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第九夢:邂逅

エッジ「こんにちわ〜みなさん!今日もはりきっていきますよ〜!エッジとイヴちゃんのナゼナニ魔法専門用語解説コーナーーー!」
イヴ「始まったね今日も」
エッジ「うんうん!さって今日の一発目はっ!『魔法書物』これです!えっと魔法書物というのは長い年月をかけて、それ自体に力を宿す傾向があるんです。それによって書物自体が擬態し人の形をとったり、自ら主を選んだりととっても不思議な行動をとるんですよ」
イヴ「かくゆう私もその一例です」
エッジ「そうそう。イヴちゃんを見てれば分かりますよね?そういうことなのです」
イヴ「ねぇエッジさん、聞いた話だとそろそろ本編復活するってほんと?」
エッジ「イヴちゃん!?そういう内情を話すクセやめなさい!!そ、そういうことだから!みなさん!」
イヴ・エッジ「しーゆー」

ぽつぽつと小雨が降る中、クロノスとリペアは互いに背を向けながら会話を交わしている。

「全く因果なものだな。私という存在はお前を力を縛るためだけにある。何度私というものが生まれ何度死んでいったのか・・・見当もつかんよ」

「・・・累計を聞きたいですか・・・?」

「ふ、よしてくれ。自分が何度死んだかなどと聞きたがるものなどいやしないだろう」

そう言いながら皮肉ぽく笑うと、リペアの方を振り向いた。

「全く、なんていう顔をしてるんだ?情でも移ったか?だから言ったんだお前には向かない任務だと」

「うるさいですねぇ・・・任務はちゃんとこなしますよ」

「当たり前だ。そうでなくては私が死ぬ意味がない!!」

語尾を強調したようにクロノスはリペアを睨みつけた。

「・・・私の枷として生まれた貴方にはそれだけしかないのでしょうね」

「自分の運命を嘆いたりはしないがな・・・只、私は戦って死ぬ。それが望み、それこそが私が生きたという証だ」

強くなっていく雨の中、クロノスはリペアに顔を向けていながらも強い眼差しでどこか別の何かを見据えていた。

「強いんですね・・・貴方は」

「・・・皮肉なのか、それは」

リペアは少し自嘲ぎみに笑う。

「いえ、心が強いということです」

「・・・ふん」

そんなリペアを見てクロノスは薄く笑い鼻を鳴らした。







土砂降りの雨の中、只お互い見つめあうだけ。

微笑み、イヴを見つめているリペアに対して、心底辛そうに悲しい顔をしリペアを見つめているイヴ。イヴの傍にいる剣示は言葉もなく虚空を見つめていた。

火花を散らす女と女の壮絶な戦い。などと茶々を入れられないほどシリアスな雰囲気に寒気が走る。

どちらかが・・・本当に死んでしまう?何故こんなことになってしまったんだろうか?

「イーヴァルズグラァックス、貴方から仕掛けてくるのは無理でしょうから・・・私から仕掛けてあげます。降りかかる火の粉を払うのであれば、心の痛みも少しは和らぐでしょう?」

「リペア・・・やめ・・・て・・・」

イヴの声が掠れて切なげに響く。

「本気なのかよ・・・リペア!?考えなおせ!俺達は”家族”だろう!?」

「いいえ、他人ですよ。剣示さん、今回貴方は関係ありません・・・貴方の抹殺は最早撤回された任務ですので、少し動きを封じさせていただきます」

剣示の言葉を冷酷に否定し、リペアは剣示に向って手を翳した。

「影縫い。Run」

リペアの言葉が放たれると、剣示は指一本すら動かせない石像にでもなったような気分になった。感覚すら無い、雨に打たれながらも冷たいなどとも感じられない。

完全なる麻痺。

「・・・っ」

言葉すら失った剣示は唯一知覚できる視界だけが頼りになった。

睨むような視線でリペアを見つめ、この状態を解くように訴える。

「ええ。全てが終ったら貴方の呪縛を解きましょう」

剣示が何を言いたいかなどお見通しといった風にリペアは微笑んだ。

「リペア・・・お願い。こんなことやめよう?」

イヴの悲痛な言葉が雨音に掻き消されていく。リペアは相変わらず笑顔を絶やさずに両手を広げた。

「御出でなさい。我が愛刀、妖刀鬼神。神刀白夜」

二振りの刀を両手に構え、リペアは表情を少しだけ硬くした。

「リ、ペア・・・」

「いい加減、この状況を理解なさい。イーヴァルズグラァックス・・・いきます!」

紅く輝く剣閃鬼神の太刀がイヴの首を狙う。白く輝く剣閃白夜の太刀がイヴの胴を狙う。

人間ではとても生み出すことの出来ない速度で振りぬかれる剣閃。

まさしく神速。

それすらもイヴの瞳は捉える。瞬時にバックステップで剣閃を避ける。

「流石、イーヴァルズグラァックスですね。そろそろテンポアップしましょうか・・・クラルリアウ、Run!」

豪雨の中リペアの姿が霞み、二重三重とその数を増やしていく。

イヴの瞳に5人のリペアが映し出されている。

「どれが本物かと見極めようとしても無駄ですよ、イヴ。幻影などという陳腐な真似は致しません」

5人のリペアが同時に声を放つ。多重音声のように響く声にイヴが驚愕する。

「自己増殖・・・本気なんだね」

「今更言ってるんですか?全く甘いにもほどがありますね、貴方がどうしてそんなに変ってしまったのか・・・剣示さんが主になってから本当に子供になってしまいましたね」

リペアの瞳が冷たくイヴを見つめた。5人のリペアが刀を構え、イヴに向って地を蹴った。

「くっ、ロドムの煉獄」

イヴの周りを轟炎が包みリペアに対しての壁を作る。

それを構う素振りも見せずリペアはその轟炎の中に飛び込む。

「この程度で、私を止められると思っていたなら、愚の骨頂ですよ?」

辺りを明々と照らす轟炎の中心に抜けたリペアは刀を振り回す。

イヴは紙一重で避けながらも1つ2つと傷を負っていく。

「ぁぅっ」

イヴの小さな悲鳴が轟々と燃え続ける炎にも消されず、剣示の耳朶を擽った。

(やめろぉ・・・リペアっ・・・やめろぉぉぉぉ)

「っっ」

声を失った剣示は必死に身体を動かそうとする。

だが、それでも指1つ動かすことは出来なかった。

イヴの顕した炎が消えうせ、辺りから光が失われ闇に染まっていく。

ぼろぼろに傷を受けたイヴは何とか力を振り絞り、震えながらも立っている。

「イーヴァルズグラァックス、本気にならないと一瞬でケリがついてしまいますよ?私の力は貴方の本来の力と互角とも言われているのですから」

「ぁ・・・はぁ・・・ぅっ・・・ぁ・・・」

声も切れ切れにイヴがリペアを見つめる瞳は敵を見るものでは無く、家族を見る瞳そのもので切なそうにリペアを見据えている。

「・・・失望です、イーヴァルズグラァックス。終わりにしましょう。最大の技で貴方を葬りましょう」

イヴの周りを囲んだリペア達がそれぞれ刀をイヴの向け詠唱を始める。

「死とは、永遠ではない。DELOILL」

「生とは、不滅ではない。ROTLIBL」

「命とは、荘厳ではない。SILZBAL」

「魂とは、鮮明ではない。ELLDAGO」


闇や、光が交錯し、リペアが握る刀が紅く光、自ら意思を持つかのようにリペアの手から離れる。

10の刀がリペアから離れ、イヴを切り刻む。

血飛沫が舞い散る中、リペアは手を翳し、回りをたゆたう闇と光を収束し、イヴに放つ。


「インペリアル・フォアローブル!」


5筋の光と闇を纏った衝撃波がイヴに襲い掛かり、凄まじい爆音を轟かせイヴの居た場所を抉った。


どうして・・・?


どうして・・・?


どうして、私はこんな思いをしなければならないの?


も、う、わ、た、し、は、―――――!!!


舞い上がる煙を雨が掻き消してゆき、イヴの姿が露わになる。

ボロボロの姿が痛々しいと見えるはずなのに、剣示の瞳にはそれは禍々しく映っていた。

紅く燃える瞳が憎悪を湛え。

薄く歪めた口元が嘲りを含む。


「闇。ゲヘナの領域。私は望むその腹を覗くことを」

イヴの詠唱とともに辺り一帯には禍々しい瘴気がたちこめた。


「やっと、本気を出す気になりましたか。先の攻撃で仕留める積りだったのですが、矢張り貴方を消滅するには及びませんでしたか」


「ディアボロスのカイナ」

イヴの声とともにリペアを襲う巨大な腕が具現化し、叩き潰そうと振り下ろされる。

リペアが咄嗟に避けるも数人のリペアはその腕に飲み込まれ地の底へと引きずられていく。

「カリュストアルの剛剣」

畳み掛けるかのように次々にイヴは詠唱を行う。

次に顕れたのは巨大なビルほどもある剣だったリペアに向けられた憎悪がそれであるかのように剣は意思をもちリペアを襲う。

「デスの大鎌」

死神の鎌が唸りをあげながらリペアの一人の首を断ち切る。

血飛沫が上がり、頭部を失った体がどさりと地面倒れる。

リペアが攻撃を避ける間にもイヴは次々と様々な闇を生み出す。

「イリュストアの宣言」

視界を奪う更なる闇がもうもうと辺りを包みだす。

「くっ!流石です!イーヴァルズグラァックス!!ですが!インファーナル・ライト!Run!」

リペアはイヴの攻撃のラッシュを受けながらも紙一重で躱しながら詠唱を行い力を放つ。

イリュストアの宣言の闇を眩いばかりの光が相殺する。

すでに一人となってしまったリペアが襲い来る鎌と巨大な剣を迎え撃つ。

「妖刀鬼神その魔をもって向かい来る敵を喰らえ!神刀白夜その光をもって向かい来る敵を焼き払え!」

妖刀鬼神を巨大な剣に突き刺し、神刀白夜を鎌に投げつける。

鬼神が巨大な剣を侵食してゆき、端からボロボロと崩れ去っていた。

白夜は凄まじい光を放ち、鎌を包み込み消滅していく。

「私から双刀を奪い去るとは・・・しかし、まだこれからですよ」

「・・・」

イヴの瞳には感情というものは無く、ただ虚無を見つめるごとく虚空を見つめたまま動くことは無い。

「私を殺せないのなら、貴方に未来などありません」

その言葉に反応したかのようにイヴはゆっくりと視点をリペアにあわせる。

「・・・」

ゆっくりと本当にゆっくりと手をリペアに翳し、イヴは混沌という最も禍々しいものを生み出そうと詠唱を始めた。

「死より灰暗い闇に渦巻くモノ、私は望む汝の力」

「イイヴァルズグラァアアアクッスウウウウ!!!!」

悲鳴にも似た叫びを上げながらリペアはイヴに向って地を蹴る。

「全てを飲み込む闇よりも穢れた汝よ、姿を顕すことを許可する」

イヴに至近距離でリペアは手を翳し力を解き放つ。それに呼応するかのようにイヴもリペアに向けて力を放った。


「セフィラス・コード!Run!」


「カオス・ブラム」


激しく交錯する光や闇、言葉では表すことすらできない力が鬩ぎあい、軋轢の中激しい騒音を響かせながら収束し、膨張し、辺りを飲み込むほどの力の奔流が起こっていた。


「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


急に自由を取り戻した剣示に様々な感情が奔流し、気持ち悪いほどの怒りや悲しみの中、失ったはずの記憶が急激に鮮やかに蘇っていく。

「・・・な、なんだ、よ。これ・・・ぐっ・・・苦しい・・・うげぇ・・・うっ・・・うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


『剣示さん?私のこと愛してますか?』


誰?


決まっている。エッジじゃないか。


ああ、偽りの世界だと分かった今でも好きだよ。


『剣示さん私は・・・もう死んでいるんです』


分かってる分かってるから。


『忘れてください』


・・・。



剣示は腰が抜けたように地にへたりこんだ。

眼前で行われていた激戦が薄っすらと見えてくる。

イヴもリペアも力尽きたかのように倒れこんでいる。

「・・・・っ」

それでもイヴがゆっくりと立ち上がり、リペアに向けて手を翳した。

その光景をまるで他人事、映画でも見るかのように剣示は眺めている。

言葉は無い。

感情さえも今は何も感じなかった。

イヴの手に力が収束していく。

その力を放つ寸前、イヴの身体が宙を舞い、剣示の近くまで吹き飛ばされた。

倒れたリペアの傍に現れたローブを着込んだ人影が低いトーンで言う。

「今、我らが司書を失うわけにはいかぬ。この勝負は預けておく。よいか、イーヴァルズグラァックス、貴様が闇に染まるというのであれば、我らアカシッククロニクレスは全力をもって貴様を消す」

言い終わるとともにリペアを肩に担ぎ、その姿を消し去った。

「・・・ま、すた・・・」

いつものイヴに戻ったらしく、剣示の傍にゆっくりと近づいて寄り添うように倒れこむ。

「私は・・・」

何かを言おうとし、イヴはその瞳を閉じた。


その光景を見つめていた人影が薄く笑う。


剣示はそれに気付くことなく、それから暫らくして剣示は重い身体を引きずるようにイヴを背負い、家路へとついた。


あれほど降り続いた雨は帰路に着く前に上がっていた。

闇を濃くしていた雨雲が明けて空には禍々しいほどの紅い月が映えていた。


何かがこれから起こるかと言いたいかのごとく燃えるような月が煌々と辺りを照らし出していた・・・。

剣示「よーリペア」
リペア「あー剣示さん」
剣示「今回次回予告なしだって」
リペア「そーなんですかー」
剣示「で、何するかっつうと、今後の展開をちょこっと言うみたいなことするらしい」
リペア「あーカンペがありますねー」
剣示「まぁそういうことだ。んー何と!俺がちょっとヤバイ状況になるんだこれが!」
リペア「私なんてもう、悪役みたいじゃないですか?これじゃ」
剣示「まぁお前裏切りもんだもんな」
リペア「う・・・し、仕方ないじゃないですか」
剣示「そんでほれ、なんとっエッジが出てくるぜ!死んだのにね」
リペア「シツコイ人ですねぇ〜」
剣示「まぁいいっこなしねそう言うのは」
リペア「んーそろそろ終りましょうかねー」
剣示「そだのぅー。で?イヴ達みたいなのやるわけ?」
リペア「いっときますけども、最初にあれ言ったのわたしですからね!?」
剣示「しーゆー?」
リペア「そうですよ!じゃあまぁ本家本元のいきます!じゃあみなさーん!」
剣示・リペア「しーゆー!」

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