女神は笑みを浮かべながら
「ナーデ!」
「来たか、変革者達」
「夏郷さん。何がどうなって!?」
「魔物を生み出していたのは、ナーデだったんだよ。憧れが生んだ存在だったんだ」
「オレ達を呼び戻したわけは?」
「俺達に自分を殺させようとしているんだよ」
「漢達が、ナーデを!?」
「本気なのか? ナーデ」
「本気だよ。わたしを消滅させるのだ、雁斗。そうして全てを平和に導いてほしい」
「わーたよ。お前の望みを叶えてやる」
「雁斗ち!?」
「ナーデの望みは、脅威を滅ぼしてほしい、だろ。脅威が生まれる原因がナーデ自身にあって、自分の消滅をナーデ自身が望んでいる。なら、俺達がすることは決まってる」
「雁斗ち。それは正しいかもだ……でもよ!」
「緋。多分、普通なら俺の行動は間違いだろ。けれどよ、時には心を鬼にして挑まなけりゃならねえ試練がある。お前にも、あったんじゃねえか?」
「雁斗ちは強いぜ。身体も心も。漢だって色々乗り越えてきたつもりだ。でも雁斗ち程、心を鬼にして挑んではなかっただろうぜ」
「夏郷、ナーデを助けるという意味でも、迷いを捨てたほうがいいと俺は思う」
「雁斗君の意見には賛成だよ。だけど、俺的に譲れないこともあるんだ」
「あん?」
「ナーデを消滅させたくない。あくまで、ナーデを生かしたい」
「夏郷。お前!?」
「貴女は、神から人間に転生するんだ。その為なら、俺は迷いはしないよ」
「強情だな」
ナーデは目を閉じる。
「皆、いくよ」
「おう」
「覚悟を決めたぜ」
「一気に決める」
「さあ、夏郷……ムロ……緋……雁斗。わたしを消滅させるのだ」
「「はああああ!!」」
(ありがとう。変革達)
ナーデは、笑みを浮かべながら消えていく。少しばかり涙を流しながら静かに。
四人は、そんなナーデを黙って見送った。




