アルとエマ先生
え?何で2人がここにいるの?
でもそれどころじゃない。
「アル先生、ハイポーションを作らないと、ミリーお姉様が!!」
「落ち着け、エマ。ハイポーションなら俺が持っている」とお兄様が胸ポケットからハイポーションを胸ポケットから出した。
「それって」
「エマが学科分け試験の時に作ったハイポーションだ。勿体無くて使えなくて、お守り代わりに持ち歩いていたんだ」
「エバン、この傷は外からポーションをかけてもダメだ。内臓が傷ついているなら飲ませないと」とアル先生は言うが、ミリーお姉様は意識を失っている様だ。
お兄様は躊躇なくポーションを自分の口に含み、ミリーお姉様に口移しで飲ませた。
「死ぬなよミリー、起きやがれ」
一瞬ミリーお姉様の体が光り、傷が塞がった。
「やっぱり、エマのポーションは精度が高いな」とアル先生が感心した様に言う。
ミリーお姉様の目が開いて。。。
「ぎゃーー何であんたが私に!!」とまだ口をつけたままだったお兄様をミリーお姉様は思いっきり突き飛ばした。
「いってえ、命の恩人に向かってそれはないだろう」
「突き飛ばす体力も出るとは、素晴らしいポーションだ」とアル先生が1人でぶつぶつ言っている。
「ミリーお姉様!!!」
私はお兄様を押し除けて、ミリーお姉様に抱きつく。
「良かった。お姉様が無事で」
「お嬢様は怪我はないですか?痛いところは?」
アル先生は私に近づいてきて、
「これだけの怪我だ、傷は治っても安静にしなくてはいけない。ミリーを早くここから連れ出そう」と私の手を取り、エバンお兄様の方を向く。
「エバン、俺ではミリーは運べない。頼めるか?」
「ああ、しょうがないな。ミリー、暴れるなよ」
「え?え?私歩ける!!」
「大人しくしろって言ったろ。またポーションを口移しで飲ませられたいのか?」
ミリーお姉様は顔を真っ赤にしながら大人しくお兄様に運ばれている。
アル先生は後ろから2人を見ながら。
「あいつら素直じゃないからな。ミリーはずっとエバンの事が好きだったが、エバンがエマの事を構いすぎるから、エマに嫉妬したくないって領地に逃げるし、エバンもミリーの事好きだったのに、シスコンって言われて意地になってたからな」
え?まさかの両思い!
「そう言えば、ここにいた外国人達は?」
「そんなのエバンが一瞬で叩きのめしたよ、ミリーに怪我させたのを先に知ってたら、あいつらの命はなかったな」
部屋を出ると床に山田塾長そっくりさんと2-3人の男倒れてた。
アル先生は手早く全員を拘束して、あとは騎士団に任せようと私達は外へ出た。
外には馬が2匹いた。お兄様はミリーお姉様を抱えながら馬に乗り「先に行っているぞ」と言ってすごい勢いで馬を走らせて行った。
「あいつ、よっぽどミリーの事が心配なんだな。やっとシスコン卒業か?」
先にアル先生が馬に乗り、私を引き上げてアル先生の前に座らせてくれた。
そして馬を進める前に後ろからギュッと抱きしめられた。
「バングルを奪われなくて良かった。エマに何かがあったらどうしようかと思った」
「このバングルは私の位置を示してたんですか?」
「良くわかったな。俺の持っているバングルと対になっていて、エマのいる方向にある石が光る様になっていんだ」
そう言って、金に緑の石がついたバングルを見せてくれた。
「エバンお兄様の色ですね。。。。」
「違う!お前の色だ!」
「わかってますよ。揶揄っただけです、ところでなんであんなに早く私たちが誘拐されたのがわかったんですか?」
「エバンがお前に会いたくて、また騎士団を置いてきぼりにして早めにまた帰って来て、途中でケーキを買いにあの店に寄ったんだ。あいつ隠れ甘党だから、遠征後に必ずあの店に寄るんだよ。その時にエマが誘拐されたって店員から事情を聞いて、すぐに俺の所に来たんだよ。あいつはエマのバングルの機能について知っていたから。おそらく伯爵から聞いたんだろうな」
「お父様は知っていたんですか?」
「舞踏会の日に気がついてたよ。握手した時に指の骨折られるかと思ったぞ」
まあ一歩間違えばストーカーだもんね。
「私は馬車を待っている間、店員さんに待合室に案内されたんですが、あの後どうなったのか記憶になくて」
「おそらくその店員がグルだったんだろうな。他の店員がぐったりしたお前を馬車に詰め込んだのを見ていたんだ。ミリーも恐らく馬車の中にいたんだろうな」
私達は伯爵家に向かって、馬を進める。
「お兄様がハイポーションを持っていて本当に良かったです」
「実は俺も持っていたんだが、エバンの気迫に負けて出す暇もなかったよ」
「ついでに言えば、ハイポーションって傷口にかける物ですよね。飲んで大丈夫なんですか?」
「ああ、大丈夫だ。まああの場合は傷口にかけても同じだったがな。エバンは相変わらず騙されやすくて面白いな」
だからお兄様はアル先生の事が苦手なのね。
「エマは怪我してないか?俺がポーション飲ませてやろうか?」
「結構です!」
アル先生はくすくす笑っている。学科分けテストの日にはあんなに無愛想だったのに。
「アル先生はなんかご機嫌ですね」
「やっとエマがアル兄様って呼んでくれたからな。あんなに懐いてたのに、全然会いにこないし、会った時は忘れてるし」
アル先生が10年以上不機嫌だったのって、私のせいなのかしらね?まさかね?
「あとはエバンの妨害がなくなりそうだから」と私の手に自分の手を重ねた。
私はアル先生の腕にあるバングルと私の上にあるバングルを見た。
「これって、お互いの色を使っていて、結婚の証のバングルみたいですよね」
この国では結婚指輪の代わりにお互いの色で作ったバングルを送り合う風習がある。
「そのつもりで作ったんだが」
「え?プロポーズっぽい事をさらっと言わないでくださいよ」
「ぽいじゃなくて、プロポーズしているんだが」
。。。。え?いま?
「もっとロマンチックにしてください!お兄様ならもっと舞台を整えて、花束と共にしてくれますよ」
「やっぱりシスコン野郎に甘やかされているんだな。ニコラスに言われただろ?あいつを基準にするなって」
「でももうちょっと。。」
「救出劇の後にお互いに位置がわかる魔道具のバングルで求婚なんて、最高にロマンチックじゃないか?」
うーーん。ロマンチックってよりはストーカーぽい。
「アル先生。。。」
「。。。。」
「アル兄様?」
「兄様もやっぱり嫌だな。アルって呼んでくれ」
「ではアル、あなたには女性の扱い方の勉強が必要です。お兄様から学ぶのは嫌でしょうから、私が先生になります!」
アルは目を丸くしたが、ニヤッと笑った。
「はい、エマ先生。まず何をしたらいいでしょうか?」
「世の中、両思いを確かめあった後、特にプロポーズの後にはする事があります」
気がつけば私達は伯爵家に着いていた。アルは私を抱きしめるようにして馬から降りそのまま離さない。そして耳元で囁いた。
「先生、それは先生がお手本を見せてくれるんでしょうか?」
「勿論。あとでテストもしますからね」
私はそのままアルにキスをした。
「テストは何回でも大歓迎だ」
アルも何度も私にキスを返してくる。
「アル、お前エマに何してるんだ!」
玄関には仁王立ちするお父様とこちらにかけてくるお兄様。
「シスコン。。卒業してないですね」
「そのようだな」
「大丈夫です。私があの2人の扱い方を教えますから」
「宜しくお願いします、エマ先生」
お兄様が大騒ぎしている横で私達は大笑いした。
やっと不機嫌なポーションマスターの機嫌が治った様だ。
3-4話ぐらいの予定だったのに、相変わらず長くなりました。
エバンとミリーの話も短編で書くかもしれません。




