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魔道具とポーション作り

私とお兄様は学科分けの発表の後。一緒に家に帰ってきた。


お父様には既に話が行ってていたみたいで、入学辞退は認められないそうだ。


「ニコラス先生の奥様が王妃様の姪御様なのですね」


「ああ、ほぼ王命の形で先程手紙が来た。そして討伐遠征の予定も2週間前倒しで3日後に出発だそうだ。特に魔法騎士団は強制全員参加だ」と言うお父様の顔は少し怒ってる。


「そんなの絶対、エマと俺達を引き離そうとしているだけじゃないか」


「お父様、お兄様、討伐は大切なお仕事ですよ」


騎士団長と騎士がこれで良いのだろうか?


出発までの3日間、私はなるべく2人と過ごす様にして、私は私が作ったポーションと、頂いて来た魔道具を組み立て、2人にプレゼントした。そして泣きながら遠征に行く2人を見送った。


「では学園に行く準備をしますか」


初めの3日は座学だけだった。2学科を同時に受けるので、なかなか忙しい。


「お兄様もこれをしていたのね、ちょっと見直したわ」


そして4日目はいよいよ魔道具科の実習だ。


「で。。どうしてこうなったのですか?」


私の目の前にはニコニコ笑っているニコラス先生、相変わらずの仏頂面のアリスター先生、そして私の隣にはお兄様。


とりあえず言いたい事は沢山あるが。


「お兄様、遠征はどうなったのですか?」


「今回はワイバーンが3匹出たんだよ。俺はついた瞬間に1匹倒して、父上も1匹倒したから、残りは他の団員に任せて帰ってきた。ただ父上は団長だから討伐が終わるまで帰れないって言うので置いて来た」


ワイバーンって騎士団総出でやっと1匹倒せるものではなかったっけ?


「まだ色々言いたい事はありますが、次。何故アリスター先生が魔道具科の実習にいらっしゃるのでしょうか?そして他の生徒はどちらに?」


「他の生徒はアシスタントに任せている、エマさんは僕の開発している魔道具の手伝いをしてもらいたくてね」

ニコラス先生はチラッとアリスター先生を見る。


「それはポーション制作に必要な魔道具でね。だからアルにも来てもらったんだ」


「何で入学したてのエマの助けが必要なんだよ。エマに手出ししようとしてるだけじゃないのか?」とお兄様がニコラス先生に詰め寄る。


「お前はエマの才能がわからないのか?ベテランのポーションメイカーでもあの速さでは計算できない。ポーションを作る時に錠剤を砕いて溶かしやすくするとか、教えてもいないのにしたんだぞ。まあ計算も苦手なお前にはわからないか」とアリスター先生が呟く。


何か雰囲気が険悪になってきた。


「アル!俺はお前が1番信用ならないんだよ。エマが1番くっついてたからって勘違いするな!」


は??私が不思議そうな顔をしていたら。ニコラス先生がニコニコしながら聞いて来た。


「覚えてない?僕達は君の家によく行っていたんだよ。君がまだ小さい時だけど。君が僕やアルに懐いてしまって、嫉妬に駆られたエバンにもう家にくるなって言われてから、もう10年ぐらい会ってなかったが」


「え?ニコ兄様とアル兄様?」


「やっと思い出した?アルはエマちゃんが覚えてない事が悲しくてずっと不機嫌だし」


「俺はいつものとおりだ」と被せる様に言ってくる。


ああ、そうだ。お兄様、ミリーお姉様とこの2人は同い歳でよく家で遊んでいた。私はアルお様の銀髪が大好きで追っかけ回していたんだっけ。


「僕には妹がいないから、兄様と呼ばれるが好きだったな」とニコラス先生が懐かしそうに言う。


「流石に今は兄様とは呼べないですしね」


「。。。。。俺は構わないけどな」とアリスター先生が呟いた。


私達3人は無表情のアリスター先生を見る。冗談なのか本気なのか?


お兄様がいると話が進まないので、夕ご飯後にマッサージをすると約束をして家に帰っていただいた。


「それでどんな魔道具を作ろうとしているんですか?」


「今回試験でやってもらったポーション作りは、ポーション製作過程で1番簡単な部分だ。あの錠剤は俺が開発したんだが、あれを作るのが1番時間がかかる。錠剤を作るには原材料を細かく測り混ぜて行く必要がある。その手間を簡略化できる魔道具を開発したいんだ。今の所、あの錠剤を作れるのが俺だけだからな」


「ではポーションを作れるのはアリスター先生だけなんですか?」


「。。。アルでいい。。。いや、古来の方法を使えば誰でも作れるが時間がかかるんだ。今やポーションは必需品だから、需要に追いつかない」


「流石に先生をその名では呼べません。。。。では錠剤はどう作るのですしょうか?」


「材料になる材料を細かく砕き、スライムの粉と一緒に煮詰めて溶かしたあと、水に溶けやすい鉱石の粉と混ぜて固めるんだ」


「では測る物は水以外は固形物なんですね」


「そうだな、水は目盛のついたグラスで測れるから、固形物しかないな」


「ではこのような、お皿が取り外せる秤はどうでしょうか、この部分を時計の針のように重さで動くようにして。。。」

私は少し昔にあったキッチンスケールの絵を描く。


ニコラス先生は目をキラキラさせて、私のを見ている。


「これは素晴らしい。天秤の様にバランスを取るのではなく、材料の重さで針を動かすのか。これなら安価に作れて平民にも普及させられる。アルの秤には水晶を使えばより細かく数字が出せる」


まあ、私が考えたんじゃないですがね。

水晶をがデジタル表示の代わりなのが面白い。


ニコラス先生は早速設計図を書くのに夢中になっている。


「ニコラスは当分これに集中するから、俺の研究室に行くぞ」


「え?いいんですか?アリスター先生は何をするんですか?」


「。。。」


「アリスター先生?」


「。。。」


「。。。アル先生」


「先生はいらない、アルでいい。錠剤の改良をしたいんだ」


「無理です、アル先生が限界です。そして他の人がいない時だけです」


「それでいい」


アル先生の研究室は漢方の薬屋さんみたいに壁一面に引き出しがあり、ラベルには薬草らしき名前から、スライムの粉、ワイバーンの羽など魔獣由来の素材もある。


「今日はポーションの錠剤を作って補充したいんだ、この前の試験で結構無駄になってしまったからな。遠征用のハイポーションを先に作ろうと思ったが、騎士団長とエバンのおかげであまり必要じゃなくなったな」


「本当にあの2人は何考えているんでしょうね?」


「お?お前はあの2人に甘やかされて育ったのかと思ったが、そうでもないんだな」


「いえ、むしろ暑苦しいです」


「それで2人に言うなよ、泣くぞ」


そしてアル先生は手袋と眼鏡を私にくれた。


「スライムの粉は水分と反応してゴム以外の有機物は溶かすからな、手につくと汗で手が火傷のようになる」


「スライムってどうやって粉にするんですか?」


「氷魔法で1回凍らせて、解凍して水分を抜いてから乾燥させるんだ」


高野豆腐と同じ原理か。


高野豆腐食べたい。。と思ってつい聞いてしまった。

「スライムって美味しいんですかね?」


アル先生はびっくりした顔でこちらを見て、大笑いした。


「食ったら胃が溶けるぞ、何であれが美味そうと思うんだよ」


アル先生も笑えるのね。


アル先生はポーションの錠剤を作りながら。製作過程を私に教えてくれた。これも慣れれば問題なくできそうだ。


そして最後に錠剤にするのは、木の型に入れて形を整えて乾燥させるみたいだ。


「この型の大きさだと何gの錠剤ができるんですか?」


「5gにしたかったんだが、穴が小さすぎて職人に均一に作るのは難しいと言われてな。7gになっている」


「では、錠剤を10gで作って、真ん中で割れるようにしたら5gになりませんか?」


真ん中に凹みがある錠剤を思い浮かべて説明した。


「それはいいな、微調整は必要だが断然に測りやすくなる」


アル先生はポーションの事になるとすごく饒舌になるのね。


私は昔のアル兄様の姿を思いだした。あの頃はもっと笑って、お喋りだったと思うんだけど。どうしてこうなったのかしら?





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