表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/134

第72話 EP9-16 天剣

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


 アタシはユウカ。まだ十六(さい)可憐かれん少女しょうじょで、ピンクいろ長髪ちょうはつで、女にしてはたか筋肉質きんにくしつむねがなく、『ピンクハリケーン』のふたばれるランクSSの魔物まものハンターだ。

 西にし大砦おおとりでめてきた魔物どものボスが、ついに姿すがたあらわした。戦場せんじょうからははなれた荒野こうやに、ポツンとたたずんでいた。

 人間にんげんサイズでありながら、うみそこから海上かいじょうあらわれる巨大きょだい海神かいしん、見た目は無数むすう触手しょくしゅ集合体しゅうごうたい、ってかんじのヤツだ。帝都ていと周辺しゅうへんレベルの、凶悪きょうあく未知みち魔物まものだ。

「グルルルル」

 ワータイガー最上級ハイエンドが、魔物まもののボスのほうにらんでうなる。不満ふまんげなこえにもこえる。くろ模様もようはいった黄色きいろ毛皮けがわうでから、なぜかながす。

 アタシは、状況じょうきょう理解りかいできず、ワータイガーを見つめる。

「ガウッ!」

 きゅうに、アタシのほうく。高速こうそくみ、右手の肉球にくきゅうでアタシのかたす。スピードとパワーに、アタシの華奢きゃしゃからだぶ。

 これはけられない。目でうのがやっとの高速ハイスピードに、攻撃こうげき予備動作タメ皆無かいむで、軌道きどう予測よそく対応たいおうができない。

 いきおいよくねる。空中くうちゅうで、全身ぜんしんひねりと手足てあしりで、体勢たいせいなおす。ひざげて衝撃しょうげきやわらげつつ、華麗かれい着地ちゃくちする。

 二()も三度もおくれをるほど、ちぶれちゃいない。

 ワータイガーのふとい右(うで)から、ながれた。ながうつくしい黄色きいろが、砂埃すなぼこりけむかぜっていた。

 アタシには、やっぱり、状況じょうきょうが、なにきたのかすら、理解りかいできなかった。


   ◇


能力のうりょくは、空間くうかん跳躍ちょうやくでござる。二()も見せていただければ、間違まちがわぬ」

 大砦おおとりでたかかべうえで、男が、かすれた低音ていおん断言だんげんした。魔物まもののデータ分析ぶんせき専門せんもんとする魔物ハンター、『モノ』だ。

 ローブのような日除ひよけのような大きな麻布あさぬのあたまからかぶり、中肉ちゅうにく中背ちゅうぜいである。せて、まばらにひげび、ヒビれたくちびるは『へ』のがる。生気せいきのないかおに、ギョロリとした目だけが爛々(らんらん)ひかる。

「あの帝都ていと周辺しゅうへんレベル、厄介やっかい相手あいてぞ。跳躍ちょうやく可能かのう質量しつりょうは小さいと見る。が、空間くうかんえるゆえ、あらゆるさえぎりは無意味むいみ心得こころえよ」

大丈夫だいじょーぶだろ? われ最強さいきょう魔物まものハンター『ヘブンズソード』なり、だぜ?」

 麻布あさぬのの男のすぐよこ青年せいねんが、かる口調くちょうこたえた。

 みじか金髪きんぱつ逆立さかだてた、長身ちょうしんほそマッチョだ。金色きんいろ羽根はねわせた金色のつばさみたいな派手はでな、そでのないロングコートをひるがえした。

天剣てんけんれぬものなし」

 傲慢ごうまんに、む。見くだすように、とおくの魔物まものを見おろす。

 みじか金髪きんぱつが、強風きょうふうれる。金色きんいろ羽根はねのコートが、ばたくようにはためく。

 とお荒野こうやたたずむ、無数むすう触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、見あげる。たかかべうえ二人ふたり認識にんしきしたと、うごきでしめす。

「ぬぬ、あやつ、こちらを見ておるな。それがしとしては、いま退しりぞき、作戦さくせんり、準備じゅんび万端ばんたんいどむことをおすすめいたす」

 モノ提案ていあんに、ヘブンズソードがはなわらう。嘲笑あざわらうように、とおくの触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいけて、みをかべる。

いま、やっちゃえばいいっしょ。せっかく、むかし仲間なかまと、キュートな新人しんじん最強さいきょう見習みならいちゃんがお膳立ぜんだてしてくれたんだから。このチャンスをのがしたら、最強ヘブンズソード名折なおれっしょ」

 口調くちょうは、かるい。こしには、緋色ひいろ金属きんぞくの、長剣ちょうけんさやをさげる。長剣の、古樹こじゅつかにぎる。

ともにランクSS、飛竜ワイバーンほふりし『てんつらぬ』と、ワータイガー最上級ハイエンドおさえし『ピンクハリケーン』であったか。功労者こうろうしゃ御二人おふたりには、最大限さいだいげん感謝かんしゃをせねばなるまいな」

 モノが、かすれた低音ていおん同意どういした。

「そうっしょそうっしょ。スピニースくんむかしつよかったけど、さらに強くなってるんだよ、これが。ソロになっても、ストイックなとこはわらないねえ」

 ヘブンズソードがゆるんだみで、自分じぶんめられたみたいにれた。

 ゆるんだみは、すぐにめる。真顔まがおに、見くだすみをかべる。

われは、最強さいきょう魔物まものハンター、『ヘブンズソード』なり!」

 けんき、たかかかげる。両刃りょうばのロングソードの、緋色ひいろ刀身とうしんの、鏡面きょうめんのごときかがやきが、周囲しゅうい緋色ひいろいろづける。にぎる右手を、みなぎらせる。

 触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、うごく。とおく、触手を動かしているようだと、かろうじてわかる。

空間くうかん跳躍ちょうやくしてまいるぞ。回避かいひされよ。あらゆるさえぎりは、けられよう」

大丈夫だいじょーぶ大丈夫だいじょーぶ天剣てんけんは、空間くうかんすらもく! が天剣にれぬものなし!」

 頭上ずじょうかかげた剣先けんさきを、足元あしもとまで一直線いっちょくせんりおろす。無造作むぞうさに、わずかのみだれもなく、完璧かんぺき直線ちょくせんの、緋色ひいろ軌跡きせきえがく。

 なにきなかった。いや、だが、あっちもこっちもこれだけはなれて、近接きんせつ武器ぶきって、どうにかなるとかんがえるほうがおかしい。何かが起きるほうがおかしい。

 モノが、ギョロリとした目を爛々(らんらん)ひからせ、とお荒野こうやうごめ触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいうかがう。かぶ麻布あさぬのまえへとき、つよ日差ひざしをさえぎる。

 無数むすう触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、たて両断りょうだんされている。ちょうど頭頂とうちょうから、ドなかかれている。

「お見事みごと! 一刀いっとう両断りょうだんでござる!」

 かすれた低音ていおん感嘆かんたんした。

「ぬぬ、なんたる、いないなや!? これは面妖めんような。平然へいぜんうごいておるな」

 ドなかふたつにかれているのに、うごいている。左右さゆうに分かれたかたまりが、両方向りょうほうこうかたむいて、無数むすう触手しょくしゅうごめく。相変あいかわらず、こちらを見あげて、手ですように、こちらに触手しょくしゅける。

空間くうかん跳躍ちょうやく防御ぼうぎょにも使つかっておるのか? 複数ふくすう能力のうりょくちか? 帝都ていと周辺しゅうへんレベルとしても、上位じょうい魔物まもの用心ようじんされよ」

大丈夫だいじょーぶ大丈夫だいじょーぶわれ最強さいきょうの魔物ハンター『ヘブンズソード』なり、だぜ。モノ殿どのは、あぶないからさがっててくれ」

 ヘブンズソードが、大砦おおとりでかこかべくだ階段かいだんおどへと、モノばす。みずからは、天剣てんけんりながらよこへとぶ。

 バチンッ、と金属きんぞくはじけるおとがした。ロングコートの金色きんいろ羽根はね数枚すうまい千切ちぎれてった。

 後方こうほうへとびながら、天剣てんけん袈裟懸けさがけにりおろす。バチンッ、と胸元むなもと金色きんいろ羽根はねる。

 かべ落下らっか防止ぼうしさくに、背中せなかたる。

われ最強さいきょう!」

 たからかに雄叫おたけぶ。言動げんどうかるさをかなぐりて、するどまえへとみ、天剣てんけんりあげる。

 コートの背中せなかで、バチンッ、と金色きんいろ羽根はねる。天剣のりあげから、真横まよこへと横薙よこなぐ。

「ヘブンズソードなり!」

 超高速ちょうこうそく二振ふたふりは、みじかく一つだけの風切かざきおんった。

 とおくにある触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、ななめに両断りょうだんされ、さらにくびたかさで真横まよこに両断された。


   ◇


 無数むすう触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、うごめく。六つにけられたのに、かいさないように、ウネウネしている。

天剣てんけんれぬものなし!」

 ヘブンズソードが、たからかに天剣をかかげた。緋色ひいろ刀身とうしんの、鏡面きょうめんのごときかがやきが、周囲しゅうい緋色ひいろいろづけた。

 触手しょくしゅ集合体しゅうごうたいが、後退あとずさる。徐々(じょじょ)いろえる。けるようにうすくなって、完全かんぜんに消えてしまう。

 荒野こうやくるかぜに、姿すがた存在そんざいも、すようにえてしまった。そこには最初さいしょからなにもなかったように、何もなくなってしまった。

「ふぅむ、やれやれ。討伐とうばつには失敗しっぱいしたと見る。されど、初見しょけん帝都ていと周辺しゅうへんレベル上位じょういはらえたのならば、上々(じょうじょう)戦果せんかでござろう」

 モノが、かすれた低音ていおん結論けつろんした。

「あっちゃー。スピニースくんに、なんあやまろうか? 最強ナンバーワン泣くぜ(クライ)、とかあきれられちゃうかなあ」

 ヘブンズソードがかる口調くちょうで、ふざけるようにわらった。

 かべ下方かほう戦場せんじょうは、ゴウゴウとかぜおとだけがれていた。もうだれも、たたかっていなかった。勝敗しょうはいけっしたと、人も魔物まものも、みなはだかんじていた。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第72話 EP9-16 天剣ヘブンズソード/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ