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ルリベ共同戦線

「ここが……ルリベ」


 夏郷が言葉を発す。そんな言葉もルリベの景色には届かないでいた。


「街、だよな」


 ムロが唖然とする。そこに広がるのは、街とはかけ離れた草原だったからだ。


「自然に囲まれた街って感じだぜ」


「まさに、アイドルにはピッタリの場所ね」


「綺麗な街。こんな街だったの?」


「あれ? 来たことはなかったのかい? リリちゃん」


「ずーっとイードに居たから。地図は頭に入っているけど、実際に来たことがある街は意外に少ない」


「そうだったんだ。目的は楽観的じゃないけど、来られてよかったね」


「うん。どうせなら、姉さんも一緒に来たかった」


「今度来ればいいんじゃないかな」


「そう……だよね」


「……今度はない」


 黒い霧が現れ、その中から校長が現れる。


「校長、俺達の邪魔はさせない!」


「黒い霧に呑まれた坊主がよく言う」


「もう呑まれない。呑まれるわけにはいかない」


「決着を着けようではないか。ふはは!」


 校長が霧を纏い構える。


「勝手は困る。イードの目的の妨げになるのなら消えてもらうまでだ」


「ウダホ隊長!?」


「エミルが、どうしてもキミを連れ戻すと譲らなくてね。跡を追った形となってしまった」


「リリ! お姉ちゃんと一緒に帰ろう!」


 エミルはリリに手を差し出す。


「……ごめんなさい……。リリは、イードから足を洗います。リリの人生、リリが選んで生きたい!」


「リリ!?」


「エミル、説得はあとにするんだ。目の前の敵に集中しろ」


「ウダホ。手を貸してくれるのなら有難い」


「飯沼夏郷。今の私はイードの人間として居る。戦うべき相手を間違えるわけにはいかない。……ここは、共同戦線を張ろう」


「好きにするがいい。纏めて相手になってやろう!」


 校長の身体を黒い霧が包んだ。

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