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第十一夢:真実

エッジ「あろぅは〜みなさーん♪遂に最終回手前です!ここまで何時もご覧になってくれた皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです!!」
イヴ「です」
エッジ「さて、次で最終回ですが、その次にエンディングを用意しています」
イヴ「数個用意したみたい」
エッジ「なので・・・ご覧になってくれた皆様が見たいエンディングを投稿しようと思います!」
イヴ「感想の欄でも掲示板でもメールでもいいから誰のエンディングが見たいか投稿していただけるとこれ幸いです」
エッジ「用意しているエンディングキャラは、『エッジ』『イヴ』『リペア』このヒロイン達の誰のエンディングが見たいでしょうか?それでは皆さん本編のほうをお楽しみください♪では〜また会いましょう」
イヴ・エッジ「しーゆー」

「リペア・・・」

「・・・はい」

小さな寝室で老人がベッドに横になっているリペアに話しかけた。

「しくじったそうだな」

「はい。そうです」

自分の失態の言い訳をすることなく簡潔に答える。

「もう、この王国も長くあるまいて・・・」

「・・・」

虚ろな表情で虚空を見つめる老人をリペアはそっと見る。

「世界を管理する絶対の知識アカシッククロニクレス。世界を管理する絶対の力フォース。どちらも潮時だったのかもしれん」

「・・・クロウ・・・様」

リペアが口にしてはならないと言われ続けた名を呟く。

「久しい名だ・・・お前には古来から伝説とされたアカシックレコードの管理天使リピアの名を使わせていたのだったな・・・ネクロノミコン」

「・・・マスター」

何百年ぶりだろうかその名で呼ばれたのは。

リペアは胸が締め付けられるかのようだった。

「我らが作ったこの世界の裏ももう終る。そうだろう?ネクロノミコン」

「・・・」

「もうそろそろ世界は”人間”の手に返すべきなのだろうて・・・私も長く生きすぎた」

老人、クロウは何時にない優しい顔を浮かべてリペアの頬を撫でた。

「お前の書に刻まれた禁忌の法が不老不死。そして相反するイーヴァルズグラァックスに刻まれた禁忌の法が・・・全てを消し去る白き滅び。我々が蒔いた種は我々が摘み取らねばならぬ」

「はい。マスター」

クロウは薄く笑い、自分の顔を撫でた。

瞬時に老人の顔は老人のものではなくなり、若々しい20代の青年の顔に変った。

「お前の禁忌を破れば奴の禁忌も破られる。そう知った上でやってしまったことなのだ。裁かれるべきは我ら、そうだろうて」

若々しい声が懐かしい響きをリペアの耳朶に伝えた。

「今まで”白き闇”を抑えられたのは奇跡にすぎん。そして、奇跡は二度も起こるほど安くは無かろう」

クロウが言葉を止めると同時に個室の扉が音も無く開いた。

「クロウ。お前は本気でやる気なのだな?」

「来たか、シェイド。この姿で会うのは久しいな」

「ふん、貴様の姿なぞ瑣末事だ。我らが築いてきたものもこれで終いか・・・不老不死を失えばもう全ては元には戻らぬぞ。クロウ」

シェイドの言葉にゆっくりと頷く。

「お前には聞かせていなかったな・・・シェイド。長い時を私と共に過ごしてきたお前に聞かせておきたいことがあったのだ」

シェイドは口を挟むことなく頷き、クロウの言葉を促す。

「昔話だ。遠い・・・遠い・・・昔の話だ。私はある魔法書を見つける。それはそれは素晴らしい力を持っていた・・・」


それは偶然としては少々オカシイ出来事だった。

ある日私はそれを見つけることになる。

小高い丘そこは私と私の恋人の憩いの場だった。

体の弱い彼女は時々臥せってしまい、私はそのたびに丘に生えている野花を摘んでくる。

その日も私は彼女の見舞いにと野花を摘みに丘へと赴いた。

そして丘へとたどり着いた私の前に金色の髪の少女が顕れた。

彼女はこう言う。

「待っていた」

と。

私は一瞬何のことか分からないが、その頃には在り得ない金色の髪を見た時点で神か仏かと思ったものだった。

そして私を待っていたと言う。

私は小躍りしたものだ。私は神に選ばれたのだと自惚れもした。

そして私は彼女、イーヴァルズグラァックスの主となった。

それからの日々はまるで夢の様だった。

力があれば何でも手に入る時代だ。

そして、イーヴァルズグラァックスは絶対無比な力だった。

私は叶わないものなどないと思った。

しかし、それは間違いだったとすぐに気付く時が来た。

私の愛しい人の命は最早風前の灯となっていたのだ。

私はイーヴァルズグラァックスに問うた。

「彼女を助ける方法を教えてくれ!そうだ!主として命令する」

「・・・それは、ないことはないわ・・・でもマスター・・・この方法は禁忌。使ってはならない禁忌の法なの」

そう言うイーヴァルズグラァックスを卑怯にも主として命令した。

「いいから!主として命令する。禁忌の法を使え!」

そして、ネクロノミコンが目覚めた。

それと同時にこの世界に”白き闇”、”名無し”が生まれたのだ。

私はイーヴァルズグラックスの力を使い、ネクロノミコンを手に入れる。

そしてネクロノミコンの主となった。

そして彼女を不老不死へと変貌させ、私もそれに習いそうなった。

だが、不幸というか当然の報いだろうか、彼女は”白き闇”に囚われることになった。

”白き闇”は私に言った。彼女を助けて欲しくば我の真の名をよこせと。

真の名とはイーヴァルズグラァックスに刻まれた解き放ってはならない滅びの章にあると奴はいった。

私はイーヴァルズグラァックスを謀り、魔法書の姿に戻した上でその滅びの章を破った。

だが、彼女は心を病んでいた。

もう人には戻れなかったのだ。

私は・・・それでも構わなかった。

断片を奴に引き渡す時、イーヴァルズグラックスは顕れた。

私のことを信じていたというその言葉に私は胸がつぶれる思いだった。

しかし、もう後には引けないところまで来てしまっていた。

強引にも私は奴への取引に応じようとするが、イーヴァルズグラァックスはそれを自らの最大の禁忌まで犯してやめさせた。

主を殺すことだ。

それをしてしまった彼女は数百年は魔法書の姿のまま開かれることもなかった。

私は先も言ったとおり、不老不死の体だ。

数週間後には元通り死体から健康体へと変貌を遂げていた。

だが、同じ不老不死の体のはずの愛しい人は何処にもいなくなっていた。

私は数十年という年月を掛けて彼女を探した。

だが、どうやっても彼女を見つけることは出来なかった。

永遠に生きる体。

最早心は磨耗して何も感じられなくなっていた。

そして、今にも死に掛けているシェイド。君と出会った。

君は私に血を吐きながらも笑ってこう言った。

「私は、こんなところで死ぬ、人間ではない」

「だが、お前は死ぬだろう」

「私は!こ、の腐りきったせ、かいを調律するために、生まれた、のだ!このような死に様、ありえない!」

私はその言葉に強い煌きを感じた。

そう、これが偶然とは思えなかった。

私以外では君を死から救うことなど到底叶わない。そう天文学的な確率で私の目の前で死を迎えようとしている君をみて私は決心した。

それがこの2つの組織の始まりだった。


「そう、私は本当の所、どうでもよかったのだよ。君の夢に乗ったに過ぎない・・・私の心は当の昔に死んでいたのかもしれん」

クロウの言葉にシェイドはフンと鼻を鳴らして答える。

「別にお前の思惑などどうでもよいことだ。私は私の理想を追い求めてここまで来た。お前を利用したに過ぎん」

「そうだな。今更あれこれ語り合う必要はないだろうな」

クロウは薄く笑う。それにつられたようにシェイドも口元を歪める。

「”名無し”の目的を知っているんだな?クロウ」

「ああ、至極簡単なものだよ。奴の目的は”名”だよ」

訝しげにクロウを見返しながら訊きかえした。

「”名”だと?そんなものに一体何の意味がある?」

「”名”には意味がある。存在を固定するものであり、自らを自らと認識する言わば力ある言葉と何の変りもない。今の奴にはそれがないのだ、存在はきわめて希薄、自らを自らと認識できない苦痛。そして何より自分の力をも量りかねている、それによって力を発揮できずにいる状態なのだ」

「そう、いうこと・・・か」

それで全てを理解したといった風にシェイドは誰に頷くわけでもなく首を深く落とした。

「私はこれから奴と対峙する。奴を滅ぼし、それによってネクロノミコンは封じられ、我々に掛けられた不老不死も解け、自然の摂理にしたがい土に還るのだ」

「ふ・・・最後の時私に似合うのは戦いだろうな」

「すまないな・・・シェイド、ネクロノミコン」

自嘲するかのように薄っすらと微笑みを浮かべ、クロウは分厚いフード付きのコートを脱ぎ捨て白いレザーコートを羽織った。

「行きましょう、マスター。全て終焉へと向って時を刻んでいます」

「このメンバーで戦に赴くのは久方ぶりだな」


「ああ。全て、この夜に夢や幻のように終る」






「こいつのナイフが俺の皮膚を裂く間に」


「俺はお前の」


「心臓を抉る!!」


剣示の足が地を蹴る。音が消え、世界はまるでスローモーションのようだ。

剣示は今音速の世界にいる。

”名無し”が微動だにしないうちに剣示はゆっくりと手刀を心臓に突き入れる。

まるで豆腐に指を差し入れるかのように何の抵抗もないまま埋まっていく。

剣示が動きを止めた瞬間凄まじい衝撃が辺りを襲い、突き入れた手に生暖かい感触と服や顔に吹き出る血飛沫を感じた。

「ぁ・・・け、んじ・・さ」

耳元で懐かしいとも思える愛しい声が耳朶を擽る。


何故?


確かに俺ハ・・・


奴を殺すはずで・・・奴の心臓を抉ったはずで・・・


何だ?これ・・・


何・・・?


貫いた手を動かせないまま。剣示はエッジを抱えるように腰を抜かしてしまう。

「い、いの・・・こ、れで・・・どう、せ、わた、しは・・・しん、でいた、んだ、から」

言葉が出ない。

喉の奥がひりつくように熱く乾く。


―――――――――・・・


心が壊れる音がした・・・。






ああ。


もう。


何もかも。


どうでもいい。


剣示は瞳に焦点を失い、ゆっくりと意識を手放した。

”名無し”は狂喜して大声で笑い出し、早足で剣示に近づく。

剣示の頭に手を翳し、”名無し”の体は服を残して一瞬に灰へと変貌した。

「ああ、最高の気分だ」

剣示は抱きかかえたエッジをまるでゴミでも扱う如く無造作にどかした。

”名無し”の残した黒いコートを羽織り、口元を歪めて笑う。

「やっとだ。やっとここまで来た。私は鍵を手に入れた」

「そう!やっと凛にもすごい力を与えてくれるのね!?」

喜々として剣示へと近づいてきた凛の心臓を無表情に剣示は貫いた。

「ぇ・・・・ごぼっ」

「ああ、君達もよくやってくれた。よくぞここまで狂気を飼いならしてくれた。そう、私が真の名を手に入れる糧として、ありがたく頂戴しよう」

「裏切ったのか!?俺達を!!」

剣示に向って炸羅が激昂する。その言葉に失笑したかのように剣示は嘲う。

「育てた家畜を喰らうのは裏切りなのかどうか知らないが、裏切るというのは仲間と互いに思うときに発生する言葉だと思うのだがね」

「よくも・・・ぬけぬけとそんな言葉が吐けたものだな!」

飛び掛った炸羅のナイフを易々と奪い右腕左腕両足を切断する。

バラバラに刻まれ血の雨が降る中、慈愛にも似た笑顔でご苦労と剣示は言った。

その一部始終を見ていたサッドは表情さえ変えず、剣示を見据えていた。

「覚悟しているのかは知らないが、サッド。お前にはまだ利用価値というものがある、お前を喰らうのはことが済んだ後でも構わん。だからこそ、これだけの人間を集めたのだからな」

よく響き渡る剣示の声に狂った宴会を繰り広げていた人々がざわつき始める。

「おい!まさか・・・俺達殺すつもりか!」

「え・・・何?どうなってるの?」

「あいつ仲間殺したぞ・・・おいどうなってる!?」

剣示は口元を歪めた。

「もういい加減、ブヒブヒ鳴く家畜にはウンザリしていたところだよ。ここらで全て食してやろう」

悲鳴と怒号、血飛沫と涙。響き、舞い散り、人は人の形を失っていく。

「や、やめてくれ、剣示くん!ぼ。僕は・・・僕は友達だろ友達ね?」

「・・・お前は喰らう価値すらないな・・・狂気が少ない上に気味が悪い」

剣示は佐藤を一瞬だけ視界にいれるが、興味を失ったようにほかの人物を次々と喰らっていく。

ざわついた雰囲気が消え去り、館に静けさと佐藤のすすり泣く声だけが残った。

満足げに剣示は頷くと、屋敷の扉が音もなく開いていく。

「やっと来たか・・・イーヴァルズグラァックス!!待っていたぞ待っていた!!!」

「・・・ま、すた・・・どうして・・・」

主に呼ばれたのを気付き、瞬間的に学園を抜け出し、この場所へと急いできたイヴの目に映ったのは主の姿をした悪魔だった。

血飛沫に真っ赤に染まり禍々しい顔でイヴを見つめるその瞳はあの優しい主のものではない。

「さあ、私の名をよこせ!」

「!?」

主の姿をしたモノが言う。イヴは憎しみと共に顔を歪める。

「白き・・・闇・・・マスターに何をした!!!!!」

「くっくっく。人間の心は脆いたやすく心を壊せた。私はキッカケを与えたに過ぎない。心を破壊したのは彼自身だ」

「ゆる・・・さない」

イヴの体を禍々しいゲヘナ(地獄)の力が包み込む。

「くっくっく。そう、そうだ。憤り、怒り、蔑み、嫉妬、憎しみ、恐怖、狂気。それこそ我が糧。心地良い感情だ」

衝動にまかせてイヴは地を蹴る。

収束した力を剣示に向って放とうとした瞬間、剣示は微笑んで愛しい主の声で言う。自らの名を優しく言う。

「イヴ・・・」

寸前で力を止めたイヴに剣示は笑って顔面に拳を打ち込む。

強烈な力をその身に受けイヴは強かに地面に身体を打ちつける。

「ぐっ・・・ぁ・・・」

「はっはっは!いいぞ、いい気味だな。イーヴァルズグラックス!」

蹲ったイヴに剣示は蹴りを放ち続けていた。

「ぁぅ!ぅ!ぐっ!や、め・・てますた・・」

「くっくっく!はっはっはっはっは!!!」


「それくらいにしてもらおうか。”白き闇”よ」


何時の間にか開いた扉から差し込むオレンジの光を背に受けた人影が口を開く。

「ほう、貴様か。クロウ・・・」

「く、ろ・・・う!?貴方・・・生きて・・・」

まるで必然の事象を見るかのような剣示に対して驚愕に瞳を見開くイヴ。

「覚えていたのね、イーヴァルズグラックス」

「・・・り、ぺあ・・・」

「そう。貴方が私を感じられなかった理由は断片を失ったから、私はネクロノミコン貴方の相反する片割れ」

「!?ネクロ・・・ノミコン・・・」

真実が明らかになっていく、そのなかでイヴは戸惑いながらも理解した。

「くっく、そうか。道理でその女からは同属の匂いがすると思っていたのだ。貴様だったかネクロノミコン!」

「同属?貴方に同属扱いされたくないわね。そろそろ私達と共に滅びなさい」

リペアの言葉に剣示はニヤリと笑う。

「そうか、クロウ。貴様は全てを白紙に戻す積りか、そう簡単に戻ると思っているのか?」


「戻るさ」


いきなり剣示の背後から声が響いた。

その瞬間心臓に灼熱の激痛が走る。突き出ているその剣はシェイドの愛剣レーヴァンテイン。

「貴様か。シェイド・・・この程度、私を滅ぼすに値する力と思っているところが哀れだよ」

「抜かせ!我が魔剣レーヴァンテインよ!猛れ!その力開放せよ!」

レーヴァテインから激しい光が漏れ出す。魔剣が持つ最強最悪の自己破壊と共に起こる消滅の力。最早逃れるすべさえもない。

シェイドは素早くその場を離れ、空間ごと喰らって消滅していく魔剣の姿を眺めた。

「・・・私にとって生涯で最高の相棒だった・・・安らかに眠れ・・・レーヴァテイン」

やがて光が昇華されていく。そして残った人影にシェイドは驚愕する。

「哀れだな。本当に貴様は私を滅ぼせると?」

「・・・・くっ!!!!滅びろ”名無し”!!!!!!DEL・・CLO・・・ZED・・・フェンリル!!」

幾万の氷の剣が剣示に向けて放たれる。

それを避けることなく剣示はせせら笑った。

「BELZ・・・CHOROS・・・ILL・・・ケルベロス!!」

氷の剣は剣示に届くことなく、業火によって全て融け去っていく。

「地獄の番犬か。面白い術を使うものだ。それはイーヴァルズグラックスの力か・・・」

「ふ、その通りだ。クロウ・・・」

クロウは剣示に向って一歩踏み出し、一振りの刀を構えた。

「ゆくぞ、”白き闇”我が力、神刀海神わだつみとくと見るがいい」

「くっくっく、悪いがお前の相手は用意してある」

剣示はニヤリと笑い、指を鳴らした。

剣示の隣に現れた人物にクロウは目を見開いた。

「・・・九朗・・・」

「サッド・・・お前・・・生きて・・・」

剣示は禍々しい笑みを浮かべ、サッドに言い放つ。

「クロウを殺せ」

「はい・・・」

何の迷いもない瞳でサッドは頷く。

クロウは舌打ちをした。

そして、リペアに向って命令を下す。

「ネクロノミコン!シェイドと共に奴を討て!私は彼女の相手をしなければならないようだ」

「・・・マスター・・・貴方・・・」

何か言いたげなリペアに向って優しくクロウは微笑み、頷いた。

「分かりました・・・マスター!」

リペアは地を蹴る、力強く地面が音を立てて窪み、リペアの身体を慣性の法則に従い風よりも早く運ぶ。

リペアは剣示の胸目掛け、手拳を放ち、力を解放する。

「イグニート!Run!」

屋敷の裏側を破壊し、吹き飛ぶ剣示を見、リペアはシェイドを一瞬見てから小さく頷く。

「まさかお前と組むことになるとはな!」

シェイドはリペアと剣示を追う形で走り出した。


「ずっと・・・お前を探していた・・・サッド」

「そう・・・でも私は永遠など欲しくは無かった・・・」

聴こえるか聴こえないか微妙な囁きでサッドは言う。

「アカシッククロニクレスにアクセスして擬似武器を使う積りはありません・・・私も本当の武器を使いませう」

そういってサッドは腰元に備えた二振りの小太刀を構えた。

「瞬華と連華か・・・お前の剣舞は久方ぶりだな」

「貴方と手合わせするのは数百年ぶりですもの」

空気が振動する。お互いが動くことなく間合いを取ったまま微動だにしない。

風が屋敷の中に木の葉を運ぶ。

そしてその木の葉が地面に達する瞬間、二人は動いた。

クロウは海神を神速の速さで抜きざまにサッドの胴を狙う。

サッドは後手にその攻撃を先読みし、身体をまるで舞いでも踊るかのように回転し、避けつつ右の小太刀瞬華でクロウの喉元を狙う。

クロウはサッドの攻撃を地を蹴って避け、空中で一回転し、地面に伏せる形で足をつくと同時に再度海神を振るう。

地面をなぎ払うような剣閃をサッドはバックステップで避け、連華を投げつける。

素早くクロウは畳んだ足を伸ばす力を使い、後ろに飛ぶ。それを見ることなくクロウが地を蹴った瞬間、サッドは瞬華をその軌道に乗せるかのように投げつけ、駆け出し、地に刺さっている連華を抜く。

クロウを狙う瞬華を海神で打ち返す形で払った。

宙を舞う瞬華はまるで主の元に帰るかのようにサッドの手に収まる。

「流石だな・・・サッド」

「貴方も・・・九朗」

死闘を呆然と見ていた佐藤は蹲り、小さく震えているイヴを見つけた。

佐藤は駆け寄り、イヴを抱き起こす。

「い・・・イヴちゃん?大丈夫かい?」

「ぅ・・・お、ね・・がい・・・ま、すたーの所に連れて行って・・・」

まるで剣示が受ける痛覚をイヴが受けているような苦痛を体中に受けてイヴは立つことさえ不可能な状況だった。

苦痛に満ちた顔で尚、佐藤に頼みごとをする。

佐藤は何も言わずイヴを背負った。

恐怖に竦む足腰を奮い立たせて駆け出した。


夕日が沈み、藍色に染まっていく空。


夜がもうそこに来ていた。


そして・・・今夜全てが終焉に向って進んでいた・・・。


剣示「遂にここまで来てしまったなぁ」
リペア「筆不精な作者には在り得ないくらいがんばったかもね」
剣示「そうだなぁ・・・ストーリーめちゃくちゃかもしれんのに皆みてくれてどうもありがとう!」
リペア「ありがとうございます!」
剣示「最終回に向けて最後までご覧くださいませませ」
リペア「それじゃあ皆さんまた会いましょうねー!」

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