紀州の梅

作者：長廻勉

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紀州の城に桜が咲いた

葵の見栄など倣う事無く

産婆の手など知る良しもなく

青い空にただ咲いた

かつての彩華は歴史に埋められ

未完のままの虚峰を望む

そこより見ゆる白浜は

座礁し沈む歴史を見殺しに

波も長く寄せては返す

波の揺りかご懇ろに

食えぬ真黒い夢を見る

紀州の城に桜が咲いた

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