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冬の匂い  作者: 桃アゲハ
17/21

第17話 明かされた過去

家に帰ってからも修さんの顔が忘れられないでいた。

いつもの修さんじゃなかった。

ベットに寝転び考えている時だった。



『もしもし。』



連さんからの電話。



『優奈、再来週の土曜日バーベキューするんだけど来ない?』



「ん?」



『ん?じゃなくて。希ちゃんと一緒に来いよ。』



「ん?うん。」



「なにかあったん??」



「う・・・ん。ちょっと。」



いつもだったら用件だけの連さんが珍しくわたしを気にかけてくれた。


さっきあったことを話すと連さんは笑いだした。

わたしには、笑えない事なのに・・・。



『優奈も鈍感だからな〜。修は昔から優奈のこと好きなんじゃない。』



好き?

わたしのことを?



『ヒロだって涼だって気が付いてると思うよ。』



「うそ。」



『ホント。修も健気だよな。』



「なんで?」



『ヒロが先に帰った時も、3年前の花見に来れなかったのも全部理由を知ってたんだよ。ヒロには幼馴染の女がいて、ヒロの彼女にしてくれないならヒロの好きな女見つけ出してヒロの前に現れないようにしてやる、って脅しまでしてヒロを束縛してた。山にも戻って来れなかったし、花見も来なかっただろ。それ、みんな知ってたんだよ。でも修は優奈が傷つくから理由は知らない振りしてほしいって。』



「そうなの?」



連さんが話してくれたヒロさんに起こっていた事実。

修さんの気持ち。

初めて知った。



『まぁ、修はいつでも優奈のことを考えてたんじゃない?』



「・・・・。」



『でもこのままだと修がかわいそうだぜ。優奈に気持ちが無いんだったらはっきりしないと。』



「どうしたらいいの?」



『それは俺が言えることじゃないだろ。優奈の気持ちそのまま言ったら。』



「う、ん・・・。わかったぁ。」



『バーベキューは絶対来いよ。』



「う、うん。」



切られた電話を握り締めてそのままベットに顔をうずめる。



この後わたしはどうすればいいのだろう。




・・・・。



3年前の真実。


修さんの気持ち。


なんで一度に聞いちゃったんだろ。


― 優奈の気持ちそのまま言ったら ―


連さんの言葉が頭に浮かぶ。




持っていた携帯で修さんの番号を探す。


修さんの気持ちに気が付かないで修さんの気持ちに甘えていたわたし。

ひどい。

わたしって最低。



電話をかける勇気もなくメールで伝えようと文章を考える。



・・・・。

なんて言おう。



文章につまりながらも長い文を書き上げた。



「ごめんなさい。」から始まり「ごめんなさい。」で終わったその文章。

感謝の気持ちと、ヒロさんを思うわたしの正直な気持ちが詰まったそのメールを送信する。



修さんがわたしにしてくれたこと・・・。

数えきれないくらいたくさんある。

感謝しても感謝しきれないくらい。

大好きだったよ。


仲間として、人として・・・大好き。




1時間位経っただろうか、修さんからのメールが届いた。


『優奈の気持ちなんて昔からわかってたよ。ヒロくんがうらやましかった。側にいても優奈のこころの中にはいつでもヒロくんがいて、どんな思いをしてもその気持ちが変わらないこともわかってた。優奈の側にいられるだけでいいって思ってた。思ってたけど・・・またヒロくんに会って同じ事を繰り返すんじゃないかと思ったら、自分が優奈を守りたいって思ったんだ。さっきはごめんね。』



・・・。

修さん。


ごめんなさい。


自分だけが傷ついてると思っていた3年前。

ヒロさんを思うわたしの気持ちを知りながらわたしの側にいてくれた修さん。


わたしよりも辛かったと思う。


ごめんなさい。


自分の事しか頭になかったんだ・・・わたし。



「ごめんなさい。修さん。ありがとう。」



今のわたしが言える精一杯の気持ち。



『こちらこそありがとう。これからもずっと友達でいてくれる?』



「もちろん。ずっと友達だよ。」



恋って難しい。

わたしが思っても届かない思いがあって。

相手がわたしを思ってくれても受け入れられないこともある。






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