ポーション科のテスト
また案内係が現れて、次は実験室のような場所に案内された。
先程のアリスター先生が何かむすっとした顔で、正面の席に座っている。
お兄様はアリスター先生がいるに違いないと自ら控え室に残った。そんなに仲が悪いのかしら?
なるべく遠くの席に座ろうとしたら
「おい、エマ・ラフィーノ、お前の席はここだ」
アリスター先生の目の前。。。なんだか周りのみんなが気の毒そうな顔をしている。アリスター先生は銀髪に凍えるような青い目で顔はかなり整っているのに、無表情で背筋が凍るような印象だからかな。
「はい。。。。」
先生のアシスタントさん達がポーションのレシピと材料を配る。
「お前はこっちだ」とアリスター先生は何だかどんどん材料を私の机に置く。
他の席の生徒には水のほかは錠剤が一種類なのに、何故私には3種類?
初めに先程の計測器で魔力の自然放出値をみんな測った。個人差はあるが大体みんな5ぐらいだった。
渡されたレシピを見ると。
<ハイポーション>
錠剤A:50%
錠剤B:30%
錠剤C:20%
濃度が20%になるように調合し、魔力を200流す。
これはさっきと似ているけど、溶かす錠剤を3種類混ぜるのね。
さっきと同じで水が80mlで錠剤が20g。
そのうちAが10g、Bが6gでCが4g。私の魔力量が毎秒5でだから、40秒。両手だと20秒でいいのね。
なんかさっき教えて貰っちゃったから、ズルしているみたいで申し訳ないな。
ささっと錠剤を測り、また乳鉢ですりつぶして、液体に溶かして容器を20秒手で包む。今回は各自時計があるので自分で測れる。タイマーとか欲しいところだけど。
魔道具で作れないのかな?
20秒たったので、ポーションを見ると濃い紫になっている。
これで正解なんだろうか?
用意されていた容器に移す。これに入れるともう触っても魔力は入らないそうだ。
私の事をじっと見ていたアリスター先生が立ち上がって近づいてきた。
「出来たか」
「はい、合ってるといいんですが」
周りのアシスタントさん達がざわついている。
「実験してみよう、このナイフで。。。」
「え?自分で試すんですか?どれぐらい切ったらいいですか?」
私がナイフを掴んで手を切ろうとすると。
「おい!!やめろ!」
アリスター先生は私のナイフの刃の部分を慌てて掴んだ。
「痛ってえ」
アリスター先生の手から血が滴る。
「ぎゃあすみません、何で掴むんですか!」
「お前、人の話は聞け。この豚の皮つき肉を使うんだよ、生徒に怪我させるわけ無いだろう」
あ。。。先生の隣に火傷やら切り傷がついた皮つき豚肉があった。
「先生、救護室に行きましょう。本当に申し訳ありません」
「お前は何の為にポーションを作ったんだ。俺の傷口にお前のポーションをかけてみろ」
私は血がまだ止まらないアリスター先生の手にポーションをかける。するとすぐに血が止まり、傷口が消えた。
「うわ!このポーションすごい!」私は隣の豚肉にもかけてみる。火傷の跡も結構深そうな傷もすぐに治った。
自分でも試したいとチラッとナイフを見たが。
「その今考えている事は脳みそから排除しろ」と低い声が横から聞こえた。
「お前、材料はあるんだ。試験が終わるまで時間があるし、作れるだけこのポーション作っとけ」
周りを見るとまだみんな、錠剤を測っている所だった。
私は言われた通りに作っていたが、100mlずつ作るのが面倒になってきた。
「アリスター先生、これは2倍量とかでも作れるんですか?」
「作れるが魔力の流す時間が2倍になる」
じゃあ両手で40秒でいいのね。
結局、試験が終わる頃には10本のポーションが出来ていた。
「アリスター先生、このポーションどうしたらいいですか?」
「お前が作ったもんだが、材料は学校で出してるからな。材料費分としてポーションを4本貰えればいいから、残りは好きにしろ」
「え!?いいんですか?お父様とお兄様のお土産にしようっと。ありがとうございます」
私はスキップをしそうに勢いで控え室に戻った。
アリスター先生、愛想は無いけどいい人じゃない。
その後は昼食を挟んで、どの学科に入れるか発表になる。それで今日は終わりだ。
当然お兄様は私と同じテーブルで学食を食べている。
「学食も久しぶりだな。エマ。ポーションの試験はどうだった?」
「さっき救護室で作ったみたいなのをまた作ったから、何だかズルをしている気分になちゃった。答えを知っているようなもんだし、まあそこら辺もきっと考慮しての採点になるんじゃないかな?ポーションがいっぱいできたから、お兄様とお父様にプレゼントするわ」
「そっかプレゼントか。まああれだけの魔力量が出たんだ、魔法科になるんじゃないか?」
「そうだといいんですけどね」
昼食が終わって、発表の時間になっても、先生たちが控え室から出てこない。
30分ほどしてやっと5人の先生が出てきた。
1人は何だかげっそりした感じに見える。最後にニコラス先生とアリスター先生は先生が出てきた。お2人は。。。。ニコラス先生はニコニコしているが、アリスター先生は表情は変わらず。
「遅くなったが、学科分けの発表をする。今から呼ばれた者以外は一般教養科になる」と1人の先生が言う。
名前がアルファベット順に呼ばれて行くが、私は抜かされた。
え?私は一般教養科なのかしら。
お兄様は険しい顔をしている。
「まさかな。。。」
「今回はレベルが高かったのですかね?では私は一般教養科に行きますね」と立がろうとすると、私の名前が聞こえた気がした。
そして周りが一気に騒がしくなった。
「エマ?エマ・ラフィーノいるか?」
え?その瞬間お兄様に腕を掴まれた。
「エマ、やっぱり学園で勉強するのはやめよう、最高の家庭教師を見つけてやる」
「え?やっぱり私は一般教養科ですか?」
「「そんな訳ないだろう」」
顔を上げるとニコラス先生とアリスター先生が目の前にいた。
「エマさん、魔道具科へようこそ」
「お前はポーション科に入る事になった」
「え?どっちですか?」
「両方だ、ポーション科でと言ったんだがニコラスが譲らなくてな」
「あの魔道具の改良を見ただろう。あんな斬新な案を試験中に出すとか前代未聞なんだよ」
「だったらあのポーションの出来も見ただろう。こいつ、。ハイポーションを10本2時間で作ったんだぞ」
「魔法科も君を受け入れたいと言ってたが、向こうはたくさん他の生徒もいるし」とニコラス先生がアリスター先生をチラッと見る。
「だから俺たちでねじ伏せた。流石に3学科同時はスケジュール的に無理だからな、とりあえず午前の座学はスケジュール通りに、午後の実習は魔道具科とポーション科で交互に受けろ」
「あ。。あの私は他生徒に比べて2倍の勉強をするのでしょうか?」
「ああ、なんか問題あるか?」とアリスター先生が睨む。
「。。。。ありません」
「問題は大有りだ!エマが勉強漬けで俺との時間がなくなる」とお兄様が文句を言う。
アリスター先生はお兄様を面倒くさそうに見つめ。
「お前にはそんな時間ない。魔法騎士団にはまた長期の遠征が入るって聞いたぞ。それで今ポーション作りが忙しいからな」
「え??」
「その間、お前の大切な妹は俺たちと勉強で忙しいから、お前の事を恋しがる暇もなさそうだな」
私は明日からの学園生活がどうなるのか想像して少し青ざめた。
恋愛要素は今の所ゼロですが、次から一気に行きます。




