10 珠
シェルカさんの指示は、全員一緒に離れず行動し、
珠に近付いて、破壊。
意識を失ったアイネさんを、ミナモが背負っている。
心配する目線に、ちょっとだけうらやましげな視線が混じったら、
ミナモに、にらまれた。
流石ミナモ、読心術かよ。
全員で慎重に近付く。
辺りは剥き出しの地面。
変な匂いは全くしない。
アイネさんは消滅と言ってたけど、浄化に近い効果かも。
ゆっくりと、珠に、近付く。
シェルカさんも、俺の『ぶなしめじ』の首切りに頼れない事は承知済み。
今のところ、珠に、動き無し。
隊列は、俺が前衛右側、シェルカさんが前衛左側、
アイネさんを背負ったミナモが後衛中央。
更に、近付く。
嫌な気配は増すばかり。
何か、ヤバい。
珠に動きは無いけれど、
近付くほどに嫌悪感が増す。
シェルカさんの意見を聞こうと目線を向けたら、
突然、力無く崩れ落ちるシェルカさん!
支えようとしたが間に合わない。
地面に伏したシェルカさんは、
眠ってるだけのように見える。
ミナモはと見てみれば、
同様の有り様。
体勢から、アイネさんに衝撃を与えないよう、かばいながら倒れたことが、分かる。
流石ミナモ、それでこそ俺の嫁候補。
すぐにみんなを助けたいが、俺、回復関係、専門外。
そもそも倒れた原因が分からねば、治療法も分からず対処も出来ん。
いや、原因は分かっている。
あの珠だ。
落ち着いて慎重に状況判断、
って、それどころじゃねぇよ、
今すぐ、ぶっ壊す。