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11 一閃
一歩ずつ近づくたびに、気分の悪さが増す。
でもな、近付かなきゃぶっ壊せないんだよ、珠。
ようやく『ぶなしめじ』の間合いへ。
策は、無し。
学んだ流派も、役には立たない。
あるのは鍛えた身体と『ぶなしめじ』
とりあえずやる。
駄目なら、それから考える。
全力で『ぶなしめじ』
って、弾かれたぞ、ちくしょう。
柔らかい何かを限界まで詰め込んだような、とにかく嫌な感触。
ごめんみんな、限界だ。
めちゃくちゃ気分が悪くて、
我慢出来ずに膝をついた。
目の前には、珠。
突然、その表面が気色悪く揺れて、
くちびる?
人そっくりのくちびるが、にやりと笑った。
この笑い方、見た事あるぜ。
自身の勝利を確信した奴の、笑み。
気付いたら、俺も同じ笑みを浮かべてた。
珠を地面から刈るように、
渾身の『ぶなしめじ』一閃。
すぐに、気を失う。




