39. 第八死合!悪役令嬢vs道化の転生ヒロイン[ボーナスステージ]《追撃の堕淫魔獣》
カレリンは敵よ!
この屈辱をわたしは決して忘れないわ!
リメンバー・ズンドウタイケイ!
ノーモア・ボンッキュッボンッ!
カレリンは自分のヒマラヤを誇り、わたしの慎ましいスレンダー体型を馬鹿にしたッ!
臥薪嘗胆!
この恨み!晴らさでおくべきかッ!!
だけど、この時のわたしはまだ知らない。
わたしの決意を嘲笑う、とっても恐ろしい追い討ちがわたしを待ち受けていることに……
「わんわん♡」
今、この魔法学園にはとっても愛らしい仔犬が出没しているの。
すっごく可愛くて女子に大人気なのよ。
これは一種のブームね。
わたしも何度かとてとてと学園内を歩く姿を見つけたことがあるんだけど、前世の世界にいたホッキョクギツネの子供みたいにふっさふさの真っ白な毛並みで、もうねメッチャメチャ可愛いの!
それに、この子ってすっごく人懐っこいのよ!
だけど不思議と男子生徒には決して近づかないのよね。
特に清掃隊員達を恐れているのか、彼らの気配を察知すると脱兎の如く逃げて行くの。
逃げていく現場を何度か目撃したわ。
もしかしたら男子に虐められた経験でもあるのかしら?
男の子って乱暴よね。
子犬は今日も学園に来ているみたいね。
青髪の清楚な女生徒(くッ!大人しそうな顔して胸大きいわね)に抱かれて、気の強そうな赤髪の女生徒(こっちもデカい!)から頭を撫でられながら餌を貰っているわ。
いいなぁ……
わたしも抱っこしたい。
だけど、あの子が他の女生徒の側にいる間は無理よね。
だって、今のわたしは気軽に学園の女生徒達には近づけないもの。
それもこれも全てはカレリンの仕打ちのせいよ!
そう心の中で悪役令嬢への悪態をついていたんだけど――
ジィーーーッ
――ってなんか視線を感じるんですけどぉ?
どこから……って足元か――ッあ!
白い子犬がわたしを見上げてる……自分からわたしの所に来てくれたんだ。
もしかして、これもヒロイン補正かしら?
ふふふ……もしかして抱かせてくれるのかな?
ん?だけどこの子の視線って、わたしの顔よりずっと下にいっているような……
え!?この子ってわたしの胸見てない?なんで?
あっ!今、この子犬ため息ついたわ……
なんかやれやれって感じで首を横に振ってるんですけどぉ!
プイッて顔背けてどっかいっちゃったんですけどぉ!
「まあ見てあの子」
「クスクス……犬にも見放されるほど魅力がないのね」
「まあ、あの薄い胸ではねぇ……ふふふ」
「プッ!それはそれは可哀想に……」
「本当に哀れねぇ。同情を禁じ得ませんわ……くっくっくっ」
ぐわぁ!また女生徒達に嘲笑されたぁ。
後から知ったんだけど、あの白い子犬は悪役令嬢カレリンの飼い犬だったのよ!
飼い主とペットが揃いも揃ってわたしをバカにしてぇ!
もはや愛しさ余って憎さ百倍!
この恨み晴らさでおくべきか!
悪役令嬢カレリン・アレクサンドールぅぅぅ!!!
貴様はわたしの――ッ!
(尊厳の)全てを奪った!
やはりカレリンは明確な敵だッ!!!
ヒロインの胸のサイズにがっかり……(都鳥様より賜りました)




