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flat事件簿①|突然消えた友人
わたしがニュージーランドにいた頃、オーナーも一緒に住んでいるflatで暮らしていた。
他人と住むことの大変さは、ある程度覚悟していた。けれど、その中でも、今振り返っても忘れられない出来事がある。
わたしが入居したとき、すでに二人のフラットメイトがいた。コロンビア人の女の子と、イギリス人の女の子。そこそこ仲もよく、特別な問題もなく、みんなでそれなりに楽しく暮らしていた。イギリス人の彼女は、「あと一か月でここを出る予定だ」と話していた。とてもアクティブな子で、週末は山へ泊りがけで出かけていることも多かった。
だから、最初は気に留めなかった。
ある週末、土曜日から出かける予定だと言っていた彼女が、帰ってこなかった。金曜日から出かけることもあったので、予定を変更したのかな、くらいに思っていた。
でも、日曜日になっても、彼女は帰ってこなかった。
おかしい。
オーナーから、何の説明もない。誰も何も言わない。何が起こっているのか、わからなかった。
ふと気づくと、彼女の部屋の扉が開いていた。
中をのぞくと、そこには何もなかった。荷物も、私物も、生活の痕跡も。
彼女がそこに暮らしていたことを示すものは、本当に何一つ残っていなかった。
その時のわたしは、まだ何も知らなかった。




