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17 慰労会


 あの後、めちゃくちゃハグられました。


 アイネさん以外からも、ですよ。


 何なんですか、あの無双乙女たちは。


 挨拶がわりに奥義を使ってハグられたら逃げられるわけないだろ。


 そもそも葉裏崩しって技は、ちょっと見たくらいで出来るようになる技じゃないぞ。


 奥義流出、ダメ、絶対。



 そんなこんなで、報告会兼慰労会。


 モノカ邸の居間にて、全員集合で歓談の宴。



「お疲れさまでした、シナギさん」


 本当に疲れましたよ、カミスさん。


 主にここに到着してからですけど……



「とんでもなく大変な魔物と遭遇したそうですね」


 カミスさんも十二分に気をつけてください。


 俺はアレには二度と会いたくないです。



「そんなにヤバい奴でしたか」


 男としての矜持が試されます。


 負けたら、生還出来ても人生詰みますよ。



「怖すぎますよぅ」


 けんちゃんが滅多に出ない魔物だって言ってましたから、それだけが救いですね。



 ……せっかくの慰労会なのに、カミスさんを脅かし過ぎたかな。


 でも、備えあれば憂いなし。


 平穏な生活は、有事への備えが有ってこそなのですよ、師匠殿。




 っと、さっきの奥義の件、早めにミナモに釘を刺さねば。


 ちょっとそこの娘さん、さっきのアレはいかがなものかと。



「『乙女を泣かせるな』ですよ」


 いや、わけ分からん。


 そもそもなぜ、アイネさんが泣くことに?



「この鈍感駄目助……」


 いやいや、鈍感なのも駄目なのも、自分で先刻承知だけど、


 ミナモだけは泣かさないよう頑張ってきたつもりだが、



「……」


 そんな表情で無言で見つめられても……


 っていうか、さっきのハグの嵐の時、何で助けてくれなかったんだよ。



「シナギは、カミスさんやアランさんの家族生活について、どう思います?」


 どうと言われても、仲良し家族万歳、としか。



「つまり、仲睦まじい家族が欲しいのですね」


 そうなるね。



「分かりました。 それがシナギの本心ならば、私も覚悟を決めましょう」


 覚悟?



「乙女を泣かせるような振る舞いを良しとせず、アランさんやカミスさんのような仲睦まじい家族を望む」

「それがシナギの覚悟なら、妻たる私に何の迷いがありましょう」


 妻……



「御不満でも」


 ございません。



 突然、拍手喝采。


 周りのみんなが笑顔で祝福してくれております。


 俺、困惑。



 あ、そうか。


 今のは、ミナモなりのプロポーズ。


 すまん、ミナモ。


 確かに鈍感駄目助だよな。



 って、ミナモ、泣いてるじゃないか。


 どうする、俺。


 そんなの分かんねぇよ。


 すまん、ミナモ。


 これしか思い浮かばん。



 ぎゅっ



 拍手喝采が大喝采に……




 と言う訳で、ミナモが嫁候補から、妻に。


 ミナモの覚悟をはぐらかすのだけは絶対に嫌だったので。


 そんな感じで、俺、結婚。



 何と言いますか、


 自分の生涯という舞台の扉の、


 鍵がかちゃりと開いたような、


 鍵をがちりと掛けられたような、


 何とも言えぬ、不思議な心持ち。



 そんな俺に訪れる、更なる危機。


 要するに、先程以上の、ハグの嵐。



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