1話
初投稿です。
走る。
ただ前を見て、足をせわしなく動かし続ける。
こちらを諦めの目で見る執事やメイドたちを避けながら、ただ目的の人物を探して駆け回る。
自分の部屋、彼女の部屋、父の執務室、リビング、応接室、ゲストルーム、厨房etc。
すべて探したけどいなかった。ということは残るはただ一つ。あの場所だけ。
陽の光が差し、緑あふれる我が家自慢の庭園。
ほら見えてきた。彼女だ。見間違えるわけがない。
地面につきそうなほど長く、しかし全てが光に反射して、まるで金糸の様な綺麗な金髪。
大理石のように白く透き通った肌。その眼には世界全てを見通すかのような理知の光が煌めき、整ったしかし幼い顔立ちや体つきを覆す力強さにあふれていた。
だがそんなことは関係ない。まだ彼女はこちらに振り向いていないが、彼女のことだ。等に気づいていることだろう。
現にこちらが庭園に一歩踏み入れた時から重心が低くなっている。すなわち彼女も俺がこれからすることを容認しているということ。
だから遠慮せずに行こう。
ほら、あと十歩ほどで彼女に届くから。だからいつも通り彼女に声をかけるんだ。
右手に持った木刀を振りかぶって俺は今日も彼女、師匠に呼び掛けつつ、振り下ろす。
「今日こそ年貢の納め時だ。クソ師匠!!」
「やれやれ。また何も考えずに突撃か」
このお話は、どうしても師匠に勝ちたい少年とその師匠のお話である。
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