連続式神負傷事件
「おはようございます」
立花は新一へ挨拶をする。が。
「立花、行くぞ」
「え」
「人間界へ仕事だ」
「はい！」
人間界
「今日は、何の？」
立花は新一に聞く。
「式神が負傷して発見された」
「え！？」
立花は驚く。
「しかも複数」
「！」
新一は付け加える。
「どうやら、式神の紙であるヒトカタが一部無くなっているらしいんだ」
「もしかして」
「何かのツクモガミの仕業だ」
新一はそう答える。
「分かりました。私も手伝います」
「さて。どうするか」
新一は考え込む。
「手がかりは？」
立花はそう尋ねる。
「皆、神社の敷地内で発見されている」
「神社……」
「ひとまず、現場の神社へ行ってみるか」
「はい」
立花はふたつ返事で答えた。
神社
「あれ？ 誰かいる」
立花は神社にいる二人に気付く。
「そうみたいだな」
その二人は振り返る。
「やぁ！ お二人さん」
「初めまして」
二人は笑顔を向けた。
「え！？ どちら様ですか？」
立花は驚く。
「申し遅れました。私たちは黄道十二宮団の双児宮、金田一一と申します。こちらは巨蟹宮、藍上淡海」
「よろしくどうぞ」
二人はそう挨拶した。
「黄道十二宮団の目的は何だ？ 本当に日本支部の為だけに来ているのか？」
新一はそう問う。
「えぇ。もちろんですとも」
一一が笑顔で答えた。
「……」
新一は黙る
「どうやら、式神が切り刻まれて、見つかったそうだね？」
「なぜ、それを！」
一一の指摘に新一は驚く。
「神様から、原因究明を依頼されまして」
一一は笑顔で答える。
「そうだったんですね。こちらこそ、よろしくお願いします」
立花は状況を受け入れて、頭を下げる。
「いえいえ」
一一も会釈をする。
「こうなったら、犯人のツクモガミを見つけるしかないですね」
「はい」
淡海の提案に立花は返事をする。
「それでは、天界へ戻りましょうか？」
「どうするのですか？」
立花は一一に問う。
「真実の水晶に聞きましょう」
「はい」
天界 神殿
「ここが神殿かぁ」
一一は天上を見上げる。
「こちらに真実の水晶があります」
立花は二人を案内する。
「ありがとう」
一一は微笑んだ。
「では、早速」
「真実の水晶様。今回の事件の犯人は誰ですか？」
『ハサミのツクモガミ』
水晶にはそう映った。
「なるほど。だから、式神が切り刻まれていたんだな」
淡海は納得していた。
「犯人のツクモガミは今、どこに？」
立花の問いに水晶は答える。
『神社』
「皆、行こう」
「はい！」
神社
神社に着くと、何か白いものが舞っていた。
――風？
――これって、紙？ まさか、風に乗って式神の切り刻まれた紙が！？
「新一！」
「急ぐぞ」
四人は神社の敷地内へと入っていった。神社の鳥居をくぐると一人のツクモガミが立っていた。
「お前が！」
「ハサミのツクモガミか！」
淡海は聞く。
「あぁ。そうだ。そう言ったら、何だ？」
ハサミのツクモガミ、結城悠希は振り返り、四人を睨む。
「始末する！」
一一と淡海は彼、悠希に襲いかかる。しかし、刃物ではじかれた。
「一筋縄ではいかないか」
「そのようですね」
――結界であの刃物を封じれれば、いいのかな？
立花はそう考える。そして、結界を張る。すると、刃物が固定された。
「何！？ 結界！？」
悠希は焦る。
「これで、終わりだ！」
新一は大鎌を振り下ろす。ザクッ！ 悠希は大鎌に斬られた。
「淡海！ 今のうちだ！」
一一が叫ぶ。
「あぁ！ 分かってる！」
一一と淡海は地面を走り、五芒星を描く。
「さぁ！ 魔界に帰れ！」
一一がそう叫ぶと、五芒星の中心が開いた。
「うわぁぁぁ！」
悠希の断末魔が響いた。そして、五芒星が閉じた。
――終わったみたい。
立花は胸を撫でおろした。
天界
「立花！ 良かった、無事で」
環は安心していた。
「それより、傷ついた式神たちは大丈夫なの？」
立花はそれを気にしていた。
「大丈夫そうですよ」
「主任！」
三枝が微笑んだ。
「良かった」
新一も立花の隣で安心していた。
「これで一安心だな？ 新一？」
美人は彼の肩を叩いた。
「そう言うお前の式神も被害に遭ってただろう？」
「まぁ。そうなんだがな」
美人は苦笑して、困惑していた。
