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王妃もだます 罪悪感など1ミリもない

文中、読者を煽るような表現がありますが。ご容赦ください。

実際彼女はそういう人だったため、リアルな彼女という実像をお見せするために

煽り表現を使っています。本当に嫌な女性だったようです。


 私が「王の愛人になる」ための目下のライバルは、ルイーズ・ド・ラ・ヴァリエールという女なの。


 彼女は私とは全く違うタイプで、いわゆるいい子ちゃん。ヴェルサイユには珍しいいい子ちゃんだったわ。


 私はルイ14世を愛していたのか、ただ権力の座が欲しかったのか、自分でもわからないけれど、彼女は本当にルイ14世を愛していたのよ。


 お金も宝石も要らない、王の愛だけを求める。彼女は花にたとえるとスミレのようだと皆は噂していたわね。


 私を花にたとえるなら、深紅のバラでしょう。バラとスミレ。スミレは雑草の一種ですから、比べ物にならないはずなのだけれど。


 でも、ルイ14世は彼女に惹かれたのです。なぜかはわかりません。というか、聞いて知ってはいるけれど、そんなことどうでもいい。


 王の公式愛妾のポジションにいるのは、このルイーズ・ド・ラ・ヴァリエール。彼女から奪い取らなくては。それだけ。


 かといって、つつつと王のところに行って「お茶でもどう?」などとは誘えないわ。


 だから、私が人を利用した。誰かって?マリー・テレーズ王妃、そのひとよ。



 あなたが言う事はわかっているわ。


 スペインから輿入れした王族である王妃を利用するのは、けしからん! と、こうでしょう?


 王妃の夫がルイ14世なのですものね。妻を利用して夫を奪うのだもの。


 バカバカしい。


 そんなことをいっているからあなたの人生は変わらないのよ。私は王の愛人になると決めたのだから、くだらない倫理観は捨ててしまったわ。いえ、もともとなかったわね。一応しおらしく見せて生きてはきたけれど。


「欲しいものは全部手に入れたい」私の行動基準はこれだけだったの。


 スミレのようなルイーズ・ド・ラ・ヴァリエール。裏表のない人だったから、皆から好かれていたわ。王の寵愛をひけらかすこともないの。ほんと、出来た子よね。


 でも、私は大嫌いだったわ。死ぬほど嫌いだったのよ。名前を聞くだけで虫唾がはしったわ。


 この世界にもう一人彼女を嫌いな人がいてね、誰だと思う?それがあのバカな王妃よ。


 なぜかって?そりゃ当たり前でしょう?自分から夫を奪った女ですもの。憎いに決まっている。夫を取られた妻としたら、そんなことで嫉妬の炎は消えないものでしょう。たとえルイーズの性格が優しくても、ルイーズが先に王を誘惑したわけではなくても。


 あなたが女ならその気持ちはわかるはず。


 で、王妃をそそのかしてみたの。ほら、私は彼女の侍女をやっていたから、王妃と話すチャンスはいくらでもあったのよね。


「王妃様、ルイーズ・ド・ラ・ヴァリエールの最近の態度は目に余りますわね。王妃様のご心中、お察し申し上げますわ。もしよろしければ、ルイーズがこれ以上、傲慢な態度をとらないように、私がルイ14世さまのお気持ちをそらしてさしあげます」


 どういうことかわかる? この時代は、王妃自身が愛されなくても、王妃のグループにいる侍女などが王の気持ちをとらえていれば、王妃は一安心なのよ。


 中国などでもこういう例はあるわ。 皇妃がライバル関係にある愛妾に皇帝を取られるのが嫌で、自分のところに取り込んだ若い娘を使って皇帝に取り入らせる。


 王妃は嬉しそうに言ったわ。


「まあ、うれしい。フランソワーズ。あなたは優しい人ね。ぜひそうしてくださいな」


 これで決まり。私がルイ14世を誘惑しても、王妃は自分のために動いていると思うはず。

でも残念、私は王妃の手先なんかじゃない。


 私にはたぐいまれな美貌、戦略的な頭脳、行動力、ウイット、全部そろっているのだもの。

夫も子供もどうでもいいわ。ルイ14世の気持ちを振り向かせられるなら。





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