プロローグ2
「次の方、どうぞ」
そんな声に、ハッと目が覚める。
「あ…あれ?」
真っ白な空間にカウンターテーブル越しに座るきれいなお姉さんと俺。
次の方と、呼ばれた声を聞いたと思ったらこの状況だ。
まったく理解できない…。
「それではまず、あなたの死の状況からご説明しますね。あなたは1週間前、事故に巻き込まれてお亡くなりになりました。葬儀、死亡届の受理も無事に終了し、生界での手続きがすべて完了致しました。」
こちらがまったく状況を掴めないポカンなことも百も承知ですと言わんばかりにまったくの無視で、事務的に説明を始め、お姉さんの言葉と共に突然正面に現れたスクリーンを指し示す。
「こちらのスクリーンをご覧下さい。」
「え…死……?状況…?」
状況にも言葉にもまったく理解が追いつかず、言われるがままにスクリーンを見ていると、俺が毎日通っていた駅前のコンビニが写し出された。
そして、そこに入っていく見覚えのあるヨレヨレスーツを着た冴えない男。
間違いなく、俺である。
しばらくすると、物凄い勢いでコンビニに突っ込んでいく大型トラック。
壁もガラスも商品も、すべてを押しつぶすかのように破壊された大惨事の事故映像だった。
残念ながら無音映像で、音による迫力は一切無いが、それでも事故の悲惨さは伝わってきた。
そして、唐突に理解した。
「あ…俺…死んだんだ…。」
「ご理解頂けたようですね、ご視聴ありがとうございました。」
変わらず淡々と話すお姉さんの言葉と、死を受入れた冷静になった心で、あたりを見回す。
すると、せっかく落ち着いた心が今度は興奮で熱くなってきた。
「理解しました!そして、死後この真っ白な空間にいると言うことは、つまり異世界に転生「できません」する…え…?」
(落ち着け…俺!否定の言葉が聞こえた気がしたがそんなはずはない!)
そうだ、やり直してみよう。
「つまり異世界て「できません!」ん…せ…え!?」
かなりの食い気味で否定を入れてくるお姉さん。
「できない?」
「はい。」
「異世界に?」
「行けません。」
「死後の真っ白な空間と言えば転生のテンプレでしょ!?」
盛大にため息を吐いたお姉さんはものすごく面倒くさそうな顔を隠しもせず、こちらに向けて言ってきた。
「ここは死後の待機所へ向かうただの受付カウンターです!」