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書類守護神  作者: 津辻真咲
7/12

ツクモガミ

「おはようございます」

「おはよう」

 新一は眉間にしわをよせながら、立花に挨拶をする。

「どうしたの?」

「この資料、神様から頼まれたんだ」

 新一は立花に資料を見せる。

「ん? 連続神社放火事件?」

「あぁ、そうなんだ」

「なるほど。現場に行くしかないですね」

「だろうな。行くぞ」

「はい」



 人間界 神社

「出火原因は何だ?」

 新一は立花に聞く。

「うーん。資料には表の障子かららしいです」

「そうか」

 新一は少し、考え込む。

「?」

 立花はそんな彼を首をかしげて見る。

「人間には迷惑をかけるな」

「そうですね」

 立花は苦笑する。

「ん?」

 すると、彼女、立花は何かを見つけ、しゃがむ。

「どうした?」

 新一は彼女に問う。

「これ、何の破片だろう」

「木の破片?」

「木材?」

「そうか! マッチの柄だ!」

 新一は気付き、叫ぶ。

「ということは! マッチで放火!?」

 立花は驚く。すると、後方から声がした。

「ここの神社の神は殺害されたのだろう?」

「誰!?」

 立花と新一は振り返る。

「初めまして。黄道十二宮団の白羊宮と申します。こちらは金牛宮」

「初めまして」

 白羊宮の有中武ありなか たけしと金牛宮の天野ジャックが挨拶をしてきた。

「何者だ!」

「そう構えずに。私たちは天界の海外支部です」

 武がそう言う。

「海外支部。そうだったんですね」

 立花は少し、安心する。

「で? 何の為に来た?」

 新一は厳しく、聞く。

「ツクモガミ」

 武はぽつりと呟くように言う。

「え?」

「……」

 新一は黙る。

「日本支部の神々に不穏の兆しが出ている」

「だから、来た」

 横道十二宮団の二人はそう言う。

「ということは」

「ツクモガミは唯一、神々を殺害出来る存在。今回はマッチのツクモガミの仕業かもしれない」

「そうか」

 新一は納得した。

「日本支部の天界へ案内してくれないか?」

「分かった」

 ジャックの申し出に新一は了承した。



 天界

「そうか。わざわざ海外支部から……」

「ありがとうございます」

 京発と由貴の二人は、礼を言う。

「いえいえ」

 そんな二人に、武は微笑む。

「今回の事件の捜査に加わってもらえませんか?」

「分かりました」

 武は頭を下げた。



 神殿

「ここで何を?」

 ジャックが彼、新一に聞いた。

「真実の水晶にそのマッチのツクモガミの居場所を聞くんだ」

「なるほど」

 武が微笑む。

「真実の水晶様。ツクモガミの居場所をお教えください」

『神社』

「立花、行くぞ」

「はい!」



 神社

「そこまでだ!」

マッチのツクモガミ、大石凛おおせき りんが振り返る。

「お前が、……」

 立花は驚く。

「お前ら、書類守護神か!」

 彼女、凛は聞く。

「そうよ!」

 立花はそう答える。すると。

「お前らに邪魔はさせない!」

 凛は炎を吐く。それに応戦して、立花は結界を張る。

「くそっ! 結界かぁ!」

 凛は再び、炎を吐く。すると、それが神社に燃え移った。

「そんな! 神社が!」

 立花は焦った。

「ハハハハハ!」

 凛は高らかに笑った。すると。

「そうはさせるか!」

 新一が大鎌で斬りかかる。しかし、凛は熱風を吐く。

「うわっ!」

「新一!」

「そう簡単にはいかないな」

 武は呟く。

「どうしよう」

「俺に任せろ!」

 武の姿が消えた。

「え!? どこ!?」

「あいつは、高速移動が出来るんだ」

 ジャックがそう説明する。

「高速?」

「俊足なんだ」

 ジャックは立花の問いに答える。立花は凛の方を見る。

「いい加減にしろ!」

 武は凛を蹴る。ドゴッ! ドサッ!

「くそっ! よくも!」

 凛は再び、炎を吐く。武はそれを避ける。

「ウロチョロしやがって!」

 武は炎を避け、再び、足蹴りをする。

「あれは!」

 立花は驚く。地面に五芒星が出来ていた。

「魔界に帰れ!」

 ゴォォォ! 五芒星の中心が光り、魔界への入口が出来た。

「うわぁぁぁ!」

 凛の断末魔が響く。そして。ヒュ。五芒星が閉じた。

「一件落着!」

 武は立花に笑顔を向けた。



 天界

「今回はありがとうございました」

 京発は頭を下げる。

「いえいえ」

 武は笑顔で謙遜をする。

「あなたたちの予知によれば、これからも起こるとか」

「えぇ」

 ジャックがそう一言。

「これからもよろしくお願い出来ますでしょうか?」

「もちろんです。我々、黄道十二宮団にお任せ下さい」

 武は頭を下げた。

「黄道十二宮団か」

 新一は遠くから見ていた。

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