塾講師転生する
新年明けましておめでとうございます。
今年もポチポチ思いつく話を書いていきたいと思います。
夢を見ていた。
私が外国の家に生まれ、スーパー過保護なお父様と危ないレベルのシスコンのお兄様にベタベタに甘やかされている、金髪と緑の目を持つ女の子になる夢。
目はまだ閉じたままだけど、外が明るい感じがする。もうそろそろ目覚ましがなるかな。あ、違う。今日はお休みじゃない。
やっと中学受験シーズンが終わり、同僚と飲みにいって。。どうやって帰ってきたんだっけ。
目を瞑ったまま携帯を探して手を伸ばす。
ふにょ。
え?誰か私のベットにいる?
そういえば、シーツの感触が違うし、
家じゃない?
完全に目は覚めたが、怖くて目が開けられない。
すると誰かが私の頭を撫でた。
「起きた?」
げ。。男の人の声。でも聞いた事がある。
「テストが嫌で狸寝入りしてるの?大丈夫だよ、エマは自分で思うより出来てるから。朝ごはん食べて準備しよう」
随分馴れ馴れしいな。私の名前を呼び捨てにして。。。
諦めて目を開けたら、夢に出てきた外国人の青年がベットに横たわって、私の頭を撫でている。
「おはよう、エマ。よく寝られた?」
まだ夢を見ているのか?あまりの予想外な光景に目を見開いて固まってしまった。
「エマ?どうしたの?熱でもあるの?」
え?何で顔が近づいて来るの?まさか、おでこで熱を測ろうとしてる?金髪に緑の目の美形の顔が近づいてくる。
パニックになった私は叫んだ。
「エバンお兄様!私は大丈夫です。勝手に私の部屋に入らないでっていつも言ってるでしょ!!!」
とその瞬間全て思い出した。
私はエマ・ラフィーノ。このベットに転がっているのは、私の5歳上の兄エバン・ラフィーノ。
「エマ大丈夫か?今叫び声が。。。エバン!!何度言ったらわかるんだ、エマはもう子供じゃないんだから、添い寝なんて。。。パパだってしたいのに我慢してるんだ」
はい?
いそいそと私の横に転がるお父様。
左にイケオジ。
右にイケメン。
早野絵麻25歳 中学受験塾講師 担当教科算数
異世界転生したようです。
「旦那様。エバンお坊ちゃま、またですか。エマお嬢様は今日は学科分けテストがある大事な日です。お支度がありますので部屋から出ていってください」と女性の声が聞こえた。
3人揃ってムクっと起き上がると、笑顔だが目が笑っていない私の乳母のマーサがベットの横に立っている。
お父様とお兄様は渋々ベットから降りる。
「エマの大好きな朝ごはんが用意できているか、キッチンへ行ってチェックしてくる」とお父様は早歩きで去っていく。
「俺もエマを学園に送るために着替えてくるか」と部屋から出て行く。
「あの2人は仕事に行かないのかしら?」
「今日は無理でしょうね。1カ月前から大騒ぎでしたし」とマーサが私の髪を梳かしながらため息をつく。
私は鏡に映る今の自分を見る。
エマ・ラフィーノ伯爵令嬢 17歳
金髪に緑の目。私が小さい頃亡くなったお母様にそっくりなので、お父様、お兄様に溺愛されている。
マーサは私の乳母でお母様が亡くなってからは母のような存在だ。
髪をハーフアップにしてもらい、銀のヘアアクセサリーをつける。そしてキルギス国立学園の制服を着る。
入学式は昨日で、今日は学科分けテストがある。
学園には騎士科、魔法科、魔道具科、ポーション科、一般教養科があり、大抵の生徒は魔力を持たない為一般教養科か騎士科に進む。
我がラフィーノ伯爵家は雷魔法を得意とする家系で、お父様は魔法騎士団の団長をしている。
お兄様がこの学園に入学した時は学科分けテストで騎士科と魔法科のどちらにも適性があり、両方を履修する事を許された数少ないエリートで、卒業後はお父様と同じ騎士団で魔法騎士をしている。
私も雷魔法は使えるが、かなり微弱で魔法科には入れないかもしれない。騎士科に行く適性もないし、魔道具科やポーション科は魔力の量は少なくても大丈夫だが試験が難しいと聞いている。
となると。。。私は一般教養科かな?
しかしお兄様とお父様は私に魔法科に入ってもらいたいようで、この1ヶ月お兄様がまさにマンツーマンで特訓をしてくれた。
そのおかげかレベルはやや上がったが、まだ魔法科に入るにはギリギリレベルらしい。魔力は問題ないらしいが、うまく放出できていない様だ。
朝食を食べながら私より緊張している2人に「私は一般教養科でもいいんですけど」と言ったら
「エマはこんなに可愛いんだから、一般教養科の男達に付き纏われるかもしれない。魔法科は女子生徒が多いから安心なんだよ」とお父様が私の顔を見て言う。
どうやら適性とかの問題ではなかったようだ。
「魔道具科もほぼ男だしな、ポーション科は少しは女生徒がいるが、今はアイツがいるからな」とお兄様が苦々しい顔で言う。
「アイツとは。。。」
「イングラム伯爵家の三男、アリスター・イングラムだよ。最年少で王宮ポーションマスターになった。俺の同期で普段は王宮の研究室で働いているが、今はポーション科で臨時講師をしているんだ」
「臨時ですか?」
「ああ、いつもの講師がポーション作りで失敗して、自分を石化してしまったからな。元に戻るポーションはアルが作れるんだが、材料が春にならないと採れないのでそれまでアイツが臨時講師をするんだと」
アルって名前に聞き覚えがある様な?愛称で呼ぶぐらいにはお兄様と仲がいいのかな?
「石化ですか、ポーション作りも危険なんですね」
「ああ、でもエマが石化したら、俺の部屋にずっと置いて置けるな」
「いや、私の部屋だろう」とお父様も真面目な顔で答えている。
なんか怖い事言ってる。
「そろそろ行かないと間に合わないな。エマ、行くぞ」とお兄様が立ち上がる。
お父様は私の事を抱きしめて
「一般教養科になったら、退学して家で家庭教師をつけてもいいんだからね」とまた不穏な事を呟く。
それも良いなとお兄様もニコニコしている。
こう言う時って、テスト頑張ってとか言うものじゃないのか?
なんか意地でも一般教養科以外に受からないといけない気がしてきた。
私のお話に出てくる兄はシスコンになりがち。




