表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/134

第69話 EP9-13 求道

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


 ピンクハリケーンの協力きょうりょく要請ようせいけて、スピニースは西にし大砦おおとりでへと辿たどいた。強風きょうふうすさそら飛竜ワイバーンび、人間にんげん魔物まもの戦争せんそういままさにはじまろうとしていた。


   ◇


「おい、エルフ! こっちだ、はやくしろ!」

 横柄おうへい帝国ていこく軍人ぐんじん案内あんないで、とう屋上おくじょうた。油断ゆだんすればばされそうな、つよかぜが吹きれていた。

 すでに、魔法まほう使つかいらしきローブをまと軍人ぐんじん数人すうにんいる。スピニースを見て、嫌悪けんおの目をする。舌打したうちもこえる。

「おい。コルトル将軍しょうぐん本気ほんきで、このようなやから協力きょうりょくをおもとめになったのか?」

亜人種あじんしゅどもは魔物まもの眷属けんぞくくぞ。いままさにせまりくる魔物どものスパイかもれんのだぞ。われらが帝国ていこくあだなすまえに、今こので、我らの手で排除はいじょすべきだ」

同意どういする。そもそも、魔物ハンターなどという無法者むほうもの介入かいにゅうゆるすべきではなかった。帝国ていこく最強さいきょう将軍しょうぐんも、すっかりおとろえられた」

 嫌悪けんおの目に、憎悪ぞうおすらじる。殺気さっきただよい、一つにまとまろうとあつまる。

「やめぬか、おろものども。このエルフへの協力きょうりょくは、コルトル将軍しょうぐん直々(じきじき)厳命げんめいである。将軍の御命令ごめいれい私情しじょうはさむとは、のほどらずがぎよう」

 ローブの軍人ぐんじんの一人が、ほかの軍人たちをせいした。帝国ていこく剣盾けんたて紋章もんしょうきんがねをした、まる片眼鏡かためがねの男だった。

 プライドのたか学者風がくしゃふうで、せて、が高い。目には、ほか軍人ぐんじん同様どうよう嫌悪けんおがある。他の軍人がだまったのは、この男が、このなかもっとも高い地位ちいにあるからだと見受みうける。

 実際じっさい、エルフをふく亜人種あじんしゅは、帝国ていこくでは魔物まもの眷属けんぞくうわさされる。もないうわさであっても、魔物にくるしむ人々(ひとびと)には、いかりの矛先ほこさきとして妄信もうしんされる。

 迷惑めいわくはなしだ。とくに、鈍重どんじゅう筋肉きんにく信仰しんこうのドワーフや、能天気のうてんき品性ひんせいのないケモみみどもと一括ひとくくりにされるのが迷惑だ。亜人種あじんしゅは魔物の眷属けんぞくなどではなく、人間にんげん亜種あしゅでもなく、亜人種というくくりですらなく、エルフはエルフという種族しゅぞくなのだ。

「……ふぅっ。で、状況じょうきょうは?」

 スピニースは、いき一つでいかりをす。怒りで解決かいけつできる問題もんだいなら怒りもするが、怒りで好転こうてんする状況なんてありはしない。

 まずは、かずにかる状況じょうきょう確認かくにんする。

 ここは、西にし大砦おおとりで中央ちゅうおう質実剛健しつじつごうけんなる重厚じゅうこうしろの、一番いちばんたかとう屋上おくじょうだ。

 かぜつよい。高所こうしょかこまれ、空気くうき乾燥かんそう、と条件じょうけんがいい。

 前方ぜんぽう、まだとおくに、飛竜ワイバーンそらぶ。最強さいきょう魔物まものハンターの一人『ヘブンズソード』のパーティメンバーのころに、たたかったことはある。あの頃は実力じつりょく不足ぶそくで、戦力せんりょくになれなかったくやしさをおもす。

 飛竜ワイバーン下方かほうには、魔物の集団しゅうだんが見える。同一種どういつしゅれではない。複数ふくすう種類しゅるいの魔物の集団しゅうだんである。

「見てのとおりだ。西にし大門だいもんまえ布陣ふじんした帝国ていこく西部軍せいぶぐん精鋭せいえい千人が、もなく魔物まものの集団と開戦かいせんする」

 きんがねの男が、ローブのすそからゆびさす。そのさきを見る。大砦おおとりでかこたかかべこうで、人間にんげんの布陣は視認しにんできない。

飛竜ワイバーンほのおの一撃目(げきめ)は、全員ぜんいん装備そうびした耐火たいかマントでふせぐ。ただし、耐火マントには一回いっかいを防ぐだけの耐久力たいきゅうりょくしかない。よって、我々(われわれ)任務にんむは、炎の二撃目から友軍ゆうぐん死守ししゅすることである」

 堅苦かたくるしいしゃべかたの男だ。いも堅苦しく、いかにも軍人ぐんじんらしい。

 かた雰囲気ふんいきてられて、こっちまでいきまる。騎士きし暑苦あつくるしさがないだけマシか、とはおもう。魔法まほう使つかいの理屈りくつっぽさがみみさわるからわらないか、とも思う。

かった」

 無表情むひょうじょうこたえる。大弓おおゆみ状態じょうたい確認チェックする。植物しょくぶつつるした装飾そうしょくの、愛用あいよう武器ぶきである。

「コルトル将軍しょうぐん厳命げんめいゆえ、我々(われわれ)帝国ていこく西部軍せいぶぐん魔法まほう部隊ぶたい助力じょりょくする。任務にんむ遂行すいこう必要ひつよう要求ようきゅうであれば、遠慮えんりょなくえ。可能かのうかぎりの助力はしまん」

「あぁ、たのむ」

 きんがねの男ですら、苦虫にがむしつぶしたような表情ひょうじょうで、スピニースとはなす。こんなにも、亜人種あじんしゅ帝国ていこく軍人ぐんじんきらわれる。

 奇異きいの目で見てくるまち人間にんげんはまだマシか、とおもう。エルフのスピニースにとって、人間の生活圏せいかつけんは、まだマシ、にちている。普通ふつうせっしてくるピンクハリケーンたちが、特殊とくしゅなのである。


   ◇


「おい! 飛竜ワイバーンうごくぞ!」

 ローブの軍人ぐんじんの一人が、屋上おくじょういしの手すりから、西にしそらゆびさした。

 全員ぜんいんが、西側にしがわの手すりへといそぐ。ローブの軍人たちは、つよかぜにローブをあおられ手すりにしがみつく。

 西にし大門だいもんへと飛来ひらいする飛竜ワイバーンを、固唾かたずんで凝視ぎょうしする。

「あの距離きょりで、あの巨体サイズか! 計測けいそく計算けいさんいそげ! 滅多めったにない機会きかいだ、可能かのうかぎりのデータをれ!」

 あわただしく、うごはじめた。協力きょうりょくするがあるようには、見えなかった。

「ふっ」

 微笑びしょうした。もとより、一人でもいど気構え(スピリッツ)だった。問題はない(ノープロブレム)

 エルフの視力しりょくであれば、見える。飛竜ワイバーンの、はがねよりもかたうろこおおわれた胸部きょうぶが、はげしく赤熱せきねつする。爬虫類はちゅうるいを連想させる(めいた)口にほのおあふれる。

くぞ! 全員ぜんいん記憶きおくきつけろ! 細部さいぶまで観察かんさつしろ!」

 とおくに見える西にし大門だいもんの、さらにこうがわ巨大きょだいほのおひろがった。火を吹くなんて規模きぼではなかった。しろよりもはるかに大きな炎がとされ、たかかべすらんでくるい、設置せっちされた大型おおがた武器ぶきいて、数秒すうびょうえた。

「……」

 しずまりかえる。つよかぜおとだけがる。

「……なんだ、あれは?」

「あれを、我々(われわれ)魔法まほうで、どうにかできるのか?」

 絶望ぜつぼうこえれる。蒼褪あおざめて、かおを見あわせる。

 初見しょけんでは妥当だとう反応はんのうだ。

 最初さいしょは、だれでも絶望ぜつぼうする。生存せいぞんあきらめてなお、運良うんよのこれば、あらが手段しゅだんかんがえる権利けんりられる。もちろん、権利を放棄ほうきしてげてもいい。

 対抗策たいこうさく模索もさくだけで一年はなやめる相手あいてだ。一年悩んで、対抗たいこう不可能ふかのうだとあきらめるのが正常サニティだ。

 こし矢筒やづつ確認チェックする。十本じゅっぽんを、一本いっぽんずつ確認チェックする。

「あんなものが、魔物まものだと? あの常軌じょうきいっした火力かりょくを、たった一体いったいの魔物がるうのか? あれでは、まるで、神話しんわかたられるかみではないか!」

 ローブの軍人ぐんじんの一人が、められた目で、こえあらげた。

「あれは、我々(われわれ)魔法まほうであっても太刀打たちうちできぬ。コルトル将軍しょうぐんに、即時そくじ撤退てったい進言しんげんすべきだ」

そらてきだぞ。どこに撤退てったいするとうのだ? このしろであろうと、安全あんぜんではないのだぞ」

火吹ひふきの間隔かんかくながくはない、と資料しりょうにあった。城まで後退こうたいする余裕よゆうなどあるまい」

 比較的ひかくてき年長ねんちょう見受みうけるローブの軍人ぐんじんたちが、深刻しんこく面持おももちで議論ぎろんはじめた。

 悠長ゆうちょうなことだ。火蓋ひぶたってとされた。一瞬の判断(ワンチャンス)勝敗しょうはいける戦場バトルフィールドで、結論けつろんない議論ぎろんなん意味いみがあるのか。

「ふっ」

 一本の矢(ジョーカー)を手にり、微笑びしょうする。

 はじめて飛竜ワイバーン相対あいたいし、自身じしん無力むりょくおもらされたあのから、ドラゴンたお方法ほうほう模索もさくした。退屈たいくつしなかった。模索のてに、自分じぶんにその力はないと結論けつろんした。

 だが、そこであきらめられるほど、正常サニティではなかった。

「なぁ、あんた。このいし魔力まりょくを、発動イグニッションしてくれないか?」

 スピニースは、きんがねの男に、手にしたしめした。この男にこえをかけたのは、比較的ひかくてきはなしつうじそうだと、単純たんじゅん判断はんだんからだった。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第69話 EP9-13 求道きゅうどう/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ