具体的には分からないけど、生き物を退けるのかな?」
「そうなるのか」
あのクズが、余計な事しやがって
「シンくん?」
「いや、何でもない、じゃあ、魔物を狩れば良いのか?」
「魔物の肉は普通、毒が混じってて、食べれないよ」
「じゃあ、このまま飢えるしか」
「しかーし、この世界には例外か存在するんだよ」
「つまり、は?」
「こっちの方にジャイアントマッシュルームの群生地がある」
そう言ってステフが進んできた方角を指差した。
「戻るの?」
「戻る」
「クゥーー」
俺は目を手で塞いで天を仰いだ。
「ほら、そうと決まったら行くよ」
「了解、行動が早いな」
「まあね」
俺たちが向かっていた賢者の家には、南向きで、ジャイアントマッシュルームなるものの群生地は北向き、真反対だ。不運トホホ
でも、ジャイアントマッシュルームの群生地は思ったより近くて、半日で着いた。
「案外、近かったな」
「あ、いたいた、あれだよ」
そこに居たのは人の背丈程あるキノコだった。
赤に白、茶屋や橙色、如何なキノコが大きくなって顔が付いた感じである
「じゃあ、刈ってくる」
「一人で大丈夫が?こいつ等も一応、魔物なんだろ?」
「大丈夫だってま、見ててよ」
そう言ってステフが草むらから飛び出した。
ジャイアントマッシュルームが一斉にこちらを向いて「「「ギャーーーーーー」」」と吠えた
「うっるせぇー」
一株?のジャイアントマッシュルームがステフに襲いかかる。
ステフが足を振り下ろせば、同じ程の背丈のあったジャイアントマッシュルームが蹴られた場所から、ステフの3分の一にまで縮んだ。
目の前に来ているジャイアントマッシュルームを掌底で、七株貫通する。
その間に、ステフの周囲をジャイアントマッシュルームが覆い尽くす、手刀が炸裂し、ジャイアントマッシュルームが次々に両断されていく。
それでもジャイアントマッシュルームの軍勢の勢いは止まらない
「その力は神より賜れし灼熱我願わずんわかの力を欲す一線の光となりて顕現せよ、レイ!」
ステフの真上に魔法陣が出来て、そこから光線が一線走り、ジャイアントマッシュルームと貫く、と、そこから火が燃盛り、ジャイアントマッシュルームが、焼きキノコになってゆく、それが次々と繰り返されている。
「これって、リューが使ってたやつか?でも、威力が違うな」
「ふふん、でもまだ終わって無いよ」
「?」
『ドスン』
「マッシュルーム……ロード」
「マッシュルームロードって?」
そこには通常のジャイアントマッシュルームの十倍はある体躯のマッシュルームロードが現れた
「マッシュルームロードは、ジャイアントマッシュルームの長
その美味しさはトリュフにも勝る!!」
「何か興奮してる!?」
ステフが駆け、マッシュルームロードの元へ、寄り、一撃、それで全ては終わった。
マッシュルームロードの身体の中心に大穴が空き、倒れた。
「ふぅ、終わった」
「俺の出る幕なかったな」
「そうだったね」
「でも、今日はキノコパーティーだー」
「イエーイ」
その後、トリュフよりも美味しいと云うマッシュルームロードを食べて、ジャイアントマッシュルームを十分に堪能した
「ねえ、ステフ」
「なぁに」
「この量のキノコ、どうするんだ」
「フッフッフ、そこはステフ様だよ、ちゃーんと対策ついてるんだよ」
「どうするんだ?」
「持てる分だけ持ってく、後は皆、土に返ってくんだよ
美しきかな生命」
「それは、対策とは言えない」
「まま、そう言わずに」
それからは、特に問題もなく、事は進んでいった。
そして遂に、
「着いたー、ここが賢者の家かー」
そこは、なんてこと無いただのログハウス風の建物だった。
「あっ、あれ見て」
「ん?」
そこには、賢者の家のドアプレートにはこう書かれていた
「えーっと『人が全く来なくて暇なので、人里を旅します』だと……」
「えっと、その、ドンマイ」
「ふざけんなよ、賢者ーーー」
まだ、俺たちの賢者探しの旅は続くのだ
初めてのちゃんとした戦闘シーンがキノコ!?