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最終夢:夢幻町へようこそ

エッジ「はぁ〜最終回です最終回!遂にここまできてしまいましたー!」
イヴ「長かったのか短かったのか分からないけど応援してくれた皆さん本当にありがとう」
エッジ「ありがとう〜!!!」
イヴ「遂に最終回ですが、前にも言ったとおりエンディングを用意しています。反応うすいけど少数の人がエンディング選択に協力してくれました。ありがたいですなきそうです」
エッジ「本当にうれしいですよ〜・・・」
イヴ「それで、この最終回から2日後にエンディングを投稿したいと思いますので、それまでに見たいエンディングを投稿していただけると助かります」
エッジ「掲示板のほうで見たいエンディング選択を設けておりますのでそちらをご利用いただけるとたすかります〜」
イヴ「それでは皆さん本当にありがとうございました」
エッジ・イヴ「グッバイ」

日が沈み、闇に染まっていく雑木林の中、先程から光が炸裂しては闇に戻ると繰り返している。

「はぁはぁ・・・あっちかな・・イヴちゃん」

「・・・うん・・・あっちに急いで・・・」

佐藤は力なく頷くイヴを背負いなおし、光が瞬く場所を目指した。







闇。


何もない空間。


それはどこまでも無限に広がっている。


誰かがそこを明かりもなく歩く。


揺ぎ無い自信に満ちた歩み。


何も見えなくても感じることが出来る。


そう、その人は大事な人を感じることが出来る。


『・・・見つけた』

鈴の音のような耳朶を擽る声音が蹲っている人影に響いた。

『泣いてるの?悲しいことがあったの?』

わからない。

蹲った人影は声も出さずに感情や言葉をその人に伝えられる、否、その人になら伝わるのだ。

『わからないのに悲しいの?』

大切な人を失った・・・から?

人影は自分のことすら曖昧で何も分からないのだろう。

『そう、大切な人を失ってしまったの?』

・・・うん。

力なく頷く人影にその人は微笑む。

『きっと大丈夫。貴方が望むならばその人は貴方と共に生きられる』

本当・・・?

『うん。本当だよ・・・だから悲しまないで』










「エーテルブラスト!!Run!」

リペアの翳した手から光の衝撃が剣示を襲う。すかさずシェイドが剣示が避ける方向へと力を解き放つ。

「イグドレードバーニング!」

灼熱の炎が木々を焼き払いながら剣示を追う。

「その程度その程度なのか!くっくっく!アイシングウォール!」

剣示が身体を伏せるような形で地面に手をついた。瞬間、厚い氷の壁が剣示の前に顕れ、灼熱の炎を防いだ。

(くっ!何故こうも防御一辺倒なのだ!?奴め、何を企んでいる・・・いや、何を狙っている!?)

シェイドが焦燥感を感じずにはいられなくなっていた。

剣示はこちらを攻める気配はなく、こちらの攻撃を全力で防いでいる。

傍から見ればこちらが優勢であることは目に見えて分かる展開だ、だが、そうではないことはシェイドもリペアも分かっていた。

「さぁ・・・もう終わりなのかな?お二方・・・」

嘲うかのように挑発をしてくる剣示にシェイドは奥歯を噛み締める。

「シェイド、挑発に乗ってはいけませんよ」

「分かっている!指図はするな!リペア!奴は何を狙っている!?」

(おそらくは・・・イーヴァルズグラァックスのページを読み取っている最中・・・剣示さんというイーヴァルズグラックスの断片から生まれたイレギュラーな鍵を手に入れたことによって”名”を探すことに躍起になっているはず・・・)

リペアはシェイドを一瞬見る。

そしてすぐに剣示に視線を戻し言い放った。

「これ以上、時間を与えるわけにはいきません!一気に奴を消滅させますよ!!!」

「指図はするなといったはずだがな!この際仕方ない!いくぞリペア!!」










「最後に君に会えて、私は幸せ者だな」

「それが殺し合いだとしてですか?」


本当に私も幸せ者です・・・最後の時に貴方に会えることが出来るなんて。


サッドの受け答えた言葉にクロウは小さく噴出した。

「ふっ、君に私を殺すほどの力はない。そして私には君を殺す気はない。これが殺し合いといえるか疑問だな」

「そう。私が本気だとしてもですか」


本気になれるはずがないわ・・・


「私が憎いか・・・サッド」

「ええ、こんな皮肉な長い時間を与えた貴方が憎いのは当たり前でせう?」


憎めるはずがないわ、私の貴方への愛が途絶えたことはありません・・・


「私は貴方を憎んでいます・・・」


私は貴方を愛しています・・・


その言葉を最後にサッドは二振りの小太刀を構えた。

それに習うようにクロウも海神を鞘に戻し居合いの型で構える。

先に仕掛けたのはクロウだった。

先の手、神速の剣速を生み出す居合い。

後の手、それを避けながら心臓を狙ったサッドの瞬華がサッドの手から離れクロウへと放たれる。

すぐさまクロウの動きを察し、そこへと投げつけるはずの連華が手からするりとこぼれる。

サッドの瞳に映ったのは微笑んだまま動かないクロウ。

ゆっくりと本当にゆっくりと時間が進む。

投げた瞬華がゆっくりとクロウの心臓へと向かい進んでいく。


やめて・・・


見開いたサッドの瞳が潤み、どうしようもできない感情が雫を作り出す。


やめて・・・クロウ!何をしているの!?避けて避けてよ!!!


ゆっくりと流れる時間の中、クロウは心臓を貫かれ、崩れ折れる。


「くろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!いやぁぁぁぁぁぁ!!」


雫が零れ、涙の筋を作る。


館に差し込む月明かりがサッドの涙の残滓を照らした・・・









「セフィラス・コード!Run!」

「セフィラス・コード!」

凄まじい色彩の光が炸裂し、辺りを包む。

全てを飲み込むほど強烈な光が木々や草木土までも飲み込み、消滅していく。

その中央にいる人影が薄くなっている。

剣示の姿だ。

しかし、その姿は絶叫しているというよりも高らかに笑っているようにみえた。


「ますたああああああああああああああああああああああああああ!」


「!?イーヴァルズグラックス!?」

「もう、これで終わりのはずです、滅びのときが来ましたイーヴァルズグラックス」

佐藤に背負われて現れたイヴを二人は振り向いて見た。

イヴの視線が昇華していく光に注がれるのを見、二人は素早く振り返る。

「くっくっく・・・得たぞ。私は得たぞ?”名”を!!私の”名”は!!」

「くそおおおおお!やめろおおおお!」


「ЭлбдЩ?жбЩ!!」


剣示がその”名”を叫んだ瞬間、全てが光に包まれる。

否、それは光ではない。

影すら作ること無い完全なる白い闇。

広がり、飲み込み、蹂躙していく。


世界は・・・白く何もかも感じることない無機質なものに変わり果てていく。








「ぐ・・・白き闇に・・・世界を奪われるか・・・ふ、それも・・・い、い」

「どうしてっ・・・どうしてこんな・・・っ!!」

倒れたクロウを抱き起こすようにサッドが寄り添う。

幾度も幾度もクロウの頬にサッドの雫が零れる。

「憎んで、いた、のだろう?せめて・・・最後にと・・・思ったんだが」

「あなたはっ!あなたはいつもそう!!・・・本当に女心のわからないお人・・・っ」

クロウの顔を自分に引き寄せ咽び泣くサッドを見てクロウは少しだけ後悔をした。

「そう、か・・・」



「そう、よ・・・ねぇ、知っていた?私がいつも貴方を愛していたことを」



「そして、貴方と共に生き、共に死にたかったことを・・・」



そう言い終わるとともにサッドは自らの胸をもう1つの小太刀で貫いた・・・。










誰かが呼んでいる・・・

『そう、それは貴方の大切な人?』

わからない・・・

『貴方が望むなら、私は貴方に望むものを与えられる』

何を望めばいいのかわからない・・・

『それはとても簡単でとても難しい』

謎掛けは苦手なんだ・・・

『貴方の愛する人の”名”を与えてくれる?』

どうして?

『私を私として認識出来なければ、私は存在できないから』

君は誰なんだ・・・?

『まだ私は誰でもない。誰でもないし、誰にでもなりうる全ての雛形レギオン

俺は・・・もう、起き上がれないよ・・・

『ねぇ、今の世界の有様を見て』

これは・・・何?白い・・・何も見えないよ・・・

『これが今の世界。これは君が望んだ未来?』

こんなもの望むはずはない・・・

『貴方はこれを変えることが出来るわ、でも私は強制しない』

どうして?世界を救えっていうんじゃないのか・・?

『だって、この世界は誰も何も感じない世界。誰一人苦しんだり、悲しんだりしていないもの・・・そう、何も感じない世界』

でも、こんな世界間違っている・・・

『君はこの世界を変えられる。でも君自身も変ってしまう』

それは、俺が人ではなくなること?

『うん。貴方は人ではなくなってしまう』

どうして君はそんなことが出来る?

『ねぇ、知っている?パンドラの箱・・・パンドラの開けてしまった箱にはありとあらゆる災厄や不幸、不のエネルギーが詰まっていた。でもね、その箱にはそう、希望というものも入っていた』

君は希望なのか?

『貴方が望むのなら私は希望』

そうか、君には”名”がないんだったね・・・

『私は貴方に永遠を与える者。そして貴方の永遠をたゆたう伴侶として作り出された雛形』

俺が君に”名”を与えれば君自身はどうなってしまうの?

『私は魂がないの。只の入れ物。そして今は貴方に与える力が詰まっている只の人形・・・だからどうなることもないわ。私は貴方の与える”名”で私になれる』

与えた人の魂・・・俺がその”名”を与えてしまったらその”名”を持った人は悲しまないだろうか?

『気になるの?』

・・・ああ

『ここは全ての魂が奔流する夢幻の空間。貴方の想う魂に語りかければいいじゃない』

俺が・・・想う・・・魂・・・

『そう、貴方が想う・・・大切な魂』

なぁ、君は俺と永遠を生きることを願うだろうか?

『・・・』

そう、本当にそれでいいのか?

『・・・』

俺?俺は・・・君と共に生きるなら後悔しない

『・・・』

なぁ、君。君に”名”を与えたいんだ。俺の一番大切で愛している人の”名”を。

『うん。聞かせて、私の”名”』

君の”名”は・・・



――――・・・








「どうしてお前は存在できる?この世界に」

白い闇の中、ЭлбдЩ?жбЩの声が響いた。

「さぁ?何でだと思うよ?」

剣示は白い闇のなかで鮮明に形を整えた。

自らの体を確かめるように各関節などを確かめながら不敵に答えた。

「まぁ、いいさ。この世界では全て私の思うが儘よ」

「ふぅん?そうなんだ」

白い闇の中、剣示と向いあう形でЭлбдЩ?жбЩが剣示の姿で顕れる。

「こういうことさ」

「だから?」

「いらない存在は私は排除するってことさ」

「やってみな」

剣示は不敵に笑った。

ЭлбдЩ?жбЩが剣示に向けて手を翳す。

「インファーナル・レクイエム」

白い空間に白い霧が立ち込める。

気を失うような瘴気が辺りを包み剣示を背後からЭлбдЩ?жбЩが襲う。

それを分かっていたとでもいうように顔色1つ変えずに剣示はЭлбдЩ?жбЩを振り向きざまに蹴り上げた。

人間ではない力で蹴り上げられたЭлбдЩ?жбЩは果ての無い空間の中を吹き飛ぶ。

吹き飛んだЭлбдЩ?жбЩを剣示は地を蹴って追い。

跳躍し、踵を落とす。

凄まじい音とともにЭлбдЩ?жбЩが空間の地面に叩きつけられ血反吐を吐き散らす。

「く・・・何故だ・・・この空間で力を振るえるのは私だけのはずだ!」

「知るかボケ」

「たかが、断片が寄生した人間の分際で・・・この私に!!」

剣示は怒り狂うЭлбдЩ?жбЩを嘲った。

「やめたんだよ」

「なんだと・・?」

「やめたよ。人間ってやつをさ」

ЭлбдЩ?жбЩが目を見開いて驚愕する。

今度はその姿を希薄させ、世界と同化しようと悪足掻きをする。

剣示は哀れむ、そのЭлбдЩ?жбЩの姿が酷く滑稽だった。

「無駄だよ、俺はこの世界だって消せる」

「はっ!ハッタリを!!お前など存在させん!消えろ相島 剣示!!!!」


世界はかくも儚く。


夢か幻か。


我望む、世界をも変える力。


闇よりも濃く光よりも眩く。


全てを飲み込む絶対なる夢幻。


「消えるのは・・・貴様だЭлбдЩ?жбЩ!」



―――――――!


剣示は叫ぶ、絶対なる滅びの力の”名”を。

光は闇を打ち消し、闇は光を包む。

全て相殺し、混ざり合い、混沌となる。


白き世界は・・・滅んでゆく・・・。


全ての時間を吹き飛ばし、事象を巻き戻し、修正し、世界は変っていく・・・。















朝梅雨に体を少し濡らした湿っぽい服が気持ち悪いが、清々しい空気とともに佐藤は目を覚ました。

「ぅ・・・ん?」

何故自分がこんなところに寝ているのかと一瞬意識が真っ白になるが、すぐに冷静に取り乱す。

「む、あれ?そうそう・・・イヴちゃんがいて・・・リペアさんがなんか戦ってて・・・僕はなんで・・・あれ。れれれ????」

辺りには壮絶な戦闘を繰り返したとも思えないほど平穏だった。

丘の上に建っているはずの館すらその姿を消し去っている。

「・・・む、夢遊病!?」

不に落ちない気持ちを引きずりつつも佐藤は時計を見るとそろそろ大学に向う時間だった。

剣示にこのことを言えば夢か事実かも分かるかもしれない。

そう思い佐藤は大学を目指した。



それからしばらく剣示にも会えなかった佐藤が知ったことは剣示の失踪届けが出たということ、イヴやリペアという人物など存在しないということ。


それから佐藤は精神科にも通うことになるが、記憶は鮮明に今でも残っているのだ。

楽しそうに笑う剣示や、イヴやリペア。

あれが夢などと到底信じることなど出来ずに時がどんどんと過ぎ去っていく。


遂に剣示は失踪したまま、死亡届が受理されることとなった・・・。


世界は剣示という人間を失った・・・。


それでも。


それでもこんなにも世界は本当の光に満ちている・・・。


全ての人に等しく与えられる希望という”名”の光に満ち溢れている・・・。



―END―

本当に長かったのか短かったのか分からないですが、今まで応援してくれた人達には本当に感謝してもしきれない思いでございます。
ここまで付き合ってくれた方々に深くお礼申し上げます。

本当にありがとう!

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