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エイ  作者: ごめん手
9/22

たしかあのときっていう回想はだいたい後付け

 白い、溶けかけのチーズのような、滑りのある体が光っていた。

哺乳類の体。クジラのような巨大なフォルムが、教室の天井近くにぽっかりと浮かんでいる。

 いや、教室全体を覆っていると言ったほうが正確だろう。影はある。が、他のやつらは気づいてない。

 窓から入る日差しを浴び、体の表面を幾重もの斜線が色彩を変えて光っている。

 たった今水から出てきたかのようだ。よく見ると体中に古傷のような切れ目が入っている。

 そして何よりも奇妙なのは、体の中央に記号的といっていいほど丸い穴が空いていた。

 直径五メートルくらいだろうか。真っ黒で中に何も見えない。

 ああ、一番後ろの席で良かった。全体が見渡せるなあ。


 僕がこの光景を目にして思ったことを包み隠さず言おう。

 見た瞬間「まただ」と思った。そしてそう思うと同時に僕は混乱した。

 記憶が取り出されるのが遅い。曇った薄汚いガラスに古い血がこびりつき、何かの悲鳴を伝えているように・・もどかしい。

 また・・・?そう・・・まただった。

 ・・・青い空。

 人がいない。

 昼休憩。

 そう・・・そうだった。

 前に見た時、あれは校舎の外にいた。前に見た時は屋上より三百メートルくらい離れていた場所にあったっけ。

 とにかく猛暑だった。

 彼女の半袖を見ていた。彼女?誰だっけ?


 ああ・・・ああ・・・そうか、そうだったのか。

 あれが僕を小学校に飛ばしたのか。

 ーたしかあのとき


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