13 報告
けんちゃんたちが『転送』で去り、
残るは、眠り続ける乙女が三人と、俺。
乙女たちは、多分アヤさんが用意してくれたのであろう、ふかふか毛布の上。
三人仲良く並んで、ぐっすりと。
三者三様の見目麗しい乙女の寝姿。
こんなに素晴らしい光景なのに、俺には目の毒とはこれ如何に。
アヤさんの話しでは、あの『えろスライム』の精神攻撃の影響はもう残っていないとか。
もうじき目が覚めるそうなんですが、
…………
何と言いますか、俺も男なんだな、と。
眠り姫たちにアレな事をしちゃっては、『えろスライム』と同レベルにまで堕ちちゃうわけで。
でも、その、ほっぺつんつんくらいなら、バチは当たらないんじゃないかな、なんて。
……迷いながらも見つめていたら、
ぱちくり
ミナモと目があっちゃったよ。
ちっちゃな欲望を叶える機会損失、実に残念無念。
でも、寝ている乙女をどうこうするより、
起きてる乙女とどうこうなりたいっていうのが、
へたれなりの、俺の、矜持。
目覚めた乙女三人の、体調に問題無い事を確認。
アイネさんの魔力切れは、アヤさんが癒してくれたようです。
本当に、ありがとうございました。
落ち着いた後、皆に経緯を報告。
魔物名は『えろスライム』
雌雄あり。
発生頻度は極稀。
討伐の際は、全滅防止のため男女混成パーティー推奨。
生物を操って繁殖行為させ、発生した精神エネルギーを吸収する。
分裂はしないが、雌雄そろうと繁殖される危険性ありなので、見つけたら最優先で討伐すべし。
意思疎通可能かどうかは不明だが、感情らしきものはあり。
攻撃手段は、睡眠・頭痛などの体調操作と、強制繁殖のための精神操作。
物理防御は、かなり高い。
魔法防御も、めちゃくちゃ高い。
弱点は、呼吸阻害又は停止による窒息。 つまり溺死が有効。
最後に、『鏡の賢者』さんと『伝説のメイド』さんの多大なる協力があった事を告げる。
シェルカさんとミナモは、あのおふたりについては噂程度でしか知らないようでしたので、詳しいことはモノカさんに聞いてください、と丸投げ。
『えろスライム』に繁殖させられかけた乙女たちは、それぞれ三者三様の表情。
怒っていたり、恥ずかしがったり、複雑そうだったり。
もし俺が操られてたらと想像すると……怖すぎる。
『えろスライム』オス、
正に、乙女の敵、でした。
というわけで、帰還しましょうか。




