字書き少女のアップダウン
制限時間15分、お題は「悔しい小説家たち」でした。
■即興小説http://sokkyo-shosetsu.com/
「うああああああん、閲覧伸びないよおおおおおおお」
あたしはコンビニパンを握りつぶしながらクラスメイトの結衣ちゃんに泣きついた。
「あー? いつ投稿したん」
「昨日の夜中~」
「んなもん、伸びないの当たり前じゃん。オリジナル小説だし」
いちごオレをストローですすりながら結衣ちゃんはしらけた顔で言った。
「でもでもでも~! 昨日書いたやつは傑作だったんだよおおおお!
一週間前からずっとプロット練ってたし、反応良かったら次の文芸誌に載せようって決めてたのにいいい。
閲覧数、たったの3だよ、3!」
「あのさ」
結衣ちゃんはぐぐぐ、と詰め寄ってくるあたしを片手で押し返しながらため息をついた。
「あんた何のために文芸部入ったんだっけ」
「あ? えー……なんでだっけ」
「……高校入って全生徒強制入部だからって、『楽そうなトコにしよ~』って文芸部に誘ったのは、アンタじゃん!」
「あ、そだっけ」
「半年前のことだろ!」
ずずっと最後のひとしずくを飲み終わると、結衣ちゃんはぐしゃりと紙パックを握りつぶしながら、
「あんた、文、下手だもん」
と言った。
「な! ひ、ひどっ!」
「事実っしょ。つい先月までろくに文も書かずに遊んでばっかだったクセに」
「でもでも、やっぱ書き始めるとさー、誰かに読んで欲しいじゃん?
それに今は真剣にやってるもん!」
「うん。あたしも今はシンケンだよ。
少なくともあんたより真面目にやってきたから、部活」
結衣ちゃんはスマホを取り出すと、
「で、アドレスは」
と聞いた。
「ほえ?」
「サイトのアドレス。読んでやっから」
「! 結衣さまあああん♡」
帰宅して閲覧数を確認すると、『9』になっていた。
あとどれだけ書けば、たくさんの人に読んでもらえるようになるんだろう。




