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冬の匂い  作者: 桃アゲハ
2/21

第2話 出会い

それから数日が過ぎ、アキとかおりが帰る日がきた。 


「いつでも連絡してね。」


寂しくなるからとそれだけ言って車に乗ったアキとかおり。

短い間だったのにこんなにも別れが淋しいものなんだと初めて知った。



みんなで見送るといつものように仕事開始。 




今日は初めて寮の一階のコンビニを任された。




「優奈。へんなやつら来たら追い返していいからね。」



エリカさんの言葉に元気に「はい。」と言ったが、『へんなやつら』の意味がわからなかった。

へんなやつら?? 

どんな人のことを言ってるんだろ・・・っと一人笑い。




それにしても平日は暇。コンビニだと言うのにお客さんがなかなか来ない。 




「暇だ〜。」




有線放送を合わせて好きな曲を探す。 


レジ下の大量のマンガ本を読む。 


それでもやっぱり暇〜。




その時だった。 




「寒い!!腹減った〜」



ドアを開けながら誰かが叫ぶ。 





三人組の男の人たち。





「…。」




「あれ?新入り?」




三人は店内にある大きなストーブの前に座り、スノボの帰りなのかブーツを緩める。


もしかして・・・これが例の『へんなやつら』?? 


わたしはあまり関わらないようにしようとマンガを読んでるふりをした。 





「ねーねー。なにちゃん?」



三人のうち一番背の高い人が声をかけてきた。 

なんて軽そうなやつ。 



「俺、涼。17歳よろしくー」



あたしを無視に勝手に自己紹介してきたこの男、涼。



「名前は?」



引きつったわたしを見兼ねてかまともそうな男が言った。 



「優奈です。」



仕方なく答える。 



「俺は蓮、22歳。こっちはヒロ、同じく22歳。」



蓮さんが近寄ってきた。大人っぽくて涼とは全然違った。

 


「優奈ちゃんってゆーんだ。俺ら去年ここでバイトしてたんだよ。今年は近くの店にいるんだけど。エリちゃんとか仲良くしてるからよくここに来るんだよー。なのでよろしく。」



エリカさんが言ってた『へんなやつら』って・・・

やっぱりこの人たちのことだ。 




涼は初対面なのにレジの前で聞いてもいない話をずーっとしてた。 


暇だったわたしには丁度よかったりもする。 


話してるうちに涼は夜また来るからみんなで話そうよっと誘ってくれた。 




ここに来て初めての友達ができたようでわたしはなんだかうれしくて『うん』と返事をした。


ストーブ前から離れない蓮さんとヒロさんは二人で何か話している。 



「涼そろそろいくぞ。優奈ちゃんまたね。」



蓮さんがスノボの板を持ち立ち上がる。



「じゃ。」



軽くお辞儀をしてドアを出るヒロさん。それに対して



「優奈ちんバイバ〜イ」



無邪気な涼。

変な三人組だったなぁ。

でも涼とはいい友達になれそう。





夕方、希が戻ってくるとさっきの事を話した。 



「イケメンいた??」



希は何をいいだすのか。



「え〜。どうだろう。」



希はふーん。といった感じであたしを見る。 



「優奈はずっと彼氏いないんだし、ここでみつけてもいいんじゃない??」



希はここに来る前まで彼氏がいた。

それに変わって中学卒業して以来彼氏のいない。いや、好きな人もできないわたし。 



わたしだって彼氏欲しいし、恋したいよ。今まで付き合った人がいないわけじゃないけど…次に付き合うならわたしが本当に好きって思える人がいい。 



「優奈はもっと自分から出会い探さないと一生彼氏できないよ!あたしが優奈の彼氏見つけてあげる。」



「え、、、そこまで言わなくても。それに遠慮しとく!」



「まあまあ。遠慮しなくていいから。」






コンビニだけはお土産屋と違って朝9時から夜8時までバイトでそこから夜勤の人に交代に。

先に終わった希がわたしが終わるまでお店で待ってくれた。



8時近くになり交代の修さんが来た。


例の三人を連れて。 




「優奈ちんお疲れー。」



涼だ。 



「あれ?お友達?」




「わたし希。優奈と同級生です。」




「希ちゃんね。俺は涼、こっちが蓮くんでこっちがヒロくん。」




「修。ビリヤード借りるぞー。」



涼と希の会話を聞こえてないかの様にビリヤード台に向かうヒロさん。 



「あいつ人見知りするから。ごめんな。」



ヒロさんのフォローをする蓮さん。 



「お前ビリヤードやったことある?」



タイムカードを押したわたしが荷物を置きに部屋にもどろうとした時だった。

無口なヒロさんが口を開いた。 



「ビリヤードなんてやったことないです。」



ぶっきらぼうに答えるわたし。



「ふーん。じゃいいや。」



ふーんって何よ。なんか嫌な感じ。



「希。あたし部屋行ってくるね。」



涼との会話で盛り上がっている希をおいてわたしは部屋に戻った。 



ヒロさんなんか感じ悪ーい。

絶対仲良くなれないタイプ。

とか考えながら部屋に荷物を置き、気が重いが下のコンビニに降りた。 





涼と希はまだ話をしている。 





「優奈ちゃん。一緒にビリヤードやらない?」



「さっきヒロさんにも言ったんですけどビリヤードなんてやったことなくて。。。」



「じゃー教えてあげるよ。なっヒロ。」



「はっ?・・・別にいいけど。」



はっ?って何よ。別にって何なのよ。ヒロさんの一言一言が気に入らないあたし。 



「蓮さん教えてくださいよ〜。」



「いや〜俺これから女の子迎えに行かなくちゃいけないんだ。また今度。」




・・・。 




そうです。


三人のうち一番軽い男=彼、蓮さんでした。 



「ってことでヒロの相手よろしくー。」



蓮さんはそう言って店を出て行った。 



ビリヤードやらない?って誘っておいてなんなのー!!

ヒロさんの相手をしてろって事だったんだね・・・



はぁ。



後ろを見ればビリヤード台で1人必死に練習するヒロさん。 



無愛想で感じ悪いと思ってたけど真剣な表情がかっこいいかも。と一瞬、本当に一瞬だけ思ってしまった。




「ヒロさん。」




「ん?」




「ビリヤード教えてください。」



真剣なヒロさんを見ていたらそんなに楽しいのかと思ってためらったけど教えてもらうことにした。




「教えてやるからうまくなれよ。」



「え?」



「冗談。じゃあこっち来て。」



何??今の? 

今までとは全然違うやわらかな言葉。



疑問符を浮かべながらもヒロさんの言う通りに教わる。



「最初だから仕方ないな。」



そう言って1つ1つ丁寧に教えてくれる。





思ってたよりもいい人なのかな? 




ビリヤードの事以外会話が無いまま一時間近く。


思ったよりビリヤードにはまりそうなわたし。






「優奈、部屋行かない?」



涼と話していた希がわたしの服を掴んで言った。 



「う・・うん。ヒロさんありがと。」



引っ張られる服のせいでヒロさんに一言だけしか伝えられないまま二階へと戻された。 




「希、急にどうしたの?」



「優奈。涼くんの家わたしたちの家と近いみたいだよ。しかも同い年だし。彼女無し。」



どんだけリサーチしてるんだよ、希。



「優奈。涼くんいいじゃない?」



「いいじゃない?って言われても・・・」



「ダメなわけ?」



「ダメじゃないけど。」



「じゃー頑張ってみなよ!」



「えぇ?」



「のんびりしてる時間はないよ!」



のんびりの前に涼のこと良く知らないし。

今日だって希が話してたから話せなかったのに。




「とにかく明日の夜みんなで飲みに行こうってなったから。よろしく。」



「明日??」



「話は早いほうがいいでしょ」



「・・・・。」



展開の速さにわたしの頭が着いていかない・・・。

希ってこんなキャラだったっけ?!



わたしたちは夜遅くまであの3人の話で盛り上がっていた。




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