表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/134

第66話 EP9-10  人 対 魔物

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


 アタシはユウカ。まだ十六(さい)可憐かれんな少女で、ピンクいろ長髪ちょうはつで、女にしてはたか筋肉質きんにくしつむねがなく、『ピンクハリケーン』の二つ名でばれる魔物まものハンターだ。

 大砦おおとりで周辺しゅうへんレベル上位じょうい、ワータイガー最上級ハイエンド相手あいてに、一(たい)一で、こぶしで、赤茶色あかちゃいろかわよろいたたかう。無理むり無茶むちゃ無謀むぼうのようで、目的もくてき達成たっせいのための最適解さいてきかいともおもえる。

 ワータイガーは、アタシのばいくらい大きい。全身ぜんしんが、ながうつくしいおおわれる。くろ模様もようはいった黄色きいろい毛の部分ぶぶんと、しろい毛の部分がある。

 二足にそく歩行ほこうで、前傾ぜんけい気味ぎみで、こし緑色みどりいろぬのいて、前脚まえあしうでにした見た目をしている。大きな手には、曲刀きょくとうサイズの白く長いつめが、右も左も五(ほん)ずつびる。

「ほいっ!」

 おそいくるワータイガーの、曲刀きょくとうサイズのつめける。カウンター気味ぎみに、毛皮けがわよこつらこぶしむ。パァンッ!と軽快けいかいおとがする。

 自分じぶんこぶしいためないように、かるはじ程度ていどにとどめる。ダメージなんて、あたえられるわけもない。

「グルルルルッ」

 ふたたうなって、ワータイガーがうごきをめた。ひとみがいよいよ、好奇心こうきしんちたネコみたいに、キラキラとかがやいた。

 曲刀きょくとうサイズのつめが、くろ模様もようはいった黄色きいろの、ながうつくしいおおわれたうでへとむ。自身じしん肉球にくきゅうのある手を見て、にぎって、ひらいて、握る。かおをあげ、たのしげに、アタシを見つめる。

 ワータイガーが、りょうこぶしにぎって、しろい毛にふくらむむねたかさにかまえた。隆々(りゅうりゅう)とした右(かた)まえ半身はんみった。かかとかせて、足裏あしうらまえ半分はんぶん地面じめんんだ。

 おもっていたより、適応てきおうはやい。アタシより、かしこい。

「はいはい。それじゃぁ、第二だいにラウンド開始かいし、ね」

 アタシも、同様どうようかまえなおした。

 アタシのかまえを真似まねてるだけだ。ほんの数発すうはつで、素手すで格闘かくとう体得たいとくできるはずがない。

 ヒュンッ、とかぜおとる。右へとかたむけたあたまの左を、黄色きいろおおわれたこぶし通過つうかする。

 また、ヒュンッ、と風を切る音が鳴る。かがんだ頭上ずじょうを、黄色い毛におおわれたこぶしが通過する。

 右のこぶしを、ワータイガーのはなぱしらんだ。パァンッ!と軽快けいかいおとがした。

 ワータイガーが、一瞬いっしゅんだけビックリした。一瞬いっしゅんだけ目をつぶった。すぐに、キラキラとかがやひとみで、アタシを見つめた。

 ただの見様見真似みようみまねでも、パワーもスピードもある。かすった左(ほお)に、頭頂とうちょうに、ゾワゾワと寒気さむけいずる。

 ワータイガーが間髪かんぱつれずに黄色きいろこぶしを、ける。避ける。カウンター気味ぎみにこっちの拳を、あっ、つぎはやくてなぐひまがない、避ける。

「ちょっ、っ」

 ける。避ける。避ける。

「ちょっとってって!」

 ワータイガーの右ストレートを、上半身じょうはんしんひねってかわす。同時どうじに、一歩いっぽむ。

 つづく左フックを、さらに一歩()み込んで、無理矢理むりやりかわす。後頭部こうとうぶこぶし風圧ふうあつかんじながら、右の拳で白い毛皮けがわあごきあげる。

 パァンッ!と軽快けいかいおとがした。ワータイガーが、一瞬いっしゅんだけビックリした。一瞬いっしゅんだけ目をつぶった。

 アタシは、すかさず、後方こうほうへとステップをんだ。数歩分すうほぶん距離きょりけた。


   ◇


 油断ゆだんすきもありゃしない。すさまじいパワーとスピードは、それだけで脅威きょういだ。

「ふぅっ」

 いきをつく。呼吸こきゅうととのえる。

 りょうこぶしにぎりなおす。たいらなむねたかさにかまえる。

 右(かた)まえ半身はんみつ。かわのブーツのかかとかせて、靴裏くつうらまえ半分はんぶん地面じめんむ。

「さあ、いよいよつぎは、第三だいさんラウンドよ」

 ひじを、左右さゆう外側そとがわへとあげた。わきめて、うでかおまえ交差こうさした。ここからが、本気ほんき本番ほんばんだ。

「グルルッ」

 たのしげにかってくるワータイガーの右ストレートを、右へとステップをんでける。数歩分すうほぶん距離きょりなんて、まばた一回いっかい、ほんの一瞬いっしゅんめられる。

 左ストレートは、右のひじ外側そとがわへとながす。同時どうじに、左のこぶしでネコっつら眉間みけんはじく。

 パァンッ!と軽快けいかいおとがした。

 毛皮けがわの右フックを、素早すばやかがんでかわす。左フックを左(ひじ)でかちあげつつ、右の裏拳うらけんよこつらたたむ。

 わきしたくぐってけて、仕切しきりなおす。

 かまえる。黄色きいろい右ストレートを交差こうさしたうでしあげる。左フックを右にけつつまわむ。

 ってきた右フックを左(ひじ)ながす。黄色きいろ毛皮けがわの左フックを右(ひじ)さえながす。

 ワータイガーの戸惑とまどかおを、真正面まっしょうめん間近まぢかから見据みすえて、笑顔えがおになる。

 ヤバい。たのしい。楽しすぎて、興奮こうふんしてきた。

 後方こうほうへとステップをんで、距離きょりける。

 同時どうじまえへとステップをんだワータイガーの左ストレートが、アタシの顔面がんめんせまる。

「あははっ!」

 わらって、おでこでける。タイミングをわせてり、衝撃しょうげき最小限さいしょうげんおさえる。

 最小限でも、意識いしきびそうだ。仰け反りすぎて、背中せなかから地面じめんたおれそうだ。

 って、たおれそうで、る。まだブーツの靴底くつぞこかんじ、全身ぜんしんに力をみなぎらせる。使つかれないあたまも使って、意識いしきをギリギリでつなぎとめる。

 ワータイガーが、右の毛皮けがわこぶしりかぶって、アタシにおおかぶさるようにせまる。右の毛皮の拳が、いわをもくだいきおいで、アタシの顔面がんめん目掛めがけてってくる。

 アタシは、あたまを右にかたむけて、左のひじで毛皮のうでながして、そのこぶしけた。左(ほお)に、くびごと千切ちぎられそうな風圧ふうあつかんじた。

「うはああああっ!!!」

 全身ぜんしん全霊ぜんれい全力ぜんりょくだ。右のこぶしを、ワータイガーの眉間みけんたたんだ。つづけざまに、左の拳をはなぱしらに、右をあごに、左をのどに、右を鳩尾みぞおちに、叩き込んだ。

 パパパパパンッ!と、にぶく、軽快けいかいおとがした。

 自分じぶんこぶしがどうなるとか、かんがえる余裕よゆうはなかった。まさしく、生死せいしかれる攻防こうぼうだった。

 アタシの二(ばい)はあるワータイガーが、そらへといた。ちて、地面じめん尻餅しりもちをついた。ビックリして、ネコみたいなかおで、かえまばたきした。


   ◇


「ゴォーーアァーー!」

 上空じょうくうに、不気味ぶきみ咆哮ほうこうとどろいた。

 一人ひとり一匹いっぴき世界せかいからもどされて、アタシはそらを見あげた。

 上空じょうくうたかくを旋回せんかいしていた飛竜ワイバーンが、コースをえてはなれる。すぐにきを変え、こちらにけて飛翔ひしょうする。

 再認識さいにんしきした戦場せんじょうは、しずかだった。ひと魔物まものも、すべてがそらを見あげていた。もうだれも、たたかっていなかった。

 飛竜ワイバーン咆哮ほうこういて、呑気のんき戦争せんそうなんてしていられるわけがない。かれたら全滅ぜんめつ必至ひっしなのに、悠長ゆうちょうころっても意味いみがない。

 遠目とおめにも、はっきりと見える。飛竜ワイバーンの、はがねよりもかたうろこおおわれた胸部きょうぶが、赤熱せきねつする。きばの見える口から、ほのおあふれる。

 くための、燃料ねんりょうのチャージが完了かんりょうしたのだ。ワータイガーとのなぐいがたのしくて、時間じかんわすれた。

 もなく、飛竜ワイバーンほのおが、第二波だいにははなたれる。炎がとどけば、このすべては、ひと魔物まもの関係かんけいなく、くされる。

 いつのにか、れていたかぜもない。風がやんで、風音かざおとがなくて、たたかうものがいなくて、戦いのおともない。音もなく、みんなそろって、ただそらを見あげる。

「……うぁっ?! っと!」

 アタシは、唐突とうとつに、状況じょうきょう理解りかいした。ワータイガーにけて、した。その方向ほうこうには、すごいベタベタする大斧おおおのが、地面じめんっていた。

 そして、そらほのおおおわれた。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第66話 EP9-10  いち たい 魔物いち/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ