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04 ミナモ


 討伐メンバー三人目は、ミナモ。


 えーと、俺の嫁候補なのです。


 以上。



「……」


 なにやらミナモに睨まれているような気がしないでもないので、補足紹介を。



 出身は俺と同じ東方の某国、


 と言いますか、家が隣同士の、いわゆる幼なじみ。


 由緒正しい薙刀道場の次女。


 道場始まって以来の逸材と幼い頃から評されて、


 本人は期待に応えるかの如く、いや、期待を遥かに上回る勢いで、その才能を開花。


 一番近くで見ていた俺には、その成長は眩しいくらいでした。



『乙女を泣かせるな』が、幼い頃からのミナモの口ぐせ。


 もっとも、泣かされていたのは俺の方だったのですが……


 それと言うのも、明らかに才能に差があったにも関わらず、修行相手と言いますか覚えた技の練習台は、いつも俺。


 こちらも痛い目に遭ってばかりは嫌だったので、ぼこぼこにされぬよう、もとい、遅れを取らぬよう、防御・回避の技術を必死に自己流で鍛錬しました。


 おかげで、体さばきに変なクセが付いちゃったらしくて、後程説明しますが、我が家に伝わる正道の流派を学べなくなりまして。


 えーと、この件はミナモには内緒でお願いします。



 話しが逸れましたが、ミナモについてですね。


 成長したミナモは、周囲の期待以上の業前を修めました。


 成人の儀も迎えていないのに、免許皆伝と称される程。



 ただ、ああ見えて、ミナモは優しい娘なんです。


 このまま自分が道場を継げば、長女である姉に申し訳が立たないと悩む程に。


 で、当主であり師範である母上様に、次期当主の座を賭けて勝負を挑みました。


 自分が勝ったら次期当主は姉上にと迫ったミナモに、


 母上様、大激怒。



 結果は、ミナモの勝利でした。


 当然、道場に居づらくなったミナモ、


 ますます励む様になった鍛錬の相手は、やはり、俺。


 鍛錬の際、悩み事を吹っ切るかのごとく、その気持ちを俺にぶつけて打ち込んでくるミナモ。


 今の俺が一角の剣士として成せているとすれば、


 あの頃のミナモのお相手を務め上げたおかげかもしれません。



 そしてお互い、成人の儀を迎えますが、


 儀式から帰ってきたミナモに母上様が命じたのは、俺の兄上との婚姻。


 驚いたミナモが俺に相談しようと隣の道場に駆け込むと、


 俺、既に家を出て、行き先不明。



 ミナモ、キレました。



 家宝の薙刀『桜刃斬流』を引っ掴み、急ぎ家を出る旅支度。


 母上様、またも大激怒。


 道場総出でミナモを止めようとしますが、ことごとく返り討ちに。


 俺の家からも父上殿と兄上と、ついでに門下生一同とで止めようとしましたが、


 無様、いや失礼、無惨にも返り討ち。



 旅立つ際に、それまで何もせず何も語らずだった姉上からいただいたという一通の書状。


 内容についてミナモは語りませんが、


 周囲のあれこれに流されず、幼い頃から仲睦まじかったあの姉妹。


 絶対に恨みつらみの類では無い事、俺には分かります。



 俺を追っての旅路。


 俺でさえ荒事に事欠かなかった長旅、


 うら若き乙女であるミナモのひとり旅は、


 どれ程であったことかと悔いる俺に、


 ミナモは一言も語りません。


 俺はただ、心の内で首を垂れるのみ、です。



 こちらに到着してからの出来事は、


 以前に語った通り。




 そして今は仲間として、用心棒や冒険者稼業に勤しむ毎日。


 お互い、良き友人にも巡り会えました。


 ただ問題は、モノカさんたちが用意してくれた一軒家での二人暮らし。


 あらゆる意味で、俺、日々修行中。


 頑張れ、俺。



「何やら遠い目をしておられますね」


 流石ミナモ、侮りがたし。



 それでは次は、最後のメンバー紹介こと、


 俺語り。



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