第1話 出会い
第1話 出会い
「ここが寮か…」
俺は制服姿で寮の入り口の前で、荷物をもって立ち止まっていた。
俺の名前は月嶋飛燕、神社の跡取りで、今日からこの高校の男子寮に入る新入生だ。
「月嶋君だよね?」
「はい?」
俺は後ろから高い声の人に話しかけられた。
振り開けるとそこにいたのは男子の制服を着た女顔の奴だ。
「僕は月夜渚、君と同じ部屋になるんだ」
「…………」
胸が少し膨らんでいる、多分さらしでも巻いているんだろうと思うが、それにも限界がある、多分こいつはもう少し胸が大きいはずだ、そこを隠し切れていない所が一点、こいつは見た目、痩せて見える、なのに胸が少しまあ、普通の奴が見れば気にならない程度だが、俺は少し気になるたちなので不自然に感じる、銃を入れている感じでもないし、何か物を入れている気はしない、あと、長袖の裾を三つの指で掴んでいるあたりが男にはあまりない行動だ。そして決定的なのは髪型だ、奴は髪型をサイドテールにしている、…俺は男でサイドテールにしている奴を今まで見たことがない、普通はいない、この先も見ないだろう、サイドテールにしている男…そんな男いるか!。結論的に、コイツは女だ。
ばれたのに気付いていない男装の女の子。
「よろしくね♪」
相手はニカッと笑って笑顔で返した。
はにかんで可愛い。
これが男だったら、いかんいかんこいつは男だ!、になるがこいつは女の子なので素直に思える、可愛いと。
サイドテールにしている時点でまだ女の子としての可愛さというのを捨て切れていない感がある。
女の子を捨てていない、男として生活する覚悟がまだ完全にはなっちゃいないようだ。
なんで俺のこと知っているんだ?、制服の名札か?。
その月夜に部屋に案内された。
「ここが僕達の部屋だよ」
案内されて着いた部屋2階の部屋204号室、間取りは2DK、ダイニングがあり個別の部屋がある、鍵が各部屋付いている。バストイレ別。クーラーはダイニングにしかない。
冷蔵庫とキッチンもあるようだ。
「ご飯は1階の食堂があるから、僕もたまに作るけどね」
女の子の料理食べたいな。
ここは神道系の大学の付属高校、全国から実家が神社の息子や、巫女になるために女子が集まる。
私立国學館高等学校、全寮制だ。
大学や併設の短大、系列の専門学校で神職の資格は取れるが、その前に修行するカリキュラムが組み込まれている、高校卒業と同時に資格(正階授与)も取れるがほとんどが大学の神道学部に進む
正階とは県社の宮司や神社本庁が定めた神社の禰宜になるために必要な階位
その正階を普通課程II類、高等学校卒業またはそれと同等の学力を有する者 年限2年 正階授与されるものだ この他にも大学に通うと取れる資格がいくつもある。
「ここって男子寮?」
「そうだよ?」
「女子の寮はあるのか?」
「ここから離れた場所にあるよ」
なんでコイツ女子寮じゃないんだろう。
「自己紹介しようか、僕は月夜照神社の跡取りの月夜渚、よろしく、呼び名は渚でいいよ」
「よろしく、おれは月嶋飛燕、月嶋神社の跡取りだ、よろしく、呼び名は飛燕でいい」
「よろしく…飛燕…」
なんで顔を赤らめながら俺の名前を呼ぶんだ、俺まで気恥ずかしいじゃないか。
「部屋は出席番号順に決められるから僕は月嶋の次だからこの部屋なんだ」
「そうなんだ」
「こっちが俺の部屋か」
ダイニングがあって横に部屋が二つあり6条一間の部屋が二つ
「僕が左の部屋、飛燕が右の部屋だよ」
「そうか…」
なんで初対面なのにいきなり下の名前で呼ぶんだろう、俺と会ったことあるのか?。
とりあえず荷物を部屋に置いた、後から事前に買った布団やら棚やら送られてくる。
押し入れもあるのか、いいな。
畳か、いいな。
そしてベランダに通じる窓。
「えーと、月夜君でいい?」
「渚でいいよ」
「じゃあ、渚はもう荷物全部部屋に入ってんの?」
「うん、見る?」
「是非」
「ベッドがあって枕元には人形がいっぱい、少女漫画が棚に沢山置いてあり、ぱっと見女子の部屋だ。
「…………なるほど」
間違いない、こいつは女の子だ。
渚をよく見てみよう
身長は160ちょい位か、男なら小さい方だ、男ならな。女の子なら少し大きい方だ、よかったな160センチあって150センチくらいだったらばれてるぞ。
「これからよろしく頼む」
「うん、よろしくね」
握手したら、渚が急に顔を赤くした。
「どうした?」
「な、何でもないうよ、じゃあ、僕は部屋に戻るから」
俺も自分の部屋に戻るか。
俺は自室に戻ったら隣の部屋の壁から渚の声が聞こえた。壁が薄いようだ。
「男の子と手を繋ぐなんて小学生以来だよ、照れくさいな~しかも飛燕に、私、大丈夫かな~…」
と言いながらベッドで足をバタバタさせる音がした。
一人称、私、男子と手を繋ぐなんて小学生以来とか女子じゃないか。もうバレバレ、ベッドで足をバタバタするなんて乙女じゃないか、こいつ普通に男子として学校生活送れるのか?そもそもなんで男装しているんだろう?、やっぱり俺のことを前から知っているようだ。
男装の美少女と同居することになった。