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冬の匂い  作者: 桃アゲハ
3/21

第3話 始まり

次の日の夜、仕事が終わってビリヤード台で遊んでいると3人がやってきた。



「おつかれ〜」



真っ先にビリヤード台に飛んできたのは涼。



「優奈ちんビリヤード気に入った??」



「うん。きのうちょっとだけやっただけだけど・・・おもしろかった。」



「じゃ今日飲みの後、俺が教えてあげる」



「うん。」





涼は無邪気に笑ってる。


かわいい笑顔。


人懐っこい性格の涼は簡単にわたしの心の中に入ってきた。



「じゃーいくぞ〜!!」



蓮さんがドアを空け外に出る。




そとは真っ暗で雪がちらついている。

雪が近くのゲレンデから漏れる光に照らされキラキラと輝く。


キレイ。


やっぱりここに来てよかった。



「優奈ちん行くよ〜。」



先頭で希と蓮さん、その後ろをヒロさんが歩く。

わたしといったら雪に見とれていていつの間にか置いてきぼりに・・・。

そんなわたしを戻って呼びに来てくれた涼。

自然と笑顔になるわたし。



「手、貸そうか??」



雪で慣れない足元に気が付いたのか涼が手を伸ばす。



「ありがとう。でも大丈夫。」



恥ずかしいのもあって大丈夫なんて言っちゃった。




「優奈〜。大丈夫??早くおいで〜。」



遠くから希が叫ぶ。

大丈夫って・・・わたしに気がつかないで先に行っちゃったんじゃん。

いつから蓮さんたちと仲良くなったわけ??


心の中でぶつぶつ言いながらも必死に歩く。



その横をわたしに合わせて歩く涼。



「ごめんね。歩くの遅くて・・・。」



「はぁ?大丈夫だって。気にするな〜。」



さり気なく気を使ってくれる涼にうれしくなるわたし。



「優奈遅〜い。」



オシャレなバーの入り口で希がわたしに抱きつく。



「ごめんごめん。」



そう言ってお店の中に入る。



お店の中はお客さんがいっぱい。

でもお客さんって言っても平日なので観光客ではなくここでリゾートバイトをしている人たち。



「いらっしゃい。」



すごくキレイなお姉さんが迎えてくれた。



「蓮くんまた女の子引っ掛けてきたの??」


「え??違うって!!」


「冗談。」


「去年俺がいた店で今年働いてる子たち。優奈ちゃんと希ちゃん。」



お姉さんと蓮さんの会話にみんなで爆笑。



「わたしナオミ。ここのオーナーやってます。いつでも来てね。」



そう言って名刺を貰った。



わたしたちが未成年だと知っているナオミさんはお酒を出すのを迷っていたが蓮さんの押しにわたしたちの前にも初めてのビールが出された。



「苗場の出会いに乾杯」



蓮さんの言葉にグラスを交わす。




3人の話を聞いたり反対に質問攻めにあったり。

楽しくお酒を飲んだあとビリヤードをしようということになり、コンビニに向かった。



「わたしもやってみたい!!蓮さん教えて!!」



そう言って希は蓮さんにべったり。


2人きりの世界って感じでビリヤード教室開始。



お酒が入ってるせいなのか希は積極的。



希を見つめるわたしの横で涼がソファに腰をかける。



「希ちゃん蓮くんと仲良くない??」



「ははっ。蓮も楽しそうじゃん。」



ヒロさんと涼の会話にうなずくわたし。



「優奈ちんって彼氏は??」



「えっ、、、いやいないよ。」



いきなりの質問にごもってしまった。

・・・。



「苗場でいい出会いあるといいね。」



涼が言う。



「うん。」



なぜか普通に呟いてしまった。




と、その横でいきなりしゃがみ込むヒロさん。




「やべ。吐きそう。」



吐く??


飲みすぎ??


そういえばヒロさんの顔真っ赤。



「大丈夫??」



後ろから声をかえるが応答がない。



「ヒロさん??」



・・・。



「お水いる??」



・・・。


無言のヒロさんを見つめるわたしと涼。







一分経過。






「治った。」




「早っ。」



涼の素早い突っ込み。




もぅ。。心配しちゃったじゃん。



しゃがみ込むヒロさんのフードを軽く引っ張った。



「お〜っ。」



軽く引っ張ったつもりが後ろに倒れそうになるヒロさん。


危ない。


ヒロさんの背中を両手で止める。



セーフ。



「お前な〜。」



怒られると思って目を閉じると頭をポンポンっと大きな手が触れた。



「ガキだなー。まったく。」



ガキとか言われてるのに優しい声にビクっと心臓が跳ねる。




昨日初めて会ったヒロさんの印象からは全然考えられない優しい声と行動に胸がキュンとした。







「優奈ちん、ビリヤードやろ〜。」





ビリヤードのキューを渡す涼。


昨日始めたばかりのビリヤード。

まだ全然できないけれど楽しさはわかる。


苗場にいる間に上達するといいな。


涼は笑わせながらも丁寧に教えてくれた。



「わたし、もう寝る〜。」



酔っ払いの希が手を上げた。



「部屋連れてった方がいいんじゃない??」



ヒロさんの声。



「わたし連れてく。わたしも今日はもう寝るね。おやすみ。」



希の腕を取って3人に手を振る。


ビリヤードをやりながらも缶ビールを飲んでいた希はベロンベロンに酔っ払っている。


まったく。。。

こんなになるまで飲んで。



「だいじょうぶ??」



「うーーん。」



低い返事。

まだ寝ないでね・・・。



希を布団まで連れていき、ふと時計を見る。

深夜3時。

わたしも寝よう。



お酒を飲んでいたこともあり、久しぶりにすぐ眠ることができた。







次の日からちょこちょこ3人は遊びに来るようになった。

だんだんと3人の性格もわかってきて、いつの間にか気軽に遊べる友達になっていった。



蓮さんは極度の女好きで、いろんな女の子との噂が耐えない。

女の子と遊ぶ時間が多いからかここ、コンビニに遊びにくる事も少なくたまーにやって来ては違う女の子を連れている。



ヒロさんは初めは無愛想だったけどわたし達に慣れてきたのかだんだんと話かけてくれるようになった。

結構優しくて3人のうち1番しっかりしている。



涼。涼は同い年なのにかわいく見えてしまう。

誰にでも優しくて人懐っこくて、嫌なことがあってもニコニコしてて周りを明るくしてくれる涼。



そんな3人とバイトの仲間に囲まれて年を越した。







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