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冬の匂い  作者: 桃アゲハ
13/21

第13話 失恋

告白を決意してから何日経ったのだろう。

かけてもいいと言われた電話も結局1度もかけずに時間だけが過ぎた。



ヒロさんからの電話があってから2週間、気持ちの整理もつき生活も落ち着いてきたのを機にに、電話をかけることにした。




最後の1つのボタンを押すのにどのくらいかかっただろう・・・。

手にヘンな汗までかいてきた。


心臓の音がコール音と共に高鳴る。


どうしよう・・・。

いきなり不安になるわたし。



「はい。」



出た。



「ヒロさん。久しぶり。」



「お。おう。」



「あのね・・・。」



「俺、彼女できたんだ。ごめん。また。」



電話は切られた。


一瞬のことで状況を理解できないわたし。

理解できないんじゃなくてしたくなかったのかもしれない。


わたし、何やってるんだろ。

バカみたい。


目から大粒の涙が流れる。



最悪ってこういうことを言うのかな。


気持ち伝える前に振られちゃった。

最悪な結末。


悲しすぎて笑えてきた。



大切にしていたヒロさんの写真、破ろうと思った手が震えてる。

だって好きなんだもん。

大好きなんだもん。

ヒロさんが好きなんだよ。



頭が痛くなるほど泣いて、希からかかってきた電話にも出ず誰からのメールも見ることができなかった。



その日の夜にたずねてきた希はすごく心配そうな顔をしていた。

わたしの腫れた目を見てビックリしてたけどきっと理由もわかってたよね。


電話のことを話すと

「ごめんね。」

って希は急に泣き出した。


「わたしがあんなこと言ったから・・・。」



「なんで希が泣くの?」



「わたしが言わなかったら聞きたくないこと聞かなくてよかったかもしれないじゃない。」



「後で知るより、今聞いてよかったよ。」



「優奈。」



「なんで希が泣いてるのよぉ。」



わたしが笑うと希も泣きながら笑う。

くしゃくしゃな顔で。




わたしの恋愛で泣いてくれる親友がいる。

わたしはやっぱり幸せ者なんだ。


幸せなのに欲張るから・・・

神様はきっとヒロさんを離していったのかな。



「ヒロさんには彼女ができちゃったけど。わたし・・・ヒロさんが好き。」



「うん。それでいいじゃん。」



頷くわたしの心は涙がキレイにしてくれたのかスッキリしていた。



「人を思う気持ちって大切だと思うんだ。優奈がヒロさんを好きになったのもわたしが涼くんを好きになったのもすごく素敵なことで、例えそれが叶わない恋だったとしてもその人を思えた自分ってすごいと思わない?自分以外の人間を愛するって簡単なことじゃないよ。」



希の話が素直に聞きうけられる今、少し大人になれた気がした。



「ヒロさんのことを忘れられる日がくるまで・・・きっと辛いけど。頑張ってみる。」



「無理やり忘れることはないんだよ。」



「うん。」



気持ちが落ち着いたのか冷静な考えが頭に浮かぶ。

ヒロさんが、いつか

― 過去 ―

になるまで、あなたを思っていてもいいですか?


もう泣かないから・・・。


もっと強くなるから・・・。



自然に



忘れられる日が



きますように。





















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