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セイララの誓い

「うぐぅ!? 痛いじゃないかあ!」


「頭突きかまして痛がられなきゃ大損じゃねえか」


「何で僕の気持ちを解ってくれないんだあ!」


「アイドルを独占しようとしちゃってる時点で、きみは間違えてるの! プライベートなあたしを狙っているのも失態ね」


「セイララちゃんは僕のモノになるべきだよお。それが幸せなんだあ」


「あたしは御免よ! あたしの気持ちを簡単にあげるわけにはいかないの」


「僕の気持ちをないがしろにして面白いのかあ!」


 男性の身体から煙が噴き出す。


「あん? 何の煙だ」


「雁斗君、気を付けて! この煙、普通じゃないよ」


 夏郷が辛そうに涙を流している。


「催涙の煙、か。傍迷惑なラームドだ!」


 雁斗は、男性の顔を回し蹴りした。


「あ……ああ」


「煙は厄介だけど、術者が能無しじゃ大したことじゃねえ」


「凄いよ雁斗くん。きみ、強いんだね」


「大したことじゃねえって。にしてもお前、心が休まらねえんじゃねえか? こんな男に追っ掛けられて」


「そういう問題も承知の上のアイドルなの。半端な気持ちじゃ潰されて終いなの」


「立派じゃねえか。少々高飛車がたまに傷だけど」


「言ってくれるじゃない。年下の雁斗くん」


 セイララは、静かに微笑んだ。


「……と、一難去ってまた一難、てか」


「雁斗ち、近いのか?」


「ああ。ちょいと行って片付けてくる。皆、泊まる場所を決めといてくれ」


 雁斗は、そう言うとそそくさと魔物の元に向かっていった。


「いいの? 何だか分からないけど1人で行かせちゃって」


「大丈夫だと思うよ。あの雁斗君だからね」


「随分と信用が固いじゃない。ねえ? 泊まる場所を探しているのなら、あたしの泊まっているホテルで良ければ部屋を取ってあげるわ」


「いいのかい? 大人気アイドルの隠れ家に」


「きみ達なら信用できると判断したの。それと、あたし、セイララはここで誓わさせてもらうよ。きみ達に対してなら協力を惜しまないって!」


「アイドルが味方に付いてくれれば、色々と話が通るかもしれないぜ!」


「いいのかよ。オレ達の素性も知らないのに」


「これから知ればいいことでしょ。夜は長いよ?」


「抜け目ないオバサン」


 リリがボソリと言った。

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