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集いし主人公

 イード第七部隊との戦いを終えた四人は、昼食をとるのにお店に入っていた。


「うまっ!」


 ムロが山積みになっているパンを頬張っている。


「あまりがっついて詰まらせないでよ」


「分かってるって。夏郷は心配性だな……ごふっ!?」


「言わんこっちゃない……はい、お水」


「ごほっ……ふぅ……助かった夏郷」


「ゆっくり食べないと、消化にも悪いぞ」


「気を付ける」


「はっはっは! 今朝、オレに大人ぶってた奴とは思えないぜ」


「こら緋、食事中に指を差さない」


「えっ!? あ……すみません夏郷さん」


「ふ……仲いいな、お前達」


 雁斗は、三人のやり取りを見て言った。


「そりゃ夏郷さんは、オレの憧れの先輩だからな!」


「先輩?」


「ああ。俺と緋は、高校と大学の先輩後輩の関係なんだよ」


「へー。そのわりには落ち着きねえな」


「夏郷さんが落ち着き過ぎなんだって!」


「そうか? 年相応ではない気がするが」


「なっ! お前、歳は!」


「俺? 十四だけど」


「なああああ!?」


 緋が唖然とした。


「マジかよ!? オレや緋と大差ないと思ってた」


「やっぱ俺って歳上に見えんのか」


「やっぱ?」


「だいたい初対面の人間からは上に見られるんだ」


「その紫の髪のせいか?」


「かもな……地毛だし、染める気もねえけど」


「ムロ、ひとのこと言えたぎりか」


「それ、お前もだ」


「あ、そっか」


 ムロと緋は、お互いの赤髪を見た。


「雁斗君は利口なんだね」


 夏郷は、ルルリを飲んでいる。


「そんなことねえ。本当に利口なら戦場なんかに飛び込まねえさ」


「ねえ、質問いいかな?」


「うん?」


「抹殺師って何?」


「うーん……簡単に言やあ、退治屋かな」


「魔物とか?」


「そんな感じだな」


「それは今もかい?」


「いや、戦いは終わってる」


「それはよかった。戦いの最中にこっちに飛ばされたとあっちゃ大変だから」


「……夏郷。オレ、戦いの真っ最中だったんだけど」


「あはは……ごめんムロ」


「戦いといえば、仮面英雄伝ゲームのアップデートあったんだ!」


「こんなときにも仮面英雄伝ゲームのことを気に掛けるなんて。相変わらずだね、緋」


「当然すよ! オレにとって運命の存在ですから!」


「雁斗ちは、ゲームしないのか?」


「テレビゲームなんて触れたの最近になってからだ」


「もったいない! 知れば知るほど深いのに」


「緋、何事も程々だ」


「たく釣れないぜムロ」


「釣られる気なんかない」


 ムロは、残っていたパンを食べている。


「これからどうすんだ。奴等に対抗する手立てはあるのか?」


「雁斗君はどう考える」


「集団で来られたら厄介かもな。けど正直言って敵わない相手じゃねえ、と思う」


「そう思うんだ? そう思えちゃうんだね」


「何か欠点ある?」


「いいや。ただ、あの戦いのあとでそれが言えちゃうなんて凄いなってね」


「あんなの大したことなかった。少なくとも俺にとってはな」


「凄い余裕だこと。ま、オレも負けないがな」


「それはオレも同じだぜ!」


「なあ、何であのとき本気で戦わなかったんだ」


「大きすぎる力は、守るべきものまで壊してしまう。だからかな」


「成る程ねえ。そいつはよかった」


「夏郷さんはどうしたいです?」


「イードの目的は、レヴィス・タワーの占拠だよ。ならレヴィス・タワーで待ち構えていればいいんじゃない?」


「待ち伏せか。アリだな」


「さっきやられた分、キッチリ返してやるぜ!」


「雁斗君は?」


「夏郷の作戦に従う。あんた達の全力を見たいしな」


「よし。意見が一致したね! 皆の力を合わせて、イードを倒そう」


「「オー!」」


 四人が結束を固めた。

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