表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/134

第28話 異変

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 このくに数年前すうねんまえまで、王国おうこく統治下とうちか安寧あんねい平和へいわ享受きょうじゅしていた。

 帝国ていこくぐん侵攻しんこうで、それはもろくもくずった。

 帝国は魔王まおう復活ふっかつさせ、魔王配下(はいか)魔物まものの力をり、圧倒的あっとうてきつよさで王国を征服せいふくした。国には魔物があふれ、秩序ちつじょうしなわれてしまった。

 魔物が見境みさかいなく人間にんげんおそい、人間はとりでみたいな町をつくってを守る、無法むほう世界せかいがここにはある。


   ◇


 見張みはやぐらにあがった。ホトクの森をかこむために建設中けんせつちゅうかべの、上端じょうたん設置せっちされたものだ。宿泊しゅくはく施設しせつからは、きたにしばらくあるいた地点ちてんだ。

 現在げんざい建設中けんせつちゅうみなみとはぎゃく方向ほうこうである。南のほうには、木や金属きんぞくおととおひびく。目をらせば、木々(きぎ)あいだうまや人がうごくのが見える。

 フェトが、爪先立つまさきだちで背伸せのびして、見張みはやぐらかご三角さんかく屋根やねあいだ空間くうかんから、北西ほくせい方向ほうこう双眼鏡そうがんきょうのぞく。しばらく右へ左へと双眼鏡をり、満足まんぞくするとおろす。ゆかすわり、興奮こうふん気味ぎみほほあからめ、このあたりとはちが地図ちずひろげてなにやらむ。

 ずっと、そのかえしである。

 双眼鏡そうがんきょうは、はる遠方えんぽうが見える魔力付与品エンチャントアイテムらしい。立地りっちわせて、いまだにデータのない範囲はんい調査ちょうさできると、たのしげにはしゃぎっぱなしである。

 なにをどうして何がどうなっているのか、はからない。地図ちず魔物まもの位置いち情報じょうほうとかをいているのだけは分かる。

 フェトは、金髪きんぱつ銀縁ぎんぶち眼鏡めがねでロリ巨乳きょにゅう魔物まもの研究者けんきゅうしゃだ。アタシのいまやとぬしだ。

 アタシはやとわれの護衛ごえいなので、わるのをつしかない。かごゆかすわみ、かべもたれ、あたまうしろに両手りょうてんでまくらにして、るしかない。

 案内役あんないやくのジョッテンは、こんなところでも書類しょるいひろげて書類整理(せいり)している。せわしない人である。

「ねえ、ジョッテンさん。最近さいきんの、きた大砦おおとりでかんする情報じょうほうってってない? ここだと、いろんな人があつまるでしょ?」

 ひまなので、いてみた。

 小砦しょうとりでかん情報じょうほうは、ハンターギルドや行商人ぎょうしょうにん仲介ちゅうかいとなってひろまる。魔物まもの討伐とうばつ有名ゆうめいハンターの活躍かつやくなら、吟遊詩人ぎんゆうしじん噂話うわさばなしで広まることがおおい。

 大砦おおとりで情報じょうほうは、滅多めったはいらない。ちかづくだけで命懸いのちがけゆえに、往来おうらいがほとんどないのもある。

 それくらい、なか情報じょうほう断絶だんぜつしてしまっている。かべそと蔓延はびこ魔物まものが、情報の往来おうらいまでもさえぎってしまう。郵便ゆうびんとか魔力まりょく通信つうしん普及ふきゅうしていた王国おうこく時代じだいなつかしい。

情報じょうほう、情報ですか、はい、はい。きた大砦おおとりでは、四大砦の中でも、もっとも情報管制(かんせい)きびしいとわれています。滞在者たいざいしゃが北の大砦からたというおはなしも、いたことがありません、もうわけ、申し訳ありません」

 ジョッテンが平身低頭へいしんていとうあたまをさげた。

「やっぱそうよねー。ちょっといてみただけだから、あやまらなくていいわよ」

 アタシはわらいながら、手をヒラヒラと前後ぜんごった。

 ゴツいオッサンがお用心棒ようじんぼうは、見張みはりについた。かべこう、北東ほくとう方向ほうこう監視かんしちゅうだ。

 いよいよ、やることがない。

「……ひまだわ。くぁっふぅ」

 アタシは、つぶやいて、欠伸あくびをした。


   ◇


「……くしゅんっ」

 アタシは、クシャミをした。てた。きた。

 なんだか、肌寒はだざむい。帝国ていこく北部ほくぶというほどきたではないし、さむいとかんじる季節きせつでもない。なのに、肌寒い。

「あらあらまぁまぁ。いしんぼうのユウカさんが、お料理りょうりかおりにさそわれて、目をおましになりましたわ」

 フェトが、嫌味いやみっぽく、くすくすとわらった。

「おお、おお、ナイス、ナイスタイミングです、ピンクハリケーンさん。時間じかん丁度ちょうどよいことですし、ご一緒いっしょに、昼食ちゅうしょくにしましょう。四人でかこむバスケットランチは、きっと、きーっと、美味おいしい、美味し~~~いですよ」

 ジョッテンが、バスケットをけ、食事しょくじして、ゆかいたランチョンマットにならべる。クロワッサンのサンドイッチとか、ピックでまとめたサラダとか、オシャレなランチである。

 ジョッテンの満面まんめん笑顔えがおが、たのしそうだ。昼食ちゅうしょくが楽しい、よりは、昼食のせきもうけることが楽しいようだ。もっと正確せいかく表現ひょうげんするなら、みんな一緒いっしょにする食事しょくじのセッティングが楽しい、だろうか。

「とても美味おいしそうですわ。このような場所ばしょで、そのように素敵すてきな食事をたのしめますなんて、素晴すばらしい趣向しゅこうですわね」

 フェトが、持参じさん毛皮けがわ敷物しきものにして、くず気味ぎみ正座せいざした。

 オッサン用心棒ようじんぼうも、無言むごんうなずき、胡坐あぐらをかいた。

にくもあるわよ」

 アタシも、革袋かわぶくろから干し肉をし、胡坐あぐらをかいた。

淑女レディ! すわかた!」

 フェトにするどひざはたかれた。

 仕方しかたなく、渋々(しぶしぶ)と、フェトを真似まねすわる。あままめまんで、口にほうむ。上品じょうひん料理りょうりは、あまり口にわないと再確認さいかくにんする。

「とても美味おいしいですわ。ジョッテンさんがおつくりになりましたの?」

「はい、はい。おずかしながら、料理りょうり趣味しゅみにしております。お口にいましたのなら、ええ、ええ、さいわいです」

 昼食ちゅうしょく雑談ざつだんたのしむフェトとジョッテンをながめながら、にくかじる。こっちのほう筋肉きんにくわたる。満足感まんぞくかんがある。

 用心棒ようじんぼうも、自前じまえの干し肉をかじっている。さすがである。こうランクの魔物まものハンターは、かくあるべきと確信かくしんする。

 アタシも、自前じまえにくかじる。目のまえに、白く小さなものが、ヒラヒラとりる。なんとなく手をし、てのひらける。

 けてえた。小さなみずたまになった。

 不可解ふかかいと、くびかしげる。見たことのある、なん変哲へんてつもない、水を、不思議ふしぎなものを見つめる。

 ……ゆきだ。肌寒はだざむい。

 あわててちあがる。見張みはやぐらの、かご三角さんかく屋根やねあいだ空間くうかんから、周囲しゅういを見まわす。

 っている。ゆきが降っている。帝国ていこく北部ほくぶというほどきたではないし、さむいとかんじる季節きせつでもないのに、雪が降る。

 小さな白がチラチラと、あた一面いちめん空間くうかんおどる。

冗談じょうだんでしょ? 天候てんこうえるレベルの魔物まもの?」

 かごからかおだけして、下方かほうの森を見おろした。建設中けんせつちゅうかべれ目のあたりに、森をっ切ってはしる、細長ほそながゆきかたまりみたいなものが見えた。

 たかさが木々(きぎ)よりひくいから、森にかくれてしまって、よくは見えない。ながさは、長すぎてからない。ひらべったいどう側面そくめんからえた無数むすう針脚はりあし不規則ふきそくうごかして、地面じめんくようにすすむ。

 森をってはしっているのに、木がれない。たぶん、木をったりしのけたりしながら走っていない。しんがたいことに、ゆきかたまりみたいな魔物まもの巨体きょたいが、木をけてかれたり、元通もとどおりにくっついたりしている。

うそよね? こんなとこに、千足氷虫せんぞくひょうちゅう?」

 アタシは、混乱こんらん気味ぎみつぶやいた。

 帝国ていこく北部ほくぶでも、かなりのつよさの魔物まものだ。大砦おおとりで周辺しゅうへんか、帝都ていと北側きたがわにいるようなヤツだ。

 だけではない。まだとおいけれど、千足氷虫せんぞくひょうちゅうつづくように、かなりのかず魔物まものせまる。この森にけてせる。

「なななななっ?! なんですか、あれはっ?! あれはっ?!」

 となりからかおしたジョッテンが、みだしてさけんだ。あわいてたおれて、オッサン用心棒ようじんぼう背中せなかささえられた。

「アタシがるわけないでしょ」

 アタシも動揺どうようしたこえこたえた。こんな光景こうけいは、これまで一度いちどたりとも見たことがなかった。

 アタシのあたまなかで、こころの中で、色々(いろいろ)思考しこうが、感情かんじょう渦巻うずまいて、グチャグチャになっていた。



帝国ていこく征服せいふくされて魔物まもの蔓延はびこくにで女だてらに魔物ハンターやってます

第28話 異変いへん/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ