天界
「おはようございます」
「ん?」
立花は首を傾げる。天界が慌ただしい。
――一体、何が?
「立花! 大変なの!」
環が立花に話しかける。
「どうしたの?」
立花は聞く。
「神様の気配風が弱まっているの!」
「え!? ということは! 天界の結界が弱まっている!?」
立花は驚く。
「えぇ。そうなの!」
――大変だ!
「一連の魂の回収・転生の不手際で神様の気が疲弊したんだろう」
新一が説明する。
「そうかも」
立花は少し俯きかげんで言う。
「天界に侵入者がなければいいが」
「そうだね」
ドゴォォォ! 轟音が響いた。
「何!?」
立花も驚く。
「立花! 大変!」
美人が走って来た。
「どうしたの!?」
「十二支団が天界に乱入して来たんだ!」
美人はそう説明する。
「え!?」
立花は声に出して、驚く。
「立花! 現場に向かうぞ!」
「はい!」
立花は、新一に返事をすると、彼のあとをついて行った。
「あれは!」
二人は驚いた。死神や死期神たちが応戦していた。
――過去に倒した十二支団の妖怪まで!?
「復活しているのか!」
新一も驚く。
キィィ。金属音が鳴る。
十二支団の戌の剣が新一の大鎌と組み合う。
「お前らの相手は私たちだ!」
戌、川出花楓がそう言い放つ。
「何!」
亥、沢澤紗和が槍を投げて来た。しかし、立花の結界にはじかれた。
「一筋縄ではいなかいか!」
「お前らの目的は何だ!」
新一が叫ぶ。
「天界の支配だよ! 俺たち妖怪はどうせ地獄行きなんだよ!」
花楓は叫ぶ。
キィィ。再び、金属音が響く。
「切れるものなら、斬ってみろよ! その鎌でな!」
紗和が叫ぶ。
――あの剣が邪魔だわ!
立花は結界で戌、花楓の剣を固定する。
「な! 何だ!」
彼女は慌てる。
「そこまでだ!」
新一は大鎌で花楓を斬る。
「うわぁぁぁ!」
花楓は倒れて、小さな妖怪になる。
「くそっ! お前ら!」
紗和は槍を投げるが結界にはじかれる。
「そこまでよ!」
立花は亥の足を結界で固定する。
「何!」
紗和は一瞬、慌てる。
「うりゃ!」
すると、新一は大鎌で紗和を斬る。
「うわぁぁぁ!」
紗和は小さな妖怪になった。
「立花! こっちも終わったよ!」
「環!」
立花は環に駆け寄る。
「良かった。みんな無事?」
「えぇ。大丈夫よ」
環は笑顔で答える。
「皆さん、大丈夫でしたか?」
京発と由貴がやって来た。
「神様!」
「今回は本当にありがとうございました」
由貴が微笑む。京発は十二支団の方を見る。
「十二支団の皆さん。天界でお仕事をしてみませんか?」
「あぁ!?」
紗和は不機嫌そうに、悪態をつく。
「あなたたちは強い。しかし、私たちには警備部がない」
「どうです?」
京発と由貴が話す。
「警備部? 何すんだ?」
花楓がそう言う。
「警備部なんだから、警備だろう」
新一がぴしゃりと言う。
「うるせー」
花楓は少し、小声で悪態をつく。
「どうなの? やるの? やらないの?」
環が迫る。
「地獄行き、免れるかも?」
立花が首を傾げる。
「何?」
花楓が興味を持つ。
「どうしますか?」
由貴は笑顔で言う。
「どうするよ?」
花楓は紗和や他の十二支団に聞く。
「いいんじゃないか?」
「それじゃ、決まり。皆さん、十二支団の皆さんを元の姿に」
京発は皆にそう言う。
「はい」
皆、手をかざす。すると、十二支団が皆、元の姿に戻った。
「これで、皆さん。世界の輪の中に入れましたね」
由貴が笑顔でそう話す。
「はい」
立花は笑顔になる。
――まぁ。一件落着か。
新一は少し微笑んだ。