表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/134

第54話 EP8-14 穏やかな夕暮れ

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


 木のコップで、水をむ。ガントレットでにぎったかたいパンを、大口でかじる。

 アタシはユウカ。まだ十六(さい)可憐かれんな少女で、両刃りょうば大斧おおおの白銀はくぎんのハーフプレートメイルを愛用あいようする魔物まものハンターだ。ピンクいろ長髪ちょうはつで、女にしてはたか筋肉質きんにくしつむねがなく、『ピンクハリケーン』の二つ名でばれる。

 三日のかわきと空腹くうふくいやされて、かえおもいだ。

 荷馬車にばしゃふち腰掛こしかけて見あげるそらは、夕焼ゆうやけにあかまりはじめている。周囲しゅういでは、てた街中まちなかを、魔物まものハンターたちがいそがしく往来おうらいする。武器ぶきったり、救助きゅうじょ物資ぶっし背負せおったり、けわしいかおをしたり、笑顔えがおだったり、色々(いろいろ)である。

「おつかれさん、ピンクハリケーン。ホワイトウルフのボスをたおしたんだろ? お手柄てがらだぜ」

 少年しょうねんみたいなガラガラごえに、かえる。清楚せいそなる白百合しらゆり相棒あいぼうの、ソイユニがかたわらにつ。

清楚せいそなる白百合しらゆりたおしたみたいなものよ。アタシは、たまたま、トドメをしただけよ」

 アタシは、つかてたかおで、疲れ果てたみをかべた。

「でも本当ほんと、清楚とソイユニがてくれて、たすかったわ。アタシ一人じゃあボスはたおせなかったし、生半可なまはんかなリーダーじゃあ半日はんにち大群たいぐん撃退げきたいなんてできなかったわ」

 ボスをたおしたことで、きた大砦おおとりで占拠せんきょするホワイトウルフのれはりに敗走はいそうした。時間じかんてば、おおくはかべそとげていくだろう。

 救助隊きゅうじょたいはハンターギルドの建物たてもの拠点きょてんいて、ここを中心ちゅうしん安全圏あんぜんけん確保かくほし、ひろげつつある。ハンターギルドの避難民ひなんみんには水と食料しょくりょうくばられ、かならたすけるとの約束やくそくが、ひとまずはまもられる。

「オイラなんざ、凡庸ぼんよう生半可なまはんかなリーダーだったぜ。あつまった魔物まものハンターたちがすごかったんだ。感謝かんしゃするなら、ハンターたちと、それから、フェトにしときな」

 ソイユニが、子供こどもっぽいみをかべ、る。指示しじしにいそがしいなか、ちょっと挨拶あいさつただけらしい。

 フェトは、後方支援こうほうしえん活動かつどうはげんでいるようで、まだえていない。ペンダントもかえせていない。状況じょうきょういたら、ゆっくりはなして、感謝かんしゃして、返そうとおもう。


   ◇


「アタシも、なに手伝てつだおうか?」

 アタシは、ひまあまして、とおりすがりの女エルフにこえをかけた。

「これ以上いじょう名声めいせいひとめはさせません。英雄えいゆうさんは、大人おとなしくすわってやすんでいなさい」

 女エルフが、気位きぐらいたかそうな、ました口調くちょうこたえた。なぜか、ながとがったみみさきまでだった。

「はいはい。もうつかれたし、そうさせてもらうわ」

 荷馬車にばしゃひく背凭せもたれに両肘りょうひじをついて、グッタリともたれかかる。実際じっさい問題もんだい、アタシにできることは、もうない。

 救助隊きゅうじょたい魔物まものハンターたちは、数人すうにん即席そくせきパーティをんで、のこった魔物の討伐とうばつ避難民ひなんみん捜索そうさく誘導ゆうどうへとった。いわ魔法まほう使つかえる魔法使いがいるなら、大砦おおとりでかこかべ応急おうきゅう修理しゅうりもするはずだ。

 のこったホワイトウルフどもは、敗走はいそうしていても、適当てきとうなヤツをリーダーに小さなれくらいはつくる。かべ内側うちがわとどまろうとしたり、物陰ものかげひそんだりもする。

 かくれた魔物まものさがしたり、隠れた住民じゅうみん保護ほごしたり、魔物の急襲きゅうしゅう警戒けいかいしながら大勢おおぜい護衛ごえいとか、脳筋のうきんのアタシにできるわけがない。むしろ、半壊はんかいした街中まちなかあるいたりしたら、自分じぶん迷子まいごになる。ほかの人に迷惑めいわくをかける。

 おな理由りゆうで、清楚せいそなる白百合しらゆりも、ハンターギルドのこわれたぐちまえのボロい木のイスに、しずかにすわっている。だれかにこえをかけては、つよ魔物まもの襲来しゅうらいそなえて待機たいきしておいてください、みたいな言葉ことばもらっている。きっと、ソイユニがみんな知恵ぢえしたにちがいない。

「ありがとね、清楚。最強さいきょうの一人って、やっぱりすごいわね。アンタ一人でも、ホワイトウルフのれくらい壊滅かいめつできちゃうわね」

 アタシはつかれたみで、冗談じょうだんじえつつ、清楚せいそなる白百合しらゆりへとこえをかけた。

 清楚が、こちらを見る。目がう。真顔まがおである。

「ソイユニがうには、わたし一人では、げるザコをけるあいだに、住民じゅうみん全滅ぜんめつするそうです。住民をすくえたのは、おおくの魔物まものハンターがあつまり、協力きょうりょくし、ここまでたからです」

「そりゃまあ、そうだけど。でも、清楚せいそなる白百合しらゆり名前なまえに力があるのは、間違まちがいないわ。その名前があったから、あつまって、たたかって、てたんだもの」

 アタシの称賛しょうさんに、清楚がくびかしげた。がらにもなくむずかしいことをかんがえるように、混乱こんらん気味ぎみだ。おな脳筋のうきんなので、表情ひょうじょうかるのだ。

 しばらく考えていた清楚が、真顔まがおふたたび口をひらく。

「それも、ちがいます。この依頼いらい一番いちばん最初さいしょけたのは、ロリ巨乳きょにゅうちゃん! です!」

 きゅう力強ちからづよく、キンキンとたかひびこえりあげた。

後方こうほう支援しえんとして最初さいしょに、そして、一番いちばん依頼いらいけたのは、依頼主いらいぬしの、ロリ巨乳きょにゅうちゃん! 本人ほんにんでした! ロリ巨乳ちゃんは、ロリ巨乳ちゃんでありながら、ロリ巨乳ちゃんみずから、危険きけん覚悟かくごを見せたのです!」

 アタシは、ビックリした。フェトは、ロリ巨乳きょにゅうだし、魔物まもの研究者けんきゅうしゃ、つまり、ただの一般人いっぱんじんだ。魔物ハンターとちがって、魔物とたたかう力をたないのだ。

 それが、みずかした依頼いらいに、自ら最初さいしょ志願しがんした。安全あんぜん場所ばしょから推移すいい見守みまもるなんてせず、ほかみんな一緒いっしょに、むしろ率先そっせんして、危険きけん地帯ちたいへとんだ。

「ちなみに、戦闘員せんとういんの最初は、わたしです! ロリ巨乳きょにゅうちゃんと、おな一番いちばん、おそろいです!」

 清楚せいそなる白百合しらゆりが、自慢じまんげにこえりあげた。

「これほどの魔物まものハンターたちをあつめたのは、こころうごかしたのは、ピンクハリケーンの知名度ちめいどでも、清楚せいそなる白百合しらゆり名声めいせいでもありません! ロリ巨乳きょにゅうちゃんの、人徳じんとくです! おもり、感謝かんしゃしなさい、ロリ巨乳ちゃんに!」

「……そう、そうね。感謝かんしゃしてるわ。やっぱり、フェトは、すごいわね」

 アタシは、ひく背凭せもたれにもたれて、夕焼ゆうやぞらを見あげる。

 オレンジいろまったくもが、あかそらにぽつりぽつりとかぶ。とおくに、家路いえじいそとりごえこえる。

 数刻前すうこくまえまで魔物まもの闊歩かっぽしていた瓦礫がれきの山に、どこかで救助きゅうじょされた子供こどもたちがはしゃいでのぼった。見ていた大人おとなたちも、一緒いっしょになってわらった。空気くうきが、平和へいわ日常にちじょうはやもどりたいとうったえるように、おだやかにながはじめていた。

 アタシは、ああ、本当ほんとうに、たくさんの人たちをすくうなんてだいそれたことができたのだなあ、と夢見心地ゆめみごこち微笑びしょうした。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第54話 EP8-14 おだやかな夕暮ゆうぐれ/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ