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三話

勇は今日、朝早くから仕事だと言って出ていってしまったので、今日は一人になる。

普段書生服を着ている勇も仕事の日は制服に腕を通す。

土地感など全くないので、近くを散歩するにも帰って来れるか心配だ。

だが、これといってやることがない。

せっかく明治時代にタイムスリップしたんだから、冒険だってしてみたい!というお気楽思考で散歩を開始する。

「うわぁ〜!!」

しばらく足の動くままに歩いていると、大通りに出た。

木造建築の二階建て飲食店、人力車、着物姿の人達。

何処を見ても現代では中々見かけない物ばかり。

お弁当を渡されたので、公園か何処かで食べれたら良いな〜と公園を探しているが、ない。見付からない。

ふらふら歩いていると、不注意だったのか誰かとぶつかってしまった。

「うわっ!」

「きゃっ!」

ぶつかった人は女子高生だろうか、同じような服装をしている。

「あ、すみません」

「いえ、前を見ていなかった私も悪いですわ」

(上品な人だな〜)

きっと私は何年経ってもこういう上品な女性にはなれないな〜と思っていたら、女性が手をパチンと叩いた。

「あの、、、良ければ私と友達になってくれませんか?」

「え、なるなる!!」

ふたつ返事で友達になった。

女性の名前は『綾辻椿』というらしく、府内の高等女学校に通っている十七歳。

「同い年!?」

「ええ」

近くにあった公園のベンチに座ってラムネを飲む。

「あ、レモン味」

「レモン味なのは普通じゃないですか?」当たり前というようにラムネを飲む椿。

「へ、へぇ〜、、、」

未だボロを出してしまいそうでガッチガチに緊張している柚。

「椿ちゃん、ありがとう」

「こちらこそ、また」

ラムネを飲みながら少し雑談をしただけなのだが、とても楽しい時間を過ごせたと思った柚だった。


家に帰ってからしばらくして、上機嫌な勇が帰宅した。

「あ、おかえりなさい」

「大山勇、ただいま帰宅!!」

お酒を飲んだのだろうか、少しお酒臭い。だが、酔ったとしても歩けるくらいなので多分大丈夫なのだろう。

酔っ払いの介抱などしたことないが、ソファに寝かせ、取り敢えずコップ一杯の水を勇に渡す。

目線を上げ、壁に掛けられている振り子時計を見る。

飴色の時計。

時計の針は静かに時を刻んでいる。

その後、介抱のお礼としてカフェに連れて行ってくれるらしい。

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