表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝福された世界への逃避録  作者: 加耶ヶ咲みちる
第1話 ここは祝福された世界
10/23

1-08

 隣村での行商はなんの問題もなく終わり、クヒド村の帰路へ着いている最中である。


 そういえば、いくときは何度も遭遇して倒していったポムポムがさっきから出てこないことに気がついた。


「あれ、さっきからポムポムの姿が見かけないようですけど、この時間はいないんですか?」


「あぁ、それはこいつのおかげだ」


 オルターが荷台からランプのようなものを取り出す。

 ランプのようなものは青く美しく光を発している。


「これは幻獣除けのお香のようなものでな、焚いている間は幻獣は近寄れないんだ。」


 そんなのがあるんだったら行くとき戦う必要なかったんじゃ…

 といっても戦わせたのは俺を成長させる為と言っていたし、しょうがない。


「まぁ、ポムポム自体は無害なんだよな。敵意を見せなきゃこちらに危害を加える気のない可愛い生物なんだぜ」


 なんだって。

 あんな可愛らしくて無害なポムポムを掃滅していた俺はなんて無慈悲なんだ。


「そんな暗そうな顔すんなって。結局ああいう幻獣は全て滅ぼさなければいけない運命なんだぜ」


「滅ぼされる運命なんですか。」


「まぁな。幻獣というのは、元々《祝福》で生み出された生き物なんだ。生物錬成の系統の持ち主が乱用して多種多様な生物がこの世界に拡散してしまったんだよ。しかも厄介なことに勝手に自分で繁殖出来るから数は減らなく殲滅出来ないのが今の現状だ」


 そういえば倒した時、死体も残らず消えていくのは少し不思議に感じていたが、能力によって作り出されたものだからか。

 自分で作った生物を全世界に広めることができちゃうなんてある意味侵略行為だよな。


「祝福を悪用する人はいるものですね」


「あぁ、そりぁいるさ。祝福を用いた争い事や暴動なんて当たり前だし、事件の真相には必ずってぐらい祝福が出てくるもんだ。」


 やはり、力を持てば悪いことに使うやつはどの世界にもいるもんなんだな。


「みんなこの力を神様からの祝福って呼んでいるけど、私はそう思いたくないんです。祝福なんだったらみんな幸せで平和な世界になっているはずなんです!」

 すると一緒に荷台を引いているアリサが急に声を大きくして言う。


「《祝福》のおかげで幸せになれた奴はたくさんいる。じゃなきゃ《祝福》なんて呼ばれ方はしねぇぜ」

 祝福というのは神から与えられる恵みという意味だし、意味としては間違ってはいない。


 力というのは結局使い方次第でどのようにもなるものだ。


「まぁ…神様はただ力を与えただけで、それをどのように活用するのは俺たち次第なんじゃないですかね。」

 俺の世界では、祝福なんて力がなくても戦争は起きている。争いが起きるのは人間のせいであり自然の摂理なんだと自分は思う。


「そうですよね…。結局、悪く使う人間が悪いのですね…。」


「アリサ。あんまり過去のことは振り返るな。元気なお前が暗いと心配されちゃうぜ」

 オルターが意味ありげにアリサを慰めるように言ってくる。


 何かがこの二人に起こったのが察せるが、関係ない自分が探るものではないな。


 とりあえずあんまりこの話題を続けるのはよろしくなさそうなので終わらせた。

 違う話題に変え、オルターとアリサと俺が暮らすクヒド村へ帰っていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ