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11. 第五死合!悪役令嬢vs逆襲のスピードスター【対戦予告】

「さて……今回のカレリンの対戦相手は、なんと隠れ攻略対象の暗殺者タクマ・ジュダーです。彼は乙女ゲーム内では腕利きの暗殺者としてカレリンの前に立ちはだかる存在ですが、今はスピードスターの二つ名を持つミスリル級冒険者!果たしてカレリンはこの凄腕冒険者との対決に勝利することができるのでしょうか。


それでは、令嬢類最強!にレディィィゴォー」

 俺の名前はタクマ・ジュダー。


 王都でそれなりに知られた殺し屋だ。



 5年前まではアレクサンドール領でミスリル級の冒険者として名を馳せていた。2つ名は《スピードスター》。その名の通り敏捷さが俺の武器だった。


 そんな俺をどん底に落としたのがアレクサンドール侯爵の娘カレリン・アレクサンドールだ。



 当時まだ11歳だったカレリンが王都へ向かうにあたり護衛として俺たちのパーティーが選ばれた。


 通常、貴族の護衛は騎士の仕事だが、運が悪いことにアレクサンドール領に大規模な山賊が出現し、その対応に追われて手の空いている騎士がいなかったのだ。


 その護衛の最中に件の大山賊がカレリンを人質にしようと出現した。


 その数100人以上……さすがの俺たちも多勢に無勢。絶体絶命と思われたその時、馬車からカレリンが降りてきた。



「この程度の相手に手子摺るなんて、これだから下賤な冒険者は……」



 カレリンは必死に戦う俺たちに侮蔑の目を向けると呪文を唱え始めた。



「お、おい!いったい何を……」



 カレリンの魔法が完成する。



――ごごごおぉぉぉぉッ!!!



 暴風がこの一帯を襲った。


 いや暴風などという生易しい代物ではない。

 大木が薙ぎ払われ、大地が裂け、人間など簡単に吹き飛ばされた。


 その台風で俺たちごと山賊を薙ぎ払うと、何の興味も示さずカレリンは馬車にサッと乗り込んで、俺たちを残してさっさと王都へ行ってしまった。


 辺りの惨状は酷いものだ。山賊もほとんどまともに動けるやつはおらず、パーティーも俺を残してみんな全滅。やっとの思いで王都へ辿り着けば依頼不履行の上、敵前逃亡の汚名を着せられ俺の冒険者生命は絶たれたのだ。


 落ちぶれた俺は、しかし戦う事しか能がなく、いつの間にか裏社会に身を置くようになり、気がつけば裏社会で暗殺者として名が売れていた。


 もう光の当たる場所には出られまい。魔法を満足に使えない所詮は敏捷だけが取り柄の男。こんな場所がお似合いなのさ。


 俺は自虐し、いつか来る終わりを待つだけで、あとは命令を粛々と熟す生きる屍のような毎日を送っていた。


 そんな俺を変えたのが彼女との出会いだった……



(乙女ゲームヒロインとのご都合主義的出会いから暗殺者にあるまじききゃっきゃうふふの展開が延々と続くので割愛)



 俺は彼女との愛に生きることを誓い、彼女を虐げるあの女、俺の因縁に終止符を打つべくカレリン・アレクサンドールを打倒するために立ち上がった。


 俺の中にあの女への復讐心は燻っている。火を消したばかりの焚き火の跡のように、その暗い憎悪の焔はいつでも燃え上がりそうだ。


 だが、それ以上に俺の彼女への愛が……



(この後、恋に盲目な暗殺者のヒロイン賛美と小っ恥ずかしいきゃっきゃうふふの愛の告白が続くので割愛)



 待っていろカレリン・アレクサンドール!

 俺は自分の復讐の為ではなく、彼女への愛の為にお前を討つ!



『暗殺者タクマ・ジュダーの誓い「復讐を乗り越え愛の為に!」(恋の魔法を教えます外伝)』

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