表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/134

第63話 EP9-7 開戦迫る

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


作戦さくせん会議かいぎはじめる。詳細しょうさいは、各自かくじ資料しりょう確認かくにんせよ」

 コルトルが、装飾そうしょくのない素朴そぼくな木のイスにかえって、開会かいかい宣言せんげんした。

 ここでもっとえら将軍しょうぐんが、実用性じつようせいしかないイスにすわっている。会議室かいぎしつも、石の監禁部屋かんきんべやみたいな、鉄扉てっぴと石のかべゆか天井てんじょうしかない密室みっしつである。

 密室の中央ちゅうおうの、かざのない木の円卓えんたくに、えらぶった騎士きしたちがならく。フォートレスとモノもいる。なぜか、アタシもいる。

 フォートレスとモノがいる理由りゆうは、まだかる。二人とも、知識ちしき武器ぶきとするタイプである。

 でも、アタシが作戦さくせん会議かいぎばれた理由が分からない。経験けいけんかん本能ほんのうたたかうタイプである。

 アタシは、かんがえるのが苦手にがてだ。むずかしいのも苦手だ。

「ふぁ~っ」

 喧々囂々(けんけんごうごう)議論ぎろんながめながら、欠伸あくびする。難解なんかい意味不明いみふめいはないなんて、いてもからない。手元てもと資料しりょうは、んでも理解りかいできないだろうから、ひらにもならない。

 あさはじまって、もうすぐひるだ。昼食時ちゅうしょくどきまでにはわってほしい。

「ユウカも、異論いろんはないのであるな? 軍隊ぐんたい常識じょうしきはずれた布陣ふじんではあるが、魔物まもの討伐とうばつには最善手さいぜんて結論けつろんした。ワータイガー最上級ハイエンドたりにした騎士きしたちも、おおくが賛同さんどうしておる」

 コルトルが、なぜかアタシに意見いけんもとめた。

「いいんじゃないの。はなってめたんでしょ」

 アタシは賛成さんせいした。内容ないようらないのに、反対はんたいする理由りゆうがない。

「さすがはユウカ。豪胆ごうたんであるな」

 コルトルが、ひくしぶこえで、痛快つうかいわらう。

「さては、はなしいておらんかったろう? らしいといえば、らしい」

 フォートレスも、重低音じゅうていおん豪快ごうかいわらった。

 アタシは、二人が、騎士きしたちが笑う理由りゆうからなくて、くびかしげた。


   ◇


 時間じかん淡々(たんたん)る。

 ついに、魔物まもの討伐とうばつせんはじまる。

西方せいほうに、多数たすうの魔物を視認しにん! 地上ちじょうに、大型おおがたやく三十、小型こがたやく三百! そらに、大型の飛竜ワイバーンが一!」

 西にし大砦おおとりでたかかべうえから、拡声器かくせいきこえひびいた。

 西の大砦の壁の外側そとがわには、てまでひろがる。つよかぜき、砂塵さじんきあげる。

てき左翼さよく、ペンタファングボアと小型こがた混成こんせい! 敵、右翼うよく、ハンマージラと小型の混成!」

 飛竜ワイバーンは、空高そらたかくに、すでに見える。かなり大きい。ドラゴンなかではもっと小型こがたで、前肢ぜんしはコウモリけいつばさで、そらぶ。

 ほかは、まだ見えない。集団しゅうだん移動いどうする砂煙すなけむりだけが見える。

布陣ふじんいそげ! てきってくれんぞ! まだとおいと油断ゆだんするな!」

 えらぶった騎士きしが、拡声器かくせいきで、偉ぶったオッサンごえ指示しじす。大門だいもん外側そとがわに、目を見張みははやさと正確せいかくさで、騎士兵士(へいし)たちがかれて整列せいれつする。

 騎士たちは、帝国軍ていこくぐん黒鋼こくこうのプレートメイルで全身ぜんしんおおう。全員ぜんいんが、しろ耐火たいかマントをなびかせる。

 兵士へいしたちは、くろ革鎧かわよろいに、急所きゅうしょ黒鋼こくこう金属板プレートまもる。こちらも全員が、白い耐火マントをなびかせる。

「……やられたっ!」

 アタシは全容ぜんようって、後悔こうかいした。

 帝国軍ていこくぐんは、籠城ろうじょうではなく、かべ外側そとがわでの迎撃げいげきえらんだ。

 飛竜ワイバーン相手あいて籠城ろうじょうしても、一撃いちげき離脱りだつかれれば被害ひがいしかない。

 たいして、てき地上軍ちじょうぐん乱戦らんせんになれば、広範囲こうはんい攻撃こうげきける可能性かのうせいがさがる。大門だいもんにして包囲ほういふせぎ、かべ設置せっちした大型おおがた武器ぶきによる援護えんご期待きたいできる。

 魔物まものとの戦闘せんとう不慣ふなれな帝国軍ていこくぐんにしては、的確てきかく判断はんだんだとおもう。

 でも、まぁ、いまさら後悔こうかいしても、はじまらない。

 アタシは、大砦おおとりでへとく。その中央ちゅうおうたかかべよりも高くた、しろ一番いちばん高いとう天辺てっぺんを見あげる。ほおゆるんだ笑顔えがおで、両手りょうて頭上ずじょうに大きくる。

てき左翼さよく相対あいたいするぐん右翼うよくは、盾兵たてへい五百! 指揮官しきかんはフォートレス殿どの! 魔物まものハンターではあるが、指揮しき能力のうりょくは、練兵れんぺいともにした貴様きさまらがとおりだ!」

『うおーっ!』

 えらぶった騎士きしの偉ぶったオッサンごえ号令ごうれいに、大盾おおたてかまえた騎士兵士(へいし)たちがときこえかえした。

てき右翼うよく相対あいたいするぐん左翼さよくは、長槍ながやり五百! 指揮官しきかんは、コルトル将軍しょうぐん直々(じきじき)指名しめいにより」

 えらぶった騎士きしが、騎士の一人をゆびさして、よどんだ。戸惑とまどっているようにも見えた。

「はっ! わたしは、ノルトリア大尉たいいであります!」

 ゆびさされたおんな騎士きし敬礼けいれいして、ハスキーボイスでこたえた。ほかの騎士たちとおなじく、帝国軍ていこくぐん黒鋼こくこうのプレートメイルだ。黒鋼のハーフヘルムからは、口とあか短髪たんぱつが見えた。

将軍しょうぐん権限けんげんにより、左翼さよく指揮しき貴様きさままかせる。だが、ノルトリアの階級かいきゅう大佐たいさである。つぎ間違まちがえるな」

 コルトルが、ひくしぶこえで、よこから口をはさんだ。

「はっ! あのボンクラが大佐たいさとは、おどろきであります! 帝国ていこくは、いよいよ人材じんざい不足ぶそくきわみなのですね!」

 将軍しょうぐん相手あいてだというのに、口のわる騎士きしがいたものである。ってる内容ないようも、どこかおかしい。なんだか、顔見知かおみしりの魔物まものハンターに雰囲気ふんいきている。

 その顔見知りは、部隊ぶたい指揮しきして魔物討伐(とうばつ)得意とくいそうだったので、ハンターギルド経由けいゆ協力きょうりょくをおねがいした。けれど、てくれなかったようだ。まぁ、本当ほんとうに顔見知り程度ていどなかなので、仕方しかたない。

われてみれば、本人ほんにん大佐たいさ昇進しょうしんしたとほこらしげに主張しゅちょうしておりました。おまえのような家柄いえがらだけの女がコルトル将軍しょうぐんのもとで出世しゅっせできるわけないだろ、とわらばしましたが」

わし見立みたてでは、経験けいけん不足ぶそくいなめぬが、実力じつりょく責任感せきにんかんのある騎士きしである。そのはなしあとにして、いいからいまは、左翼さよく長槍ながやり五百の指揮しきめいずる! ほかものたちも、異論いろんみとめん!」

『うおーっ!』

 コルトルの号令ごうれいに、長槍ながやりかまえた騎士きし兵士(へいし)たちがときこえかえした。

 おかしな会話かいわに、騎士兵士たちの一人たりとも疑問ぎもんはさまない。動揺どうようしない。士気しきをさげない。

 指揮しき統制とうせい徹底てっていされた軍隊ぐんたいだなぁ、とおもった。自由じゆう奔放ほんぽうなアタシには、不思議ふしぎ光景こうけいだった。


   ◇


ぐん中央ちゅうおうは!」

 えらぶった騎士きしが、拡声器かくせいきたからかにさけぶ。

 いよいよ、アタシのばんだ。

「ユウカ殿どの! いち!」

「うおーっ!、って、いや、だから、おかしいわよね!? 部隊ぶたいよね!? 一人はないわよね!?」

 抗議こうぎした。荒野こうやに千人もいる軍隊ぐんたいなか、アタシの周囲しゅういにだけ不自然ふしぜんに人のいない空間くうかんを、うで横振よこぶりしてしめした。

「ユウカ殿どのには、一人で、ワータイガー最上級ハイエンドおさえていただきます」

 えらぶった騎士きしが、きゅうこしひくくしてつづける。

「おかしいはおかしいのですが、作戦さくせん会議かいぎ説明せつめいしたままでして。兵士へいし随伴ずいはんさせましても、足手纏あしでまといにしかならないと、将軍しょうぐんふくめました総意そういとなっております。もっと危険きけん死地しちを、むすめとしわらぬ少女しょうじょ一人にしつけるようで、心苦こころぐるしく、本当ほんとうもうわけない」

 アタシの親父おやじおなじくらいのとしをして、かえあたまをさげる。威圧感いあつかんのある黒鋼こくこうよろいを、肩身かたみせまそうにガチャガチャとらす。

「やはり、作戦さくせん会議かいぎいておらんかったな、ピンクハリケーン」

 フォートレスが、重低音じゅうていおん豪快ごうかいわらった。

「……やられたっ!」

 アタシはもう一度いちど後悔こうかいを口にした。

 こんなことなら、作戦さくせん会議かいぎ真面目まじめいておけばよかった。……いや、真面目に聞いても、どうせ理解りかいできなかったか。

「……やられたっ!」

 アタシはもう一度いちど言葉ことばにした。やるしかないと、覚悟かくごめた。途中とちゅうなにをしても足掻あがいても、この結果けっかわらなかったがした。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第63話 EP9-7 開戦かいせんせまる/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ