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その後...のちょっと前の話⑤

はいはい、知ってた知ってた。なんなら昨日の大晦日の段階で分かっていた。

結局正月も一人ボッ

 仮に同じ人物同士が戦闘を行うとして、完全武装vs全裸だったら確実に全裸が負けるだろう。


 それは分かりきったことなので今俺に採れる選択肢は二つある。

 一つ目は、相手を俺と同じく全裸にすることだ。

 そして二つ目は、自分も完全武装することである。


 二つ目でもいいがアイテムボックス内にある装備じゃ話にならないことぐらいは目に見えてる。よってここは一つ目を選ぼう。モロチン…。んん、もちろんアイツを全裸にして辱めたいなどとは全く思っていない。ええ、そうですとも。全ては勝利のために!


 ただ全裸で突っ込むのはアホの所業なので《創》の異能で何か武器を作ることにした。ただ、時間もないし材料もないしでどうせ碌なものを作ることは出来ないので小さくて強いものを作ることにした。


 ………

 ……

 …


 そして出来上がったのがこれだ。


『血戦兵器:殺戮蚊(キラーモスキート)


 見た目は黒赤色の小さな釘で、材料は俺の血を少々。そして動力は血であり、俺の血でなくとも構わないが対象が強ければ強いほど性能も上昇する仕組みを持った凶悪な兵器だ。これはつい自画自賛してしまうほどの出来栄えだ。


 早速『殺戮蚊』をフヨフヨの擬人化に向かって投げつけようとしたのだが、アイツも俺と同じ異能を持っている可能性があることに気が付いた。というのも襲来イベントの裏ボスは全てダンジョンで、しかもアイツの目の前で倒していた訳だからアイツはパーティー機能を使えて更に経験値共有出来たのだろう。ということはアイツのステータスにも『異能』が生えてるかもしれないのだ。表ボスしか倒していない勇者たちには『異能』が無かったので、表と裏両方のボスを倒していないと『異能』が生えてこないのか裏ボスだけで十分なのかは未だ不明だが、たとえ確率が低くとも備えておくに越したことはないだろう。なので俺が何かをしたということはバレたものと思って行動した方がいいだろう。


 ということで唯一アイツの目の前で倒していない裏ボス『魔王』討伐時に得た異能《隠》を使って『殺戮蚊』を隠すことにした。ただ初めて使う異能だから加減が分からず全力で使ってみたが、もしこれでバレたのなら仕方ないなと思うことにする。


 ということで一見全裸に見える俺だが、その実凶悪な隠し兵器を手に入れることが出来たのである。


「…君、今何かしたね?ただ、言っておくけど今更君が何をしても僕には勝てないのは分かってるよね?」


 無視して慎重に相手に近づく。足音すら立てずに、そして《殺》の異能を使い一時的に自分を仮死状態にすることで心臓の鼓動の音さえも出さずにひっそりと近づく。その時《耐》えることで穏やかな死を回避し限界ギリギリまで動けるようにする。


 高速で近づくと対処された時に自身のスピードも合わさってダメージが大きくなりすぎるからである。そして相手はフヨフヨなので確実に対処してきて更に追加で攻撃してくるのは目に見えている。


 俺が近づいても一向に相手は構える気配を見せないので向こうは相当余裕なのだと判断した。


 それなら、ということで相手の装備から|露出している部分(顔)目掛けて殺戮蚊をぶん投げた。


 何かが刺さったのに気づいた様子のフヨフヨは直ぐ様その何かを引っこ抜き、確認し、投げ捨てた。そしてまるで何事もなかったかのように目を閉じた。


 …次はもう少し凶悪なのを作ろうか。ただその前に本気で死にそうなのでフヨフヨから距離を取り仮死状態を解除した。《隠》はそのままだが。


 ………

 ……

 …


 完成した。


『最終血戦兵器:殺戮毒蚊(テラーモスキート)


 さっきまでの《殺戮蚊》と同じ色形をしているが、俺の知る《全》ての毒の内、最も《殺》傷力の優れた遅効性の毒(全身が次第に壊死していき、最終的には全身が液体になる)を《時》の異能で即効性に変化させ、その毒を血を原料に兵器内部で《創》ることが出来るようにした。そして出来上がった物を《重》の異能で重量を限りなく減らした。…ただ粘膜吸収させる必要があるので耳や鼻、口からじゃないと効果が期待できないのは残念だったが。


 兵器が完成したので《幻》で俺の横に全裸の分身を出現させて口を開かせた。


「俺は準備万端だぜ?たとえ全裸でもお前程度には負ける気がしないな」


 アイツが口を開いた瞬間に《殺戮毒蚊》を口の中に投げ込む準備は出来ている。さあ、喋れ!


「………」


 …おかしいな。さっきまであんなに喋っていたのに急に黙ったぞ。


「おいおい、ビビってんのか?こっちは全裸なんだぞ?」


 さっき「全裸でも負ける気がしない」とかいらんこと言っちゃったからかなあ。くぅ…。


 それに初めてこんなにも大量に異能を使用した所為か、精神的・肉体的疲労で倒れそうな程しんどい。なんなら気を抜けば今にも倒れてしまいそうな程だ。こんなんだったら自分から機会を作るしかない。


 《幻》影に《気》を込め、まるで生きてるかのように動かす。

 よっしゃ、突撃だー!


 といっても実体が無いから物理攻撃は出来ないが、その分適当に魔法攻撃とかぶっ放しとけばいいだろうか。


「えーい、《世界》属性魔法の『天地開闢』、《宇宙》属性魔法の『隕石招来』だ!」


 《幻》影の俺が叫び、リアルな俺が魔法を使う。


 ただ魔法の実態は、ダンジョン内なので『天地開闢』はほぼ効果がないので結局震度5ぐらいの《地》属性魔法の『地震』にして、『隕石招来』はダンジョンの天井を一部を《風》属性魔法の『風刃』で砕きそれを《重力》魔法の『加重』と《時空間》魔法の『加速』で威力を(かさ)増ししただけの小岩の投擲のようなものにした。


 案の定フヨフヨにダメージを与えられなかったが、周囲には土煙が舞った。もしフヨフヨが自身の鼻や口を手で覆っているのならば、《隠》れてフヨフヨの耳元まで近付き、耳の中へ『殺戮毒蚊』をぶん投げてやろう。


 少し砂埃が止み視界が良くなったところで、結果は…。


 フヨフヨは自身の周囲に結界のようなものを張っていた。


 …うん、詰んだな。

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