最凶の神
「ワタクシが下等に対して復讐を働くなど不愉快極まりないが……殺られっぱなしじゃあシャクだあ゛」
ラグナロクの緩急をつけた動きに雁斗は翻弄される。
「ちっ。よっぽどイノシシみたいに突っ込んで来てくれたほうが楽なのによ」
「負けて得たものもあった、ということだあ゛」
ラグナロクは光線を放つが、見切っていた雁斗は容易く避けた。しかし、ラグナロクはニヤリと笑む。
「ぞごだ!」
「やべっ!?」
雁斗の動きを予測していたラグナロクは、雁斗が避けたところを見逃さず、攻撃を加えた。
「神に逆らうと痛い目をみるのだ。今、楽にしてやろう」
「……あんにゃろー! 無駄に学習しやがって! アッタマきた!」
雁斗は両眼を金色にし、獣の毛皮を身に纏う。
「変化しだ!?」
ラグナロクが驚きを隠せないでいた。
「驚くのもしゃあねえよ。お前が死んでから得た能力だからな」
「……い゛ぐら゛変わろうとも゛!」
ラグナロクが本気の光線を放ってくる。
「甘え。俺のは正真正銘の冷獣砲だってんだ!」
雁斗は、両手から光線を放った。それは見事にラグナロクの光線を圧倒していった。
「ぐあ゛あ゛あ゛あ゛」
「これで分かったろ? 今のお前と俺とじゃ、実力の差がありすぎる」
「貴様の実力の程は分かった。だが所詮は人間。神の俺達に敵わない存在だ」
ザンは、傷付いたラグナロクに肩を貸すと、地上へと降りた。
「あん? やっぱ降参か?」
「笑わせる。俺の武装石の力とラグナロクの力を合わせる。さて、どうなるか」
ザンとラグナロクを黒い霧が覆い始める。
(二人で攻撃してくる気だな。その為の霧って訳か)
雁斗は、応戦の構えをとる。だが黒い霧は徐々に小さくなっていく。
(目眩ましの霧じゃねえのか?)
「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」」
「……んだ……ありゃあ!?」
雁斗は呆然としてしまう。黒い霧が晴れた先に居たのが、知らない人間だったからだ。
「「どうした? 驚いて声も出ないか? 神と神の融合を目の当たりにしたばかりに」」
「融合!? 冗談、じゃねえみてえだな。まあ、数が減ったんだ。マシになったんじゃねえかな」
「「そいつはどうか」」
「!?」
を向けられた瞬間、雁斗が身動きを取れずにいた。
「「これが……神の裁きだ」」
(!!)
雁斗の胸が、一瞬で貫かれた。




